大関・貴景勝「頚椎負傷」で休場届、8度目カド番確定も…“まだ引退できない”複雑事情
土俵が「元大関」だらけになりかねない。
17日、大関貴景勝(27)が相撲協会に休場届を提出。「頚椎症性神経根症で2週間程度の安静加療を要する見込み」と診断され、再出場はしない意向。2日目の熱海富士戦で痛めたもので、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)によれば、「本人が痛いと言ってきたから相当」という。
これで来場所は栃東(現玉ノ井親方)と並ぶ、史上4位タイとなる8度目のカド番が決定した。
貴景勝は2021年7月、逸ノ城との取組中に頚椎を痛め、以降は慢性的な痛みを抱えていたという。首のケガで休場するのは、その時以来だ。
「貴景勝は頭から当たり、相手をじわじわと後退させながら、突き落としを狙う相撲。これまでも痛みを抱えながら出場していた男が音を上げたのだから、よほどのことではないか。今後、これまでのような相撲ができなくなる恐れもあるが、今更スタイルを変えることなんてできません」(角界OB)
かつては大関から陥落した時点で引退する力士も多かったが、現在は幕内に高安、朝乃山、正代、御嶽海と4人の元大関がいる。仮に貴景勝も加われば5人の大所帯だ。前出のOBは「親方株の問題もありますからね」とこう続ける。
「14年に親方の定年延長制度が認められたので、親方株不足は深刻。定年延長して参与として残る親方も株が必要ですから。貴景勝の場合はまだ株を持っていない。引退後3年間は、しこ名で親方を務められる大関特権があるものの、期限内に株を取得しないと退職しなければいけない。株取得のメドが立つまで、引退はできませんよ」
貴景勝は06年に45歳で急死した元大関・北天佑の次女と結婚。北天佑は引退後に二十山部屋を興しており、その物件は当時のまま残っている。今更、四つ相撲に転向はできないし、腕も短いので突っ張り主体の押し相撲も難しい。首はボロボロでも、今の相撲を続けるしかないのか……。