前原氏の北方領土視察、次期首相就任にらんでいた/国際政治が力の均衡によって動くことを冷徹に認識

2011-08-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

露 前原氏の北方領土視察は次期首相就任にらんでいたと見る
NEWSポストセブン
2011.08.25 07:00  
 8月6~7日、前原誠司前外相が、北方領土へのビザなし交流の枠組みで北方領土・択捉島を訪問した。前原氏が北方領土に渡るのは2006年に続き2度目である。前回訪問時、民主党は野党だった。今回は与党の外相経験者で、しかも将来の首相候補に前原氏の名前があがっている。ロシアは前原氏の動静を注意深くウォッチしている。ロシアと前原氏の駆け引きの裏には何があるのか、元外務省主任分析官の佐藤優氏が分析する。
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  前原氏は、国際政治が力の均衡によって動くことを冷徹に認識している。前原氏は、表現に細心の注意を払っているが、中国を日本にとっての現実的な脅威とみなして外交戦略を組み立てている。日米安保体制を盤石にするとともに、ロシアと戦略的に提携することによって中国を牽制することを考えている。
 ロシア側も前原氏の外交戦略をよく理解している。それは、前原氏の択捉島訪問に関し、8月9日に国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)が、日本向け放送で紹介したタチヤナ・フロニ氏の論評に端的に表われている。
 フロニ氏はこの論評で、ロシア科学アカデミー極東研究所のワレリイ・キスタノフ氏のコメントを紹介している。極東研究所は、中国、モンゴル、日本、北朝鮮、韓国の政治、軍事、経済がロシアの国益にどのような影響を与えるかについて調査するシンクタンクだ。クレムリン(大統領府)やホワイトハウス(首相府)の諮問に応じて報告や提言を行なっている。キスタノフ氏は、大阪の総領事館や東京の通商代表部に勤務した経験をもつ日本専門家である。ロシア政府の意向を代弁したり、観測気球としての発言をよく行なう人だ。
 フロニ氏の論評から興味深い部分を引用しておく。
〈前原氏は、有力な次期首相候補の一人だ。菅直人現首相は、近々退陣するだろう。少なくとも、彼に反対する人々はそう主張している。「係争中の領土問題」をめぐる行動の活性化の中に、現れているのは何といっても選挙を前にした戦いだ。それゆえ前原氏のエトロフ訪問は、そのコンテキスト(文脈)で捉える必要がある。氏には、政治の表舞台に戻る方法が求められており、もし氏が「北方領土」問題で何らかの新しい展開を見出す事ができるのであれば、政治家前原氏の支持率はさらにアップするだろう。
 ロシア日本調査センターのワレリイ・キスタノフ・センター長も、そう考えている。
「前原氏の訪問は、二心ある感じを呼び起こす。一方で、彼のエトロフ訪問は、ある程度センセーショナルなものだった。なぜなら、前外務大臣という立場の政治家が南クリル(引用者註・北方領土)を訪れた前例はないからだ。他方この訪問は、前原氏が、領土問題をどうにか動かすことが可能な何らかの相互に受け入れ可能な解決法模索という方針に向かって一歩前進した事を示すもの、とも言える。
 そうした方向への最初の一歩を、前原氏は、外務大臣としてモスクワを訪れた今年2月にすでにしるしている。自身の立場は強硬なものではあったが、前原外相はあの時、日本はやはり、島々での共同産業活動が可能となるような状況を検討できるだろうとの予想を口にした。もしそうなれば、実際、ロ日関係に突破口が開かれる。  メドヴェージェフ大統領のクナシリ訪問以後、ロ日関係は、ソ連邦崩壊後最低レベルまで落ち込んだ。ロシアは、これらの島々を我が物とするためエネルギッシュな行動に着手し、多額の資金を拠出した。今日クリル開発に、大変大きな注意が割かれている。ロシアは、開発に諸外国を巻き込んでゆく意向だ。中国はそれに関心を示している。先頃、韓国の議員団も島を視察した。日本には単に、自分達は『電車に乗り遅れつつある』といった感じが広まったように思う。おそらく生じた現実が、日本の政治家達を、何らかの相互に受け入れ可能な問題の解決法に促しているのだ。」〉
