【秋葉原無差別殺傷事件 第2回公判】2010.2.1 証拠調べ
産経ニュース2010.2.1
裁判長「若干早いようですが、開廷します。本日は、まず採用が決まっている証拠調べを行います」
《法廷の大型モニターに「要旨の告知 検察官」と大きく書かれた画像が映し出される》
検察官「証拠に添付した内容を、モニターに映しながら説明します。甲126号証、被告が犯行時に着ていたジャケットです」
検察官「犯行時に着ていたズボンです」
検察官「次に示すのは、防犯カメラの画像を解析したものです」
検察官「(1)と表示されているのは、(平成20年)6月8日午前11時38分6秒、被告のトラックが確認されています…」
検察官「(22)、12時30分27秒の位置です」
検察官「この後、(被告のトラックは)外神田3丁目交差点に突入します。大型モニターの画像は差し控えさせていただきます」
検察官「トラックが突入した後です。12時33分7秒でした」
検察官「次に(事件現場近くの大型家電店)ソフマップの防犯カメラの画像解析図です。大型モニターはオフにさせていただきます…」
検察官「トラックが(事件現場の交差点)中央に移動しました。トラックの後方に川口さんが倒れている姿が確認できます。直後の画像では、交差点内に川口さん、横断歩道上にAさん、Fさん、Gさんが倒れている姿が確認できます」
検察官「中央やや上の丸印にトラックが止まっています」
《傍聴席からは見えないが、裁判官席などの小型モニターでは、そのときの防犯カメラの画像が拡大されているようだ》
検察官「1と書かれた矢印の先に、白っぽい上着の男が見えます。Vの矢印の先に写っているのがDさんです」
検察官「白っぽい上着の男やDさん、同伴者の女性が写っています。直後の画像では、同伴者の女性がDさんを抱えている様子が確認できます」
検察官「Dさんが女性に支えられて、外神田3丁目交差点に歩いている姿が確認できます」
検察官「画像は(平成20年6月8日の)午後0時33分43秒です。中村さん、△△さん(法廷では実名)、○○さん、Gさんの姿が確認できます。あとでビデオを再生するときに、このところを注目してください」
検察官「男が交差点中央に向かいます。男が○○さんのすぐ近くにまで接近しているのが分かります」
検察官「目撃者が撮影したデジタル写真では、松井さんがカラーコーンを抱えて座っています。時間は午後0時34分19秒。防犯カメラの映像でも、しゃがんでいる人がいますが、松井さんと確認しました」
《続いて、甲127号証、ソフマップ秋葉原本館の防犯カメラの解析を行った捜査報告書について、検察官が説明する。》
検察官「防犯カメラで写した映像を写真95枚にし、午後0時33分00秒から0時33分59秒までを64枚の写真で順次、映していきます」
検察官「午後0時33分43秒。左に白っぽい上着の男が映ります。このあと33分59秒まで3秒間隔で映していきますので、白っぽい上着の男に注目してください」
検察官「甲5号証は、ビデオテープです。被害者が写っているので、モニターはオフにさせていただきます。合計約30分ですが、(平成20年6月8日午後)12時18分30秒ごろから、12時21分ちょうどごろまでの、2分30秒間を再生します。特に、12時18分44秒と、12時20分57秒に注目してください…」
検察官「今ちょうど、12時18分30秒からスタートしますので、12時18分44秒ごろに注目してください…」
検察官「…えーと、続いて、しばらく早送りします。12時20分57秒ごろに注目してごらんください…。今、12時20分57秒ごろですので、注目してください」
検察官「…しばらく早送りします…今、12時27分52秒でいったんストップします。この後の画像をごらんください。12時27分58秒ごろに注目してください…」
検察官「今、12時33分1秒でいったんストップします。ここから約1分…12時33分8秒ころ、および、12時33分44秒ごろに、特に注目してごらんください…」
検察官「続いて甲76号証は、犯行現場の地番を特定した捜査報告書です…」
検察官「ナイフの種類や、どこから発見されたのかなどを、簡単に説明いたします。ナイフは全部で5本あります。後ほど現物を提示します…」
《押収されたナイフは、(1)ダガーナイフ(2)折りたたみ式ナイフ(3)ユーティリティーナイフ(4)ダイバーズナイフ(5)ユーティリティーナイフ-の計5本だ》《検察官は、それぞれについて刃体の長さや、押収状況を明らかにしていく。犯行に用いられた(1)のダガーナイフは12・3センチ。(2)の折りたたみナイフは9・1センチで、加藤被告のジャケット内から発見された》《(3)のユーティリティーナイフは11・5センチで、犯行現場の路上に落ちていた。(4)のダイバーズナイフは12・2センチ、(5)のユーティリティーナイフは11・6センチで、いずれもトラック内のリュックサックから押収された。検察官は早口で説明を終えた》
検察官「それでは、証拠品を示します」
