NSAによる盗聴 米「世界の国々は国益を守るため様々な情報収集活動を行っており、特別なことではない」

2013-07-01 | 国際

米 情報収集は特別なことではない
 NHK NEWS WEB 7月1日22時9分
 アメリカの情報機関が、極秘に大量の個人情報を収集していた問題で、アメリカのケリー国務長官は、日本を含む各国の大使館も盗聴などの対象になっていたとの報道が出ていることについて、「こうした活動は特別なことではない」と述べ、一般論ながらも、各国とも、こうした情報収集活動を行っているという見方を示しました。
 アメリカのケリー国務長官は、1日、ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議が開かれているブルネイで記者会見しました。
 この中でケリー長官は、アメリカのNSA=国家安全保障局による盗聴などの対象に、首都ワシントンの日本を含む各国の大使館やEU=ヨーロッパ連合の施設などが含まれていたと、ヨーロッパの新聞や週刊誌が相次いで伝えたことについて、事実関係を確認する必要があると説明しました。
 そのうえで、「世界中の国々は、国益を守るためさまざまな活動を行っており、あらゆる情報が活用されている。こうした活動は、多くの国にとって特別なことではない」と述べ、一般論ながらも、各国とも、こうした情報収集活動を行っているという見方を示しました。
 一連の報道は、問題を告発したCIA=中央情報局の元職員が保有するNSAの「極秘文書」の一部として伝えられていて、1日、ケリー長官と会談したEUのアシュトン上級代表がこの問題を取り上げるなど、ASEANを舞台にした会議の場でもアメリカに説明を求める声が上がっています。
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〈来栖の独白 2013/7/1 Mon. 〉
 可能な限りインテリジェンスの翼を広げるのは、国際社会においては当たり前のこと。自国を自分で守る・・・、あったりまえ。ところが、ありもしない「諸国民の信義と公正」に信頼して、この当たり前のことをしてこなかったのが日本。国際社会の、いい笑いもの。いつまでも敗戦国憲法に捕われていないで、眼を世界に向け、国際感覚を身に着けなければ、この国は亡びる。
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英紙「在米日本大使館も盗聴の対象」
 NHK NEWS WEB 7月1日 5時45分
 アメリカの情報機関が極秘に大量の個人情報を収集していた問題で、イギリスの新聞は30日、アメリカにある日本大使館も盗聴などの対象とされていたことが明らかになったと伝えました。
 イギリスの新聞、ガーディアンが30日伝えたところによりますと新たに明らかになった文書はアメリカのNSA=国家安全保障局が2010年に作成した極秘文書の一部とされています。
 文書には首都ワシントンやニューヨークにある日本を含む38の外国大使館や代表部が盗聴などの対象として記されているということです。
 対象国の中には日本のほかにもフランス、韓国、インドなどが含まれていたということです。
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米、日本大使館も盗聴 38の大使館、公館を対象に 英ガーディアン紙報道
産経ニュース2013.7.1 11:29
 【ロンドン=内藤泰朗】米国家安全保障局(NSA)による情報収集問題で、英紙ガーディアン(電子版)は6月30日、米当局が日本やフランスなど同盟国を含む38の在米大使館や代表部を盗聴の対象にし、特殊な電子機器などを使って情報収集を行っていたと伝えた。日本公館への盗聴工作が明らかになったのは初めてだ。
 同紙は、米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者から提供を受けたNSA機密文書を引用。2007年の文書によると、38の盗聴対象には、米国の敵対国に加えて、フランスやイタリア、ギリシャといった欧州連合(EU)諸国のほか、日本やメキシコ、インド、韓国、トルコなども含まれていた。
 しかし、10年9月の文書には、英国やドイツなどの西欧諸国は入っていなかった。盗聴対象となった公館はいずれも、「ターゲット(標的)」と書かれているという。
 ワシントンのEU代表部への工作では、暗号機能付きのファクス内に盗聴機と特殊なアンテナを仕掛けられ、職員のパソコン内のデータをのぞき見る手法も用いられていたという。日本大使館への情報収集の方法は不明。
 報道を受け、ドイツ政府高官は「冷戦時代の敵国への扱いをまざまざとさせる」と述べ、事実関係の釈明を米国側に求めている。
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米の盗聴報道 EU側が反発強める
 NHK NEWS WEB 7月1日 4時15分
 アメリカの情報機関が極秘に個人情報を収集していた問題で、EU=ヨーロッパ連合の施設でも盗聴や電子メールの傍受が行われていたとドイツの週刊誌が伝えたことについて、EUはアメリカ政府に即座に説明を求めるなど反発を強めています。
 アメリカのNSA=国家安全保障局が極秘に大量の個人情報を収集していた問題で、ドイツの週刊誌「シュピーゲル」は、29日、NSAがワシントンやニューヨークにあるEUの代表部に盗聴器を仕掛け、会議を盗聴したり、コンピューターネットワークに侵入して内部文書や電子メールを傍受したりしていたと伝えました。
 こうした報道について、EUの外交を統括するアシュトン上級代表は30日、「アメリカ政府に即座に連絡を取り、報道の内容について説明を求めている」とする声明を発表しました。
 また、ヨーロッパ議会のシュルツ議長も声明を発表し、「事実ならば極めて深刻な事態であり、EUとアメリカの関係に深刻な影響を与える」として強い不快感を表明するなど反発を強めています。