 こうキスタノフ氏のコメントを紹介した上で、フロニ氏は次のように論評を結んでいる。
〈前原氏はエトロフへのビザなし渡航の後、クリルとの協力拡大を口にした。この発言は、帰国後すぐ、根室でなされたものだ。 前原氏の新しいアプローチは、彼の人気を、とりわけ新しい世代、過剰な期待をクリルに持っていない世代の中で高める可能性がある。その一方で古い世代の人々は、前原氏が「北方領土」を訪れ、何らかの妥協策を模索していることに対し、強い批判を浴びせるに違いない。氏の行動は、日本の保守的な政治家達の側からすれば、旧来の立場からの逸脱を意味するからだ。
 そうした事から、今回の前原前外相のエトロフ訪問は、重要で意義深いものと言えるだろう。〉
 ロシア側は、前原氏が次期首相になることをにらんで、北方領土の現地視察を行なったと見ている。この見方は正しい。※SAPIO2011年9月14日号
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韓国国会議員の北方領土訪問、日韓の報道で温度差
サーチナ【政治ニュース】 2011/05/25(水) 16:28
  韓国国会の「独島(日本名:竹島)守護対策特別委員会」所属の議員3人が24日、日本とロシアが領有権を主張する北方領土・国後島を訪問した問題に関し、韓国メディアはあまり積極的に取り上げておらず、日韓の報道では温度差が見られた。
  韓国政府は「個人で訪問しており、韓国政府とは無関係」との立場を貫いており、24日に武藤正敏駐韓日本大使が外交通商部を訪れて抗議をした際にも、「純粋に個人レベルの訪問だった」との見解を改めて強調した。
  韓国メディアの関連報道は「日本政府が遺憾の意を表した」、「武藤大使が外交部を訪れて抗議した」、「日本の右翼が韓国議員の国後島訪問でパニック状態」などと、ほとんどが日本側の反応に焦点を当てている。
  25日付の産経新聞は仁川国際空港から帰国した議員らが空港で行ったインタビューの内容を取り上げているが、韓国メディアは25日の午前に帰国する予定であることに触れるだけで、議員3人の帰国を取り上げたメディアは見当たらない。
  韓国議員の国後島訪問が初めて報じられたのは20日、以降25日の15時現在まで大手ポータルサイトDaumでは、関連のニュース記事が約30件掲載されている。(編集担当:金志秀)
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北方領土、ロシア側の呼び方「南千島」に / ロシア軍、北方領土にミサイルまで配備するか2011-03-02 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
 北方領土が「南千島」に
2011/03/01Tue.中日新聞夕刊「清水美和のアジア観望」
 中国メディアに北方領土を「南千島群島(日本名・北方四島)」と呼ぶ報道が目立ってきた。外務省ホームページや人民日報など党機関紙は「北方四島(ロシア名・南千島群島)」と表記している。
「南千島」はロシア側の呼び方「南クリール諸島」の中国語訳。メディアでは北方領土問題でロシア寄りになる傾向がはっきりしてきた。
■「日本の正義の闘い」
 「北方領土返還を求める日本人民の正義の闘いを支持する!」。1970年代に中国を訪れると、中国のホストは必ず、こう繰り返した。
 中国と旧ソ連は社会主義の路線対立から60年代末には国境で武力紛争を起こすまで関係が悪化した。「第三次世界大戦を起こすのはソ連」と決め付けた中国はソ連の北方領土占領を「拡張主義」の表れとして日本を応援した。
 80年代に中ソ関係が正常化に向かうと、中国は北方領土について「日本とソ連(ロシア)の間で歴史的に残された問題で両国が解決すべきだ」(外務省)と語るようになった。しかし、中国で出版されている地図は今でも北方四島に日本と同じ色を付け日本領として扱っている。
■核心的利益を支持