検察官「見えますか?」
検察官「透明のケースに入っていますが、ケースは証拠品ではありませんので…」
検察官「見覚えがありますね?」
被告「はい」
検察官「あなたが使用したナイフに間違いありませんね?」
被告「はい」
検察官「あなたの所有物ですね?」
被告「はい」
検察官「続いて折りたたみナイフを示します」
《検察官が透明のプラスチックケースに収められたナイフを加藤被告に向けて掲げる》
検察官「このナイフに見覚えがありますか」
加藤被告「はい」
検察官「事件当時、このナイフは、あなたが着ていたジャケットの内ポケットに入っていたということでよろしいですね」
加藤被告「はい」
検察官「続いてユーティリティーナイフを鞘と一緒に示します。ナイフも鞘も見覚えがありますね」
加藤被告「はい」
検察官「現場では靴下の中に入れて所持していましたね」
加藤被告「はい」
検察官「あなたの物ということで間違いないですね」
加藤被告「はい」
検察官「これまで示したナイフと鞘は、あなたが所有権を放棄して、検察庁に処分を任せるということでよろしいですか」
加藤被告「はい」
《ここで検察官は、加藤被告のトラックが秋葉原の交差点に突入した直後、交差点へ向かっていった被害者のEさん、Fさんの様子などをモニターに映し出すと宣言する。2人は加藤被告に刺され、死亡した被害者で、現場近くの防犯カメラで撮影された映像とみられる》
検察官「平成20年6月8日、午前11時からEさんの状況を写したものです。右側の赤い矢印で示されているのがEさんです」
検察官「続いて店外に設置されていた防犯カメラの映像を示します」
検察官「これまで示したのが(加藤被告のトラックが秋葉原の交差点に突っ込んだ直後の)午後0時33分30秒ごろまでの映像です」
《ここで再び、証拠書類の調べに戻る》
検察官「次に(加藤被告に刺された)Fさんが平成20年6月8日午後0時30分ごろにした119番通報の内容を明らかにしたものを示します」
「『刺された、背中をナイフで刺された。○○電機(秋葉原の電機店の実名)の近く。私が刺された。息苦しい』」
検察官「続いて読み上げるのは141号証です。内容は捜査報告書で、千代田区外神田の○○(パソコン販売店の実名)の防犯カメラの画像です。これは、松井満さんの被害前の状況です」
検察官「赤色の印が防犯カメラの設置場所です。松井さんが○○の入り口から入ってきて、商品を見ている様子です。矢印が松井さんで、店内に入ってくる様子を5枚映します」
検察官「続いて、○○の連絡口から(店舗の別棟に)移っていく松井さんの様子の画像6枚です。以上の画像から想定される松井さんの行動は次のようなものです」
《モニターの地図には、松井さんが加藤被告と遭遇し、刺されるまでの経路が示された》
検察官「続いて、甲137号証、内容は『電話聴取照会結果報告書』です。これは、通信大手に携帯電話のログを照会したものです。照会から、この携帯電話は090-○○○○-○○○○(法廷では番号が読み上げられる)という回答が来ております。これは加藤被告の携帯電話の番号になります」
検察官「次に、被告人の書き込み内容を解析し、時系列にまとめたものをお示しします。以下、それぞれについて読み上げたいと思います」
「5月28日の書き込みです。『社会からはみだしたのか…。ニートでもDQNでもイケメンなら彼女ができますから大丈夫です。不細工な私には絶対にできません』」
「300人規模のリストラだそうです。やっぱり私はいらない人です」
「ブサイクには人権がないということです」
「何か壊れました。私を殺したのはあなたです」
検察官「『みんな死んでしまえ』『誰もいなくなった。狙い通りなんでしょ』…」
「これは6月2日3時1分の書き込みです。『迷惑がかからない方法で?ふざけんな やるなら、できるだけ他人を巻き込んでやる』」
「『目標は100人ぐらい。もっとやりたいけど、体力的にも無理』…。これは6月2日3時6分に書き込んでいることが分かります」
検察官「(平成20年)5月31日6時1分37秒、ネットいじめ」
検察官「同じ日6時21分43秒、だれもいなくなった。ねらい通りなんでしょ」
検察官「5月31日6時22分28秒、少しだけ書いてくれる人がいたけどいなくなった。してやったりなんでしょ」
検察官「6月4日0時58分11秒、オレが事件起こしたらみんな『まさかあいつが』って言うんだろうな」
検察官「6月4日0時58分58秒、『いつかやると思ってた』そんなコメントするやついたら、そいつは理解者だったかもしれない」
検察官「6月4日1時7分4秒、『現実でも1人、ネットでも1人』と書き込んでいます」「6月4日1時43分23秒、ブサイクだから。終了」
検察官「6月5日4時52分41秒、ああそういえばクビ延期だって」
検察官「6月5日4時53分22秒、別におれが必要なんじゃなくて、新しい人がいないから取りあえずクビは延期なんだって」
検察官「6月5日5時5分5秒、今までそうやって耐えてきた。もう半年だし、そろそろ限界」
