英離脱で高まる「EU分裂」の恐怖 テロ・低成長・移民で苦しむ欧州に もたらされる新たな危機 2016/6/24

2016-06-25 | 国際

英離脱で高まる「EU分裂」の恐怖 テロ・低成長・移民で苦しむ欧州にもたらされる新たな危機
By STEPHEN FIDLER 2016年6月24日17:32 JST
 【ブリュッセル】欧州連合(EU)加盟から40年余りを経て英国がEU離脱を選んだことで、欧州各国と西側世界全体は衝撃を受けている。
 英国民はEU離脱の影響に関して圧倒的な重みを持つ専門家の意見を無視した。自国の首相や議員の大半、オバマ米大統領ら欧米諸国の首脳陣たちの懇願もはねつけた。国際通貨基金(IMF)と左派・右派のエコノミストの大多数による恐ろしい警告も無視した。
 英国がEUから離脱すれば、欧米諸国が抱える共通の課題への一貫性ある対処がより困難になる。
 EU首脳陣にとってみれば、英国の国民投票の結果はさらなる分裂への恐怖をあおり、さらなる離脱への道を開くものだ。ナショナリズムを掲げるオランダやフランスなどの政治家は、英国の後に続いて離脱の道を目指す可能性が高い。すでに経済成長の減速やテロリズム、近隣の紛争地域から大量に流入する移民・難民といった問題を抱えているEUに、新たな危機がもたらされることになる。
 EU離脱を問う国民投票が実施されたこと自体が、域内の新興政党――おおむね反EU、反米、親ロシア――を同様の国民投票に向けて勢いづかせている。英シンクタンクの欧州外交評議会(ECFR)による新たな調査によると、こうした政党が実施を訴えた国民投票の数は32に上っている。ECFRはこれを「国民投票の高潮」と表現している。
 英国民投票の結果はEUのあり方を変えることになる。域内第2の経済規模を持つ英国が離脱すれば、大陸最大の経済力を持つドイツがEUでますます大きな影響力を持つことになる。それ自体、ドイツでは歓迎されざる結果だ。ドイツを含む北欧諸国はおおむね市場原理に基づく解決を望んでおり、イタリアやフランスといった保護主義や国家統制主義に傾きがちな南欧諸国に対する梃子(てこ)を失うことになる。
 EUは今や、他の側面でもバランスを失うことになった。英国はユーロ非導入国の中で断トツに大きな経済規模を誇る。その英国が離脱すれば他のユーロ非導入8カ国にとっての擁護者がいなくなる。次に大きなスウェーデンを含め、これらの国の政治家はユーロ圏の各国から圧倒されるのではないかと懸念している。英国が抜ければ、ユーロ導入国がEU経済の85%を占めることになる。
 仮に今回の結果がスコットランドの独立の是非を問う国民投票につながれば――スコットランドの住民の大多数はEU残留を望んでいただけに、この可能性は大いにある――スペイン政府などは国内の分離・独立派に連鎖的な影響が及ぶのではないかと懸念することになろう。ブリュッセルの当局者は、仮に英国が離脱し、スコットランドがEUに復帰すれば歓迎されるだろうと話した。2014年に行われた英国からの独立の是非を問う住民投票前にスコットランドが受けた冷遇とは対照的だ。
 こうした長期的影響が出る前に、EUは目先の不透明感に対処せねばならない。今回の結果を受け、今後27カ国になるEUの将来についての保証を示すために、首脳陣はトップレベルの会議を立て続けに行うことになるだろう。欧州中央銀行(ECB)は混乱を抑えるために行動するだろう。
 政策立案者は英国経済と密接につながっているアイルランドや、救済措置からの脱却にいまだに苦しんでいるポルトガルへの影響に注視するだろう。政情不安が増し、金融システムに対する懸念が続くイタリアも同様だ。
 欧州各国の政府は今後の英国の出方を待たねばならない。法的には、政府が正式に離脱の意志を表明しない限り、何も起こらない。EU残留を率先して訴えてきたキャメロン首相の後継者として、与党保守党が新たな党首を選ぶまで待たねばならない可能性が高い。そして英国はEUとどんな関係を目指すのか、新たなリーダーが新しい戦略を打ち出す必要がある。
 それから英政府はリスボン条約の第50条を行使するのか、行使するならいつかを決めなければならない。最も可能性が高く、かつ秩序ある離脱方法は、離脱後のあり方について話し合うため2年にわたる交渉期間を設けることだ。第50条はEU側が有利になるように設計されている。
 今は当たり前になっていることの大部分は、今後は交渉次第ということになる。貿易、航空、携帯電話の関税、デジタルデータ、犯罪者や航空機の搭乗者に関する情報共有など、多くの分野でこれまでの合意内容があらためて問われることになるだろう。
 EU各国の政府は英国に厳しくあたることで自国経済に打撃を与えたくはないと思うだろう。だが、英国にあまりに有利な取り決めは他国に離脱する動機を与えかねないことにも留意するはずだ。また、金融サービス業界などの企業が数多く英国から脱出すると見込まれるが、その際に各国は自国経済が利益を得られるように動くだろう。
 EUにとって慰めにはならないかもしれないが、こういう可能性もある。EUから離脱すれば英国は深刻な景気後退に見舞われるというIMFなどの予測は正しいとみている政治家やエコノミストがいる。それが本当なら、英国の後に続こうという国はあまり出てこないかもしれない。

