18歳選挙権、今国会で成立へ 16年参院選から適用
日本経済新聞 2015/3/5 22:03
与野党6党は5日、国政選挙などの選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を衆院に共同で再提出した。今国会での成立は確実な情勢だ。公布から1年後に施行し、その後の国政選挙から適用されるため、早期の衆院解散がなければ2016年夏の参院選から初適用される見通しだ。
選挙権年齢の引き下げは1945年に「25歳以上の男子」から「20歳以上の男女」に改定して以来、70年ぶり。
共同提出したのは自民、公明、民主、維新、次世代、生活の6党。法案採決では社民党も賛成する見通しだ。共産党は審議を踏まえて賛否を決めるとしている。
総務省の人口推計を基に試算すると、16年時点で18、19歳となる約240万人が新たに有権者となる見込みで有権者全体に占める割合は約2%。来年夏の参院選以降、都道府県の首長や地方議員などの選挙でも順次導入される。
選挙権年齢の見直しをめぐっては憲法改正手続きを定めた国民投票法が07年に成立した際、付則で選挙権年齢や民法の成人年齢の引き下げも検討するよう求めていた。成人年齢の引き下げは自民党内に慎重論が根強く、実現のメドは立っていない。
同法案は昨年11月に臨時国会に提出されたが、衆院解散により廃案となった。各党は同じ改正案を今国会に再提出する方針を確認していた。
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少年犯罪を防ぐのは「厳罰」か「教育」か 相次ぐ少年法改正の背景は
THE PAGE 2014.05.09 06:00
4月11日、参院本会議で可決、成立しました。今月中には施行される見通しとされています。少年法はこれまでにも何度か改正されていますが、改正にはどんな背景があるのでしょうか。また、どのような懸念点が考えられるのでしょうか。
*今回の改正でさらに「厳罰化」進む
今回の改正で、少年法はさらに「厳罰化が進んだ」と言われています(「適正化」という言葉が正しいという人もいます)。厳罰化と言われるのは次のような点です。
■有期刑の上限引き上げ
刑期の上限に関して、少年法の量刑では、成人の場合は死刑を下すような罪の場合は「無期刑」にしなければならない、無期刑を下すような罪の場合は「10~15年の有期刑」にすることができると定められていました。改正法では、この有期刑の上限が20年にまで引き上げられました。
■不定期刑の引き上げ
不定期刑とは、判決時に懲役年数を確定させず、〇年~〇年以下と幅を持たせた刑期を与え、その後の更生度によって処遇を決めることです。これまで不定期刑の長期の限度は10年、短期は5年でしたが、これがそれぞれ15年と10年に引き上げられました。
■検察官の立ち会い
改正前は、検察官が関与する少年審判は殺人や強盗などの重大事件のみに限られていましたが、改正後、長期3年を超える罪にはすべて検察官が立ち会うこととなりました。これまで検察官が立ち会う事件は5.5%程度でしたが、今後は約80%以上となると予想されています。同様に、国選付添人が選任される事件の範囲も拡大しました。
*2000年、2007年にも大きな改正
少年法は2000年と2007年にも大きな改正がなされています。それぞれの改正での主な変更点は次の通りです。
《2000年の改正》
刑事罰対象を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ。16歳以上の重大犯罪を原則として逆送すると定めた。
《2007年の改正》
少年院の年齢下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げ(少年院送致の年齢下限撤廃)。14歳未満でも警察による強制的な調査が可能に。
少年法の厳罰化が進んでいる背景にあるのは、神戸連続児童殺傷事件(1997年)、西鉄バスジャック事件(2000年)、長崎男児誘拐殺人事件(2003年)、山口女子高専生殺害事件(2006年)など、少年による重大事件が発生したことによる国民感情です。2007年の改正以降も、石巻3人殺傷事件(2010年)など、少年による重大事件は発生しています。少年事件が起こるたびに、「少年にも、犯した罪に見合った罰を与えるべき」という声が上がります。
*減少傾向にある「少年犯罪」
それでは、厳罰化によって少年犯罪は本当に減るのでしょうか。
少年法が大きく改正された2000年の少年による刑法犯総数は13万2336件 、そのうち凶悪犯(殺人・強盗・放火・強姦)は2120件でした。2001年には13万8654件(凶悪犯2127件)、2002年には14万1775件(同1986件)と増加します。
ただ、2003年の14万4404件(同2212件)を境に減少となり、今年2月に発表された「少年非行情勢」では、刑法犯は2004年から2013年までは10年連続で減少していることが報告されています。2004年の検挙人員は13万4847人(同1584人)でしたが、2013年には5万6469人(同786人)にまで減っています。また、同年齢層人口1000人あたりの検挙人員も16.8%から7.8%へ減少しています。ただし、成人の場合は10年間2%前後で推移しており、成人と比べて少年が高い確率で検挙されていることが分かります。
*「少年法の精神」を重視する考え方
近年、少年犯罪が減少傾向であることが分かりますが、それでも厳罰化に異を唱える専門家は少なくありません。ひとつは、2000年以降も少年による重大事件は起こっており、厳罰化では防げない事件があること。そしてもうひとつは、少年法は罪を犯した少年に対し保護と更生の機会を与えるものという考え方があるからです。
そもそも罪を犯してしまう少年については、その成長過程で充分な教育や愛情を受けられなかったり、虐待を受けていたりというケースもあります。罪の重大さを理解できないからこそ残酷な罪を犯してしまうという場合もあり、罪の重さを認識させるためにも、適切な教育が必要です。
少年法は少年の可塑性に着目しているとされています。可塑性とは、成長によって人格が柔軟に変化していくことであり、すなわち少年は成人よりも更生の余地が大きいことが期待されています。更生して社会復帰することが許せないと考える人もいますが、本当の更生とは自分が犯してしまった罪の重さと生涯向き合わなければならないことであり、罪と向き合いながら社会生活を送ることも、償いの一つという考え方もあるでしょう。
厳罰化に賛成する人、反対する人の両方で一致しているのは、「罪を犯した少年はきちんと罪と向き合い、内省を深めなければならない」ということです。そのために行うべきことは厳罰化なのか、更生への教育なのか、その両方なのか。議論をこれからも続けていく必要があるでしょう。
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◇ 川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 活発化する少年法見直し論議/「相次ぐ少年法改正の背景は」THE PAGE
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