 こうした態度が微妙に変化したのは昨年9月末、ロシアのメドベージェフ大統領が訪中し胡錦濤国家主席とともに発表した共同声明で「主権と統一、領土不可分など核心的利益に関わる問題での相互支持」を申し合わせてから。
 同時に発表した第二次世界大戦終結65周年の中ロ共同声明では「歴史の改ざんを許さない」と述べ歴史認識の一致を宣言した。これらが第二次大戦の結果として北方領土の占領を正当化するロシアへの中国の同調を意味するかどうかははっきりしない。
 しかし、共同声明が尖閣衝突事件で日中が対立する中で発表され、直後にメドベージェフ大統領が北方領土訪問計画を明らかにしたため、中ロが尖閣諸島と北方領土の領有を相互に支持することで合意したとの観測が浮上した。
 その後、ロシアは北方領土への中国企業進出を呼びかけた。人民日報系の国際情報紙「環球時報」(2月16日付)には「大胆に南千島群島の開発に参加すべきだ」と応える国際関係研究機関トップの寄稿が掲載された。
 しかし、その2日後には同じ新聞に「中国企業が北方四島の開発に参加すべきかどうかは難しい。こうしたビジネスは日本を不必要に緊張させる」と否定的な外交研究者の意見も掲載されている。
 実際には日ロ対立で、どちらにつくかをめぐる論争は中国で決着していないようだ。それがメディアに「北方四島」「南千島群島」の表記が混在する現状に表れている。
■機敏な外交が必要
 70年代のように、中国に日本への全面的な支持表明を期待できる状況ではない。しかし故周恩来首相が「北方領土をいまだ返還しない」ソ連を糾弾した歴史(党10回大会報告)を中国も否定しにくいはずだ。北方領土の表記がすべて「南千島」に変わるのを阻止する機敏な外交が問われている。
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北方領土 ミサイルまで配備するか
産経ニュース2011.3.3 02:48
 ロシア軍が北方領土に対艦巡航ミサイルや新型対空ミサイルを配備する軍備増強計画をまとめ、国防相に提出した。
 国後、択捉両島には、すでに3500人の部隊が駐屯している。これに最新兵器を加え、軍事面でも不法占拠を強化しようという狙いだ。
 根室から目と鼻の先の日本固有の領土で、主権を侵害する危険極まりない計画は断じて許されない。枝野幸男官房長官は「わが国の立場と相いれず、大変遺憾だ」と述べるにとどまった。日本は強く抗議すべきだ。
 また、ロシア軍参謀総長は先月末、フランスから購入予定のミストラル級強襲揚陸艦4隻のうち、少なくとも1隻をロシア太平洋艦隊に配備し、北方領土などの防衛任務にあてる可能性を示した。
 この強襲揚陸艦はヘリコプター16機、兵員900人を輸送する能力をもつ。ソ連崩壊後、ロシアが欧米から購入する最大規模の艦艇である。日本政府はロシアに対してだけでなく、フランスにも強く抗議すべきだ。
 ロシアは新型原潜を開発したのに続いて、昨秋、核搭載可能な新型弾道ミサイルの原潜からの発射にも成功した。このミサイルは米国のミサイル防衛網を突破する可能性がある。
 近く、新型原潜はオホーツク海に配備されるようだが、問題の対空ミサイルなどは、同海の「聖域化」を図る狙いがあろう。北方四島を一切返還する意思がないことを示している。菅直人政権は米国と連携し、この方面での防衛体制を強化すべきだ。
 先月末、国後島の農場で、複数の中国人労働者がロシアの労働許可を得て農作物の栽培に従事していることも明らかになった。北方領土でのロシアの管轄権を認めることになる中国人労働者の雇用は、日本として認められない。
 先に発表された同島でのナマコ養殖の中露合弁事業を含め、こうした経済活動による不法占拠の既成事実化にも注意を払い、その都度、抗議していく必要がある。
 尖閣事件後の昨年9月、中露両国は「主権や領土保全にかかわる核心的利益」での協力をうたった共同声明を発表した。以来、ロシアは不法占拠の固定化に向け露骨な敵対行動を繰り返している。
 ロシアの不当な行為を逐一、指摘し、それを国際社会に知らしめていかねばならない。


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