元オウム真理教幹部 井上嘉浩被告の上告棄却 2009.12.10.

2009-12-10 | オウム真理教事件

【社会部発】オウム裁判終局 「真相」なお疑問
 産経ニュース2009.12.10 21:19
 約190人が裁かれたオウム法廷は、4被告を残すだけとなった。中でも麻原彰晃死刑囚の側近だった井上被告の判決確定は、オウム裁判全体が終局にあることを象徴する。
 井上被告を含む一連のオウム判決は、事件が教祖だった麻原死刑囚の指示・首謀で起こされたことを事実認定することで、刑事上の責任を総括していった。
 しかし、法廷を取材した経験を持つ者として一連の裁判が、前代未聞の大量殺人がなぜ起きたかの真相に肉薄したかについては、若干の疑問が残っている。何人もの被告の1審を傍聴した宗教学者が「凶行は教祖と弟子の欲望、感情がドロドロに重なりあったところに生まれたという一面もあるはず。刑事手続きには表れない生々しいオウムの部分を知りたい」と話していた。
 そんな中にあって、井上被告の法廷での様子や、接見した人から伝わる拘置所での様子は、教団のドロドロぶりや、1人の若者の心の葛藤(かつとう)、心の弱さが色濃く出たという点で異彩を放っていた。
 「オウムの申し子」「修行の天才」と評価され、1千人を入信させたという逸話もある被告。1、2審では、教祖夫妻の痴話げんかなどを饒舌(じようぜつ)に暴露しながらも、遺族から「格好いいことばかり言って」と批判されると激しく狼狽(ろうばい)。「申し訳ない」と何度も涙を流した。1審で「無期」宣告された時には、死の緊張感から解き放たれたためか、激しく泣いた。
 弁護人は最近の様子を、「16歳で入信、子供のままだった被告が、ようやく少し大人になってきたように感じる」と語る。他の教団元幹部らの死刑確定を聞くと、絶句し、言葉が出ない状態という。
 井上被告が法廷や接見者らにさらした生々しい姿。酌み取れる部分があれば、カルトによる悲劇を繰り返さないための教訓にしなくてはいけない。
 ただ、オウム裁判全体を見たときに、麻原死刑囚が何も事実を語ることなく裁判を終えてしまったことが返す返すも残念だ。(赤堀正卓、酒井潤)
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井上嘉浩被告の死刑確定へ オウム事件で9人目
 2009年12月10日 16時36分
 1995年の地下鉄サリン事件など10事件で殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部井上嘉浩被告(39)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は10日、被告の上告を棄却した。一審の無期懲役判決を破棄し、死刑とした二審東京高裁判決が確定する。
 一連のオウム事件での死刑確定は、松本智津夫死刑囚(54)=教祖名麻原彰晃=らに続き9人目。うち一審が無期懲役だったのは井上被告だけだった。元幹部新実智光被告(45)ら4人は上告中。
 井上被告は京都市出身。16歳で教団の前身「オウム神仙の会」に入り、教団では「諜報省大臣」を務めた。弁護側は「二審は地下鉄サリン事件での役割を過大視し死刑の結論を導いた。被告の反省も深まっている」として、死刑回避を求めていた。
 判決によると、井上被告は松本死刑囚らと共謀し95年3月20日、営団地下鉄(現東京メトロ)でサリンを散布し、乗客や職員12人を殺害するなどしたほか、94年の元信者ら2件の殺人事件に関与。95年には目黒公証役場事務長を拉致し監禁、死亡させた。(共同)
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〈来栖の独白〉
 オウム真理教に拉致されて死亡した目黒公証役場元事務長の長男、仮谷実さんは、本日のNHKの報道の中で「井上被告は、判決が無期懲役から死刑に移ってからは、自らを語らなくなった。自分ひとりで完結させてしまった。真相を知らないでは、遺族は、終わることが出来ない」と云った。井上被告、死刑と無期刑との間で烈しく揺れているようだ。
 井上被告同様、先般確定した豊田・広瀬死刑囚たち皆に、事件について、生死について、人生について、そして仏法について、心ゆくまで考えさせてあげたい。若すぎる彼ら。本来優れた感性の持ち主であったのに、人生のとば口で、散らしてしまった。
 仏陀は言う。「法(仏法)に依りて人に依らざれ」と。「私を崇拝するな。法によって生きよ」と。親鸞も、「弟子の一人ももたず」と言った。麻原彰晃という教祖(人間)を絶対視したところから、彼らは過った。法を求めさせてあげたい。道を求めさせてあげたい。
 既成の教団は、オウムの若者に道を示しえなかったことを猛省すべきだ。渇くように道を求めた彼ら。純粋な魂の持ち主が、単なる犯罪者として断罪された。既成の教団は腸(はらわた)を動かされなくてはならない。彼ら一人ひとりに、教団の鈍感を詫びねばならない。彼らを誰一人として救い得なかったことを、詫びねばならない。
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オウム井上嘉浩被告 上告棄却 09.12.10. 1審無期懲役判決では法廷で声を上げて泣いた 2審死刑では無言 2009-12-10 | オウム真理教事件 
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オウム裁判:平田信被告の公判 東京地検、井上嘉浩・中川智正死刑囚の証人尋問を申請 2013-03-20 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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