ALS患者嘱託殺人 大久保愉一容疑者 死の対話 「訴追されないなら、手伝いたい」 ブログ「一服盛るなり(して)、楽になってもらったらいい」

2020-07-24 | Life 死と隣合わせ

ALS患者嘱託殺人 SNS 医師と死の対話 「手伝いたい」 ■嬉しくて泣けた 
 中日新聞 2020年7月24日

 病に侵され動かなくなっていく体を見つめ、自らの生死は自分で決めたいと発信を続けた女性に、共通する死生観を持つ医師がインターネットで安楽死を持ち掛けた。23日に逮捕された医師2人は主治医ではなく、女性とは事件当日に初めて会ったとみられる。金銭のやりとりもあったとされ、これまで是非が議論されてきた安楽死の在り方とかけ離れ、特異さが際立つ。

 事件の約11カ月前だった。2019年1月3日午後5時45分。「作業は簡単だろうからカリスマ医者じゃなくてもいいです」。筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の林優里さん=当時(51)、京都市中京区鍛冶町=がツイッターで安楽死を希望する書き込みをすると、医師大久保愉一よしかず容疑者(42)はこう持ち掛けた。「訴追されないなら、お手伝いしたいのですが」。2人の交流はこの頃から始まったとみられる。 
 林さんは「『お手伝いしたいのですが』という言葉が嬉しくて泣けてきました」と応答。2日後には「『完全安楽死マニュアル』みたいな本に俺なりの毒を加えて販売したい」との大久保容疑者のつぶやきに「先行予約します」と反応していた。 
 18年4月にツイッターアカウントを開設。プロフィル欄には自身が11年からALS患者であることを明かし「動かない食べられない話せない身体」「自らの生と死の在り方を自らで選択する権利を求める」とつづっていた。一方の大久保容疑者は「しがない臨床医」と自称し、安楽死を肯定するかのような投稿を多くしていた。
 当初は自殺ほう助による安楽死が認められているスイスに渡ることを希望していたとみられるが、病状が進行。19年8月の投稿からは「やはりスイスか?キツいな」「こんな身体になった病人がなんとか死ぬ方法を考えないといけないのか」と、渡航を巡る揺れる胸の内がうかがえる。 
 同じ時期、大久保容疑者からは「定期的に訪問介護が来てしまい、強制的に助けられてしまう悪条件と理解しています。(著名な探偵漫画の)コナンや金田一どころではない計画が必要」と持ち掛けられていた。 
 死亡の約1カ月前には「賃貸マンションで病死したらどんな費用がかかるか心配」「少なくとも腐敗はしなくて良さそうだからそんなにかからないかな?」などと、自宅で死亡することを決意したかのような書き込みも。捜査関係者によると、事件に至るまでの具体的なやりとりは、第三者が見ることができないダイレクトメッセージ機能を使用しており、この時には既に大久保容疑者らに嘱託殺人を依頼済みで、事件当日に初めて顔を合わせたとみられる。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


「高齢者を枯らす技術」 容疑の医師か、匿名ブログで死生観  
  社会・くらし 2020/7/23 23:29 (2020/7/24 0:49更新)
 「一服盛るなり(して)、楽になってもらったらいい」。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者への嘱託殺人容疑で、京都府警が23日に逮捕した医師、大久保愉一容疑者(42)は、自身のものとみられるブログに「高齢者を『枯らす』技術」とタイトルを付け、安楽死を積極的に肯定するかのような自らの死生観を繰り返しつづっていた。
 捜査関係者によると、大久保容疑者はかつて医系技官として厚生労働省に勤めた経験があり、現在は宮城県名取市で呼吸器内科や心療内科、精神科のクリニックを運営。同容疑で逮捕された医師、山本直樹容疑者(43)はED(勃起不全)治療の専門病院で院長を務めていた。
 ブログは匿名で開設され、「人生を『太く』『短く』生きたいというあなたにささげる」とし、自身を「田舎の内科医」と紹介していた。
 2019年5月には、ALS患者の主治医を経験した結果として「彼らが『生き地獄』というのも少しはわかる」とし、「神経難病などで『日々生きていることすら苦痛だ』という方には、一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいいと思っています」と投稿。山本容疑者の口座には現金が振り込まれていたとされるが「バレると医師免許がなくなる」「リスクを背負うのにボランティアではやってられない」などと記されていた。
 「個別に回答すると、自殺ほう助罪に問われる恐れがある」と、捜査当局の動きを警戒しつつも「日本でもできる『安楽死』について、医者として質問に答えます」と、読者に呼び掛けていた。
 インターネット上では、ブログのタイトルと一部が同じ電子書籍も確認できる。編集・著者として両容疑者とみられる名前やハンドルネームが並び、本の紹介欄にはこう記していた。
 「『今すぐ死んでほしい』といわれる老人を、大掛かりな設備もなしに消せる方法がある」「違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はない。荼毘(だび)に付されれば完全犯罪だ」〔共同〕

 ◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です


SNSで死の密約、逮捕の医師「訴追されないならお手伝いしたい」 京都ネット安楽死事件
 2020/7/24(金) 11:00配信 京都新聞
 医師が面識のない難病患者から頼まれて薬物を投与し、殺害したとされる事件が23日、発覚した。嘱託殺人の容疑で京都府警に逮捕された大久保愉一容疑者(42)と山本直樹容疑者(43)。亡くなった女性と、大久保容疑者とみられる人物が「安楽死」の密約を交わしたのは、会員制交流サイト(SNS)だった。「自然な最期まで導きます」「よろしくお願いします」。インターネット空間に残る生々しいやりとりからは、死へ誘導するかのような意図がうかがえる。
 SNS上で大久保容疑者とみられる医師と筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の女性=当時(51)=の接点が初めて確認できるのは2018年12月だ。安楽死を巡る第三者の投稿に対し、ハンドルネームで互いにメッセージを書き込んでいた。
 「私たち、神経難病の患者も壊れていく体と心、来るべき死の苦しみの恐怖と日々戦っています 紙一重を超えるには何が必要なのでしょう?」とALSの女性。これに対し、医師が「『脳死移植は殺人だ』とか過去の例みたいに、当事者でない外野がかきまわすので、それを封じる手だてが必要です」と応じていた。
 医師が約1週間後、安楽死に触れて「作業はシンプルです。訴追されないならお手伝いしたいのですが」と水を向けると、やりとりはエスカレートしていく。体を弱らせる方法、死ぬための計画、患者の意思表示と治療の関係…。難病で思い悩む女性に医師は助言を重ね、昨年8月には、「なんなら当院にうつりますか? 自然な最期まで導きますが」と迫る。ALS女性の返答は「ありがとうございます 決意したらよろしくお願いします」だった。
 このやりとりが交わされてから約3カ月後の昨年11月30日。大久保、山本両容疑者とみられる男2人が京都の女性宅マンションを訪れた。24時間態勢で介護するヘルパーが席を外し、3人だけの「密室」になる。男らが部屋を出た後に女性の容体が急変し、病院搬送されたが死亡した。司法解剖の結果、女性の遺体からは普段服用していない薬物が検出され、京都府警が捜査を始めた。
 捜査幹部は言う。「われわれは安楽死と考えていない。容疑者は主治医ではなく、金銭も渡っていた。これは明らかな嘱託殺人事件だ」
 最終更新:7/24(金) 16:24 京都新聞

 ◎上記事は[京都新聞]からの転載・引用です


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