検察官「6月5日5時49分51秒、なんだかんだでちゃんと出勤するオレって何なの」
検察官「6時17分3秒、作業場行ったらつなぎ(作業着)がなかった。やめろってか、分かったよ」「あざやかに帰宅。やってらんね」
検察官「6時21分、すんなり出れたし。守衛は出る方にも気を使わなきゃだめだよ」
検察官「6時31分11秒、お前らクビ切っておいて人が足りないから来いだと」「おかしいだろ。つなぎ発見したってメールきた。隠していたんだろうが」
検察官「7時12分53秒、会社のやつが部屋に先回りしている予感」
検察官「7時43分53秒、『やっぱり会社のやつがいた。つなぎあったよだと。自分で隠しておいてよく言うよ』と書き込んでいます」
《この後、殺害の具体的な準備をする様子を再現するような書き込みが続く》
検察官「8時48分1秒、スローイングナイフを通販してみる。殺人ドールですよ」
検察官「6月5日10時44分23秒、明日福井に行ってくる」「往復2万かまあいいや」「犯罪予備軍って日本にはたくさんいる気がする」
検察官「6月5日12時2分14秒、ちょっとしたきっかけで犯罪者になったり思いとどまったり。やっぱり人って大事だと思う。人とかかわり過ぎると怨念(おんねん)で殺すし、孤独だと無差別に殺すし。難しいね」
《検察官は「その1分後ですが…」と断って、次の書き込みを読み上げる》 検察官「だれでも良かった、なんか分かる気がする…。東京の道路ってめんどくさい」
検察官「6月5日12時33分21秒、トラックで行くのは無謀かもしれん」
検察官「12時39分36秒、在庫ないのか。残念」
検察官「13時6分36秒、片道4時間か」
検察官「6月5日15時23分、ちょっとしたことで切れる、幸せな人がよー言う。いつも悪いのはおれ。いつも悪いのはおれだけ」
検察官「6月5日18時59分30秒、一歩踏み出したら後は行くだけ」
検察官「19時2分58秒、取りあえず明日は頑張ってみるよ」
検察官「6月6日0時3分1秒、着信20件とかふざけてるだろ」
検察官「6月6日2時48分47秒、やりたいこと殺人、夢、ワイドショー独占」
検察官「6月6日2時54分4秒、工場で大暴れした。被害が人とかじゃなくて良かった」
検察官「同じ日の3時4分56秒、あ、もしかしてこのスレとかもさらされるのかしら」
検察官「6月6日8時15分8秒、0826のこだまに乗れる。乗り換え5分でひかりに」
検察官「6月6日20時49分55秒、ナイフ5本買ってきました」
検察官「6月7日8時3分27秒、今日は秋葉原。お金をつくりにいく」
検察官「6月7日13時14分32秒、レンタカーに空きがなかった。トラックじゃ仕方ないかも」
検察官「同じ日の13時16分38秒、車がないとお話にならないんだが。13時23分、あまり軽いのだと困るし」
検察官「6月7日15時35分23秒、大きい車借りるにはクレジットカードがいるようです。どうせおれは社会的信用なしですよ」
検察官「同じ日の16時1分33秒、小さいころからいい子を演じさせられてきたし、だますのには慣れてる。悪いね、店員さん」
検察官「6月7日16時3分57秒、無事借りれた。準備完了だ」
検察官「6月7日19時33分56秒、明日は運転するんだからお酒は控えめに。死ぬ気になればなんでもできるだろ、死ぬ気にならなくても何でもできる人のセリフですね。もっと高揚するかと思った。冷静な自分にびっくりする」
検察官「8日午前5時44分には『途中で捕まるのが一番しょぼいパターンかな』、6時31分には『時間だ、出かけよう』、7時30分には『これはひどい雨、完璧(かんぺき)に準備したのに』などとあります」
検察官「9時41分に『晴れればいいな』、48分に『神奈川入って休憩、今のところ順調かな』、10時53分には『ひどい渋滞、時間までに着くかしら』と書き込まれています」
検察官「午前11時7分は『渋谷ひどい』、45分に『秋葉原に着いた』、48分『今日は歩行者天国の日だよね』、そして12時10分に『時間です』とあります」
《検察官は、書き込みの読み上げをやめ、犯行前の捜査報告書の読み上げへと移った。加藤被告が福井市内で凶器とされるナイフを購入する経緯について、触れていく》
検察官「これは、福井市内のタクシー会社の顧客データです。加藤被告は6月6日、福井市内の駅から、ミリタリーショップへと向かいました」
《法廷の大型モニターに、伝票のようなものが映し出される》
検察官「これはその店の、ナイフの売上伝票です。加藤被告はスローイングナイフなど、計6本を購入しています」
《法廷はここで約20分の休廷に入った。》
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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⇒ 【秋葉原無差別殺傷事件 第2回公判】2010.2.1 〈目撃者〉証人尋問