単刀直言「民主党にはアイデンティティがない■憲法改正は■衆参同日選は」自民・谷垣禎一幹事長2016.2.1

2016-02-01 | 政治

2016.2.1 09:08更新
【単刀直言】自民・谷垣幹事長「民主党にはアイデンティティがない」「憲法改正は…」「衆参同日選は…」
 甘利明前経済再生担当相が辞任すると聞き、私は安倍晋三首相に電話で「これは総理にとっても苦しい決断でしたね」と申し上げました。甘利さんはアベノミクスの推進役であり、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉でも非常に大きな功績を上げました。TPPは4日が署名式。国民の理解を得ながらどう進めるのか、待ったなしの状態です。ばんやむを得ないことが起こったのなら、幹事長としてしっかり与党の体制を整え直し、物事に遅滞が起きないようにしたい。今年は選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられますが、「政治とカネ」の問題で若い世代に政治不信を植え付けることのないようにもしなければなりません。
 今年はとにかく参院選を勝ち抜き、安定した政治を作らなければなりません。
 「政権交代可能な政治体制を作る」と四半世紀も議論して、その一つの集約が鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦各首相による3年3カ月の民主党政権でした。
 ある元民主党議員(松井孝治元官房副長官)は、「首相3人のやることが全部違った」と語っていましたが、私もまったく同じ意見です。民主党は何をやるのか、国民の目から見たらまったく分からない。つまりアイデンティティーがないのです。小選挙区が基本の衆院選挙制度のもとで、今もあれだけ野党がばらばらになっていたら、しばらく彼らは存在感を発揮しにくい。だから、われわれが安定した政治を作らなければ駄目なのです。
 景気の好循環はできつつあると思いますが、足元では株の乱高下など不安感もあります。世界最大の経済大国の米国が金融引き締めに移り、「世界中に出回っていたカネは大丈夫か」と不安感も出始めています。こういうとき、経済の弱いところからサーッとカネが引く現象が十数年に1度起こります。今はそういう局面で、中国の経済体制も問題になっています。日本の実体経済の問題ではありませんが、注意しなければなりません。
 日本では雇用は拡大していますが、なかなか消費の拡大につながりにくい。将来に対する不安感があり、これを解消する必要があります。「希望出生率1・8の実現」や「介護離職ゼロ」といった「1億総活躍社会の実現」は、生活に対する足元の不安をカバーし、「日本は大丈夫だ」と発信していく狙いがあります。こうした施策をしっかりやるためにも、政治の安定が大切になるのです。
 憲法改正の発議に必要な3分の2以上の勢力を確保するため、おおさか維新の会と組もうという人もいます。そんなことをしたら、現実に自民党で戦う大阪の候補者が戦えなくなりますよ。幹事長の立場からすれば、向こうに秋波を送るようなことは、選挙的には問題なんですよね。
 自民党は結党時から自主憲法の制定を掲げています。私が野党総裁のときには草案も作り、世論形成を進めてきました。しかし現実には、日本人の手で改憲した経験がありません。ただでさえ、日本国憲法の硬性度は高いですよね。例えば衆参両院で発議要件を整えて提起し、国民投票にかけたとする。そこでもし否決されたら、なかなか次の手立てが見つからず、混迷に陥ってしまうでしょう。ですから、誰の目からみても「今の憲法はここが欠けている」と思う場所から始めるのが現実的なのです。
 こうした事態を避けるため、本来、改憲は野党第一党も巻き込んでやるべきです。ですが、岡田克也代表は「立憲主義を理解しない安倍首相のもと議論すると、憲法そのものの破壊になる」と言っています。岡田さんは頭が固いんですよ。だから「おおさか維新と組んで3分の2」なんて議論が出てくる。あれも岡田さんに対する一種の牽制球だと思います。
 国会では、(大災害や他国による武力攻撃に備えるための)「緊急事態条項」がよく取り上げられますが、「緊急事態条項」という言葉がいいかどうかも問題です。ちょっと古い人は「戒厳令のことか」と想起し、色々な議論が起こりかねない。東日本大震災のような大災害が起きて、そこで国会議員の任期が来た場合どうするか。これは憲法の条項だから、県議の任期のようにはいきません。こういう議論もしっかり行いたいと思います。
 衆院選挙制度改革は、各会派で議論がまとまらなかったから有識者調査会に投げた経緯があり、一顧だにしないというのは失礼だ。答申を尊重するのが基本です。「一票の格差」を放置したままでは、2月に出る平成27年国勢調査の中間年簡易調査の結果を踏まえても、最高裁判決で「違憲状態」とされる可能性は極めて高い。議論はかなりスピード感を持ってやらなければなりません。「違憲無効」と指摘される不安を抱えた選挙は、どこかで卒業しなければなりません。なるべく今国会で改正案を提出できるよう、議論を加速したいと思います。
 他方、自民党も定数削減を唱えてきましたが、悩ましいのは、日本が人口減少過程になったということです。制度をしょっちゅういじってもすぐ格差が生じてしまう。ここで定数をあまりに減らすと、格差がより極端に出てきて、制度に柔軟性がなくなってしまう。答申は尊重しますが、これらの問題をどうするか。
 消費税再増税と同時導入する軽減税率の財源は、財政再建と矛盾してはいけません。秋から暮れにかけて諸制度に聖域なく切り込み、相当七転八倒しながら財源を見いだしていかなければなりません。
 「再増税を再延期しなければ、経済が不安だ」という人もいますが、増税分を社会保障(財源)に充てる約束を全部ひっくり返さなければなりません。これはかなり大変なことです。
 最近これとも絡め、衆参同日選について聞かれますが、「それは総理の専権事項」というのが定番の答えです。ただ、まだ前回の衆院選から1年ちょっとしか経っていませんよね。今の私の答えが「あと1カ月たてば(前回選挙から)3年たちました。残り任期1年となり、衆院解散はどうですか」と聞かれた時と同じであってよいわけがない。今は「常在戦場」とは答えますが、あまり与党の幹事長が「解散する・しない」と議論する段階じゃないと思いますよ。
(豊田真由美・水内茂幸)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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日本でしか通用しない異形なもの 日本のリベラル派は「特異リベラル派」に過ぎぬ 櫻田淳 2016.2.1 
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