「空白の2年」解明へ=心のケアも課題に―少女保護から1週間・埼玉
04月02日 22:46時事通信
埼玉県朝霞市で誘拐され、行方不明になっていた当時中学1年の少女(15)が保護されてから3日で1週間。逮捕された寺内樺風容疑者(23)は「女の子を誘拐したい願望があった」「インターネットで誘拐する場所を探した」と供述、動機や誘拐に至る過程が徐々に明らかになってきている。一方、約2年にわたる監禁の実態については、まだ不明な部分が多い。県警は少女の精神面を考慮しながら、全容解明に向け慎重に捜査を進める。
・容疑者、警戒心が低下?
捜査関係者によると、寺内容疑者は少女の後をつけて自宅を調べ、玄関付近にあった傘を見てフルネームを突き止めるなど、用意周到に準備をした上で誘拐に及んだ。誘拐後も「さがさないで下さい」とした手書きのメモを少女の自宅郵便受けに残して家出を装い、事件の発覚を防ごうとするなど、その行動からは高い計画性がうかがえる。
一方、少女の話から浮かび上がる約2年間の監禁生活では、寺内容疑者の警戒心の低下も見て取れる。監禁されていた場所は、声を出せば部屋の外に助けを求めることができる住宅街のマンションで、少女は1人で料理をしたり、漫画を読んだりできたほか、ネット閲覧も一部可能だった。ただ、少女は最初の監禁場所では逃走の実行には至らなかった。
これに対し、マインドコントロールに詳しい西田公昭立正大学教授(社会心理学)は、少女の行動を「極限状態の人間は、環境に順応しようと本能が働く」と分析。誘拐実行後の寺内容疑者については「環境に順応した少女を従順になっていると思い込み、気を緩めたのだろう」と推測する。
・フラッシュバックも
「中学生活を1年しか経験していない。学校に戻っても同級生がいない」。少女の保護を受け記者会見を行った父親は、こう心情を吐露した。
誘拐後、両親らは駅頭に立ち、情報提供を呼び掛けていた。苦労が報われ、娘を取り戻した喜びは大きいが、失われた2年を埋めるのは容易ではない。両親は寺内容疑者の逮捕後、「2年間を返せと言いたい」と怒りをあらわにした。
デリケートな問題に県警幹部も頭を抱える。監禁生活の実態など事件の全容解明のためには、少女からのさらなる聴取が欠かせない。ただ、詳細を詰めていけば、当時のつらい記憶がよみがえる「フラッシュバック」が起きる可能性もある。
県警は両親を交えた上で話を聴くなど、少女の心のケアをしながら、全容解明も進めるという難しい対応を迫られている。(了)
◎上記事は[gooニュース]からの転載・引用です
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◇ 寺内樺風容疑者 [埼玉少女誘拐]監禁で逃げられぬ恐怖 過去の事件では“洗脳”“厳重監禁”2016/3/28
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