 ◎上記事は[The Wall Street Journal]からの転載・引用です
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<英EU離脱>残留望んだ若者、怒りのデモ行進
(毎日新聞) 2016/6/25/10:55
 【ロンドン三木幸治】国民投票を23日に行って欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国。一夜明けた24日のロンドン中心部を歩くと、20代の若者たちがデモ行進をするなど、怒りの声を上げていた。「一日でこの国は大きく変わってしまった。高齢者がEU離脱を決めた」。残留を望んでいた多くの若者は将来を憂え、やり場のない思いを抱えている。
 「ノー・ボリス! ノー・ボリス!」。ロンドンの国会議事堂付近では、約30人の若者がEU離脱に反対するデモを行った。離脱派のリーダー、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長や米共和党大統領候補となることが確実でジョンソン氏同様に「大衆迎合主義」批判を受けるドナルド・トランプ氏の顔写真に×印をつけたプラカードもある。
 「離脱に投票した人は高齢者が多いと聞くが、若者の将来を考えたことがあるのか」。大学生のアリス・パーカーさん(23)は憤る。離脱で移民の入国は制限されるが、英国民もEU内を自由に移動する権利が制限される可能性がある。「この小さな島国では若者の活動や将来を保証してこそ、活力が上がる」
 国会議事堂では、英国の旗が高々と掲げられていた。議事堂前の芝生でくつろいでいた大学生のジェームズ・レーザーさん(22)も残留を希望していた。「ジョンソン氏は首相になるために、離脱派になったと聞く。そんな人が国を担えるのだろうか」
 議事堂前には23日まで、殺害されたEU残留派のジョー・コックス下院議員を悼む多数の花束が置かれていた。離脱が決まった24日、なぜか花束は撤去されていた。
 ◎上記事は[gooニュース]からの転載・引用です
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中国、キャメロン首相辞任は痛手か 元安阻止で介入観測 市場混乱を警戒
 zakzak 2016.06.24
 中国は、欧州連合(EU)離脱派が勝利した英国民投票の結果を受け、落ち着きを取り戻していた自国の金融市場が再び混乱することを警戒している。24日の上海外国為替市場で、人民元は対ドルで一時大幅に下落した。元急落を防ぐために中国人民銀行(中央銀行)が為替介入したとの観測も出た。
 中国との経済関係を重視してきたキャメロン英首相の辞任も痛手となりそうだ。キャメロン氏は昨年3月、中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を先進7カ国(G7)で最も早く決断するなど、中国とは経済面での実利を優先する外交を進めてきた。
 EUは12月までに、世界貿易機関(WTO)がこれまで「非市場経済国」と扱ってきた中国を「市場経済国」として認めるかどうかを判断する。各国の意見が分かれる中、英国は認定を支持する立場を取ってきただけに、EUの最終判断に影響する可能性もある。(共同)

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です
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AIIB 新たに24カ国が参加希望 発足後初の年次総会 2016/6/25
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