 EUはアメリカとの間で、自由貿易協定の締結を目指した交渉を開始することを先のG8サミット=主要国首脳会議の場で宣言したばかりで、アメリカ政府によるEU機関での盗聴疑惑の問題は、交渉の行方にも影を落とすことになりそうです。
*仏外相「米に説明求めた」
 アメリカの情報機関がEUの施設でも盗聴などを行っていたと報道されたことを受けて、フランスのファビウス外相は、30日、声明を発表し、アメリカ政府に説明を求めたことを明らかにしました。
 声明のなかで、ファビウス外相は報道について「事実だとすれば断じて受け入れられない」と強い不快感を示しました。
 そのうえで、「フランスは30日にアメリカ政府に対して説明を求めた。報道を受けて、われわれが懸念を持つのは当然であり、アメリカ政府が迅速に回答することを期待する」としています。
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関連; 狭まるスノーデン氏の選択肢/米NSA、EUにもスパイ活動/飛行機代や宿泊代など肩代わり―ウィキリークス 2013-07-01 | 国際 
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『動乱のインテリジェンス』著者(対談) 佐藤優×手嶋龍一 新潮新書 2012年11月1日発行 2013-06-27 | 読書 
  (部分抜粋)
p128~
 ■操られた鳩山発言
佐藤 鳩山さんとしてはおそらく本気で世界平和に貢献するんだと意気込んで出かけたのでしょう。いまイランが置かれている状況を考えれば、義憤に駆られたのかもしれません。イスラエルはNPT・核不拡散条約に加盟していない。したがってIAEAの査察を受ける義務がない。IAEAにしたって、他の疑惑のある国に比べて、イランに対してだけ、より厳しい対応をしているのはおかしいじゃないかと。これはダブルスタンダードだと。これこそまさにイラン政府がずっと言い続けてきたことなんですね。
手嶋 イラン政府の他には、こんな主張をしているものはいない。まさしくイラン政府が最も言って欲しかった議論でした。イラン大統領府の公式発表によると、鳩山さんがアフマディネジャド大統領との会談でそのように発言したという。
p129~
佐藤 詰めないといけないのは、「ダブルスタンダード」という言葉を使ったかどうか。そこがやはり1つのポイントになると思うのです。ただ問題発言を行った責めは免れないですよ。「NPTが不公平だ」と言ったことは認めている。鳩山さんの会見やブログ、大野さんのブログの中身から判断すると、「NPTが不公平だということは言ったが、IAEAがダブルスタンダードだとか不公平とは言っていない」ということのようです。
(p130~)しかしこれは、屁理屈にもなりません。どうしてか? NPT体制とIAEAの査察は表と裏だからです。NPTに加盟するならばIAERAの査察を受けないといけない。ですから、「NPTが不公平、ダブルスタンダードだ」というのは、「IAEAがダブルスタンダードで不公平だ」ということと同義です。
手嶋 そういうことになりますね。日本もかつて佐藤内閣の時に、NPTへの加盟をめぐって保守派の間で激しい議論がありました。当時の自民党内には、「NPTは、戦勝国にして核保有国が核を独占する不公平な体制だ」という意見が根強かった。しかし、敗戦国の哀しさです。NPT体制に加盟しなければ、原子力発電にも乗り出すことが叶わなかった。そのため、NPT条約に加盟してIAEAの査察を受け入れることにしたのでした。当時の保守派の議論には、一種の無念さが滲んでいますが、IAEAの査察はダブルスタンダードだとまでは言っていません。
佐藤 いまもそう言っている国はイラン以外にはないですし、恐らくその認識を持っていると想定される国があるとしたら、朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)ぐらいでしょうね(笑)。
P131~
手嶋 だから、やっぱりとてつもない発言なんですよ。
佐藤 そういう発言をする人を与党の最高幹部に戴く日本。そんな規格外の政治家が、世界に向けてとてつもないメッセージを発信してしまったのです。
p159~
 ■北朝鮮・イランの密やかな絆
手嶋 アメリカはイランと北朝鮮の「2つの核」への対応に根本的なジレンマを抱えています。地下水脈で、北朝鮮からイランへ、北朝鮮からシリアへと、核関連の技術が輸出されている。つまり、アメリカが北朝鮮に宥和的対応をとることは、イランの核を完成に近づけてしまいかねません。その最もシンボリックな例が、北朝鮮に密かに滞在していたイランのの専門家チーム。2012年4月13日、北朝鮮がミサイルを打ち上げた際、「シャハブ3」の開発チームが間近でミサイル発射の模様を見守っていたのです。
佐藤 これは新聞では産経新聞が大きく書いています。つまり産経は非常にいい情報源を持っているということでしょう。
p160~
手嶋 確かな筋からのリークなのでしょう。記事には曖昧なところがありません。相当な自信を持って書いている。情報源の信憑性に疑問があれば、こんな記事にはなりません。
佐藤 「絶対に騙さないよ」という信頼関係があるのでしょう。確かなインテリジェンス筋からの情報提供に違いありません。
手嶋 ただし、掲載の仕方も絶妙の場所でしたね。1面では扱っていない。
佐藤 常識的に考えると、1面トップですよね。
手嶋 ニュース・バリューからいえば、そうでしょう。にもかかわらず、トップ扱いにはしなかった。利害関係をあまり刺激しないでおこうという意図が働いたのか。編集陣がニュースの軽重を読み間違えたのか。さてどちらでしょうか。興味深いケースだな。
佐藤 情報源とどこまで相談したかは別に、極度には目立たないように配慮しているのは事実ですね。最近、東京発の情報が軽んじられる傾向がありますが、本質的に東京は情報戦の主戦場なんですよ。今回、産経が扱った情報は、本来なら内閣情報調査室とか外務省の国際情報統括室組織で「極秘」のスタンプが押され、「サード・パーティ・ルール」が厳しく起用されