「治療の意味あった」 青葉被告の元主治医 京アニ公判
京都アニメーション放火殺人事件の発生直後から青葉真司被告(45)のやけどの治療に当たった上田敬博医師(52)=鳥取大病院高度救命救急センター長=が、25日の京都地裁判決を前に時事通信の取材に応じ、裁判が開かれたことで「一生懸命治療した意味はあった」と振り返った。
被告については「(法廷で)最低限の義務は果たしたのではないか」と述べた。
2019年7月の事件直後、全身の93%をやけどして意識不明だった青葉被告は、近畿大病院に移送され、当時勤務していた上田医師が約4カ月にわたって治療を担当。わずかに残った皮膚を培養し、移植を繰り返した。
治療の際、青葉被告に「(公判で)正直に話さないといけない」と強く言い続けてきた。3カ月に及んだ公判の結審に当たり、被告は「できるだけ答えようと、自分なりにやったつもりだ」と話した。上田医師は「勝手な思いかもしれないが、『向き合え』と言ったことを守っていると思う」と話す。
当時は「殺人犯をなぜ生かすのか」という世間の心ない言葉もあったが、事件後に起きた大阪のビル放火殺人では、容疑者の男が死亡して真相解明の道が閉ざされた。公判開始後、京アニ事件の一部の遺族から「(青葉被告を)生かしたことに関しては感謝したい」と伝えられ、「加害者を治療することは勇気がいる。(負の)感情を抑えて、ただ職務を遂行することは医療者として大事だ」と改めて感じた。
「罰を受けさせるために救命した」という上田医師。被告に対しては「判決を受け入れて、命を奪った人やけがをした人に、謝罪の気持ちを毎日向けて」と考えている。
最終更新:時事通信
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