近畿財務局と大阪航空局こそ「主役」 野党と一部マスコミの歪んだ姿勢、籠池接見の「三文芝居」 森友文書改竄
長谷川幸洋「ニュースの核心」 2018.3.28
森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄問題で、国会は27日、同省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官を証人喚問した。
多くのマスコミは「佐川氏が何を語るか」に注目してきたが、実は、本来の疑惑だったはずの「安倍晋三首相が森友学園に特別な便宜を図ったかどうか」の解明には、ほとんど関係がない。
というのは、疑惑の核心は、財務省が公表した改竄前文書と、昨年秋に発表された会計検査院の報告で、大筋が明らかになっているからだ。
一言で言えば、国交省大阪航空局と財務省近畿財務局こそが、森友学園に「異例の便宜」を図っていたのである。
例えば、両局は森友側が主張した「新たなゴミ」の存在をろくに調べもせずに、大幅値引きに応じていた。
それはなぜだったのか。改竄前文書と会計検査院報告によれば「森友が国を損害賠償請求で訴えると言ったからだ」という話になっている。だが、それだけではなかった可能性もある。
ゴミ撤去費を土地代金から差し引いて売却する解決策を近畿財務局に提案したのは大阪航空局だ。そうまでして、大阪航空局は土地を早く手放したかったのだ。
解明されていない真の問題は、大阪航空局と近畿財務局が「森友学園を異例に優遇した背景」である。それは検察当局によって今後、明らかにされていくだろう。
野党や一部マスコミは「安倍晋三首相の関与があった」という前提で追及してきた。だが、安倍首相の関与を示す証拠が出てこないので、今度は、「いい土地だから前に進めてください」という安倍昭恵首相夫人に関する、森友側の発言メモをネタにしている。
文書改竄も「首相官邸の指示があったからに違いない」と思い込んでいる。だが、それはピンボケだ。なぜか。
森友学園問題など話題にもなっていなかった2015年3月、森友側が問題の土地をボーリング調査して「軟弱地盤だ」と訴えたとき、近畿財務局は自分たちが実施した地質調査で「特別に軟弱とは思えない」という結果が出ていたのに、賃貸料値引きに応じていた。そして、最初に、文書改竄(抜き取り削除)に手を染めたのも15年6月だった。
つまり、森友学園に対する異例の配慮や近畿財務局の文書改竄は、昨年の問題発覚前から始まっていたのだ。それは取引の当事者である大阪航空局と近畿財務局こそが「事件の主役」であることを物語っている。
にもかかわらず、野党議員たちは詐欺罪などで起訴された前学園理事長の籠池泰典被告に接見し、「籠池氏の主張を確かめた」などと、三文芝居を演じた。一部議員に至っては「佐川氏ガンバレ」と言い出す始末だ。こうなると、もはや「悪酔い」しているとしか言いようがない。
当局の捜査は進展している。いずれ真相が明らかになれば、政権打倒に傾斜した野党と一部マスコミの歪んだ姿勢もバレてしまうに違いない。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)
ジャーナリスト。東京新聞論説委員。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。
◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です
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◇ 森友問題「籠池という稀代の詐欺師に」「政局好きの野党が、さも重大問題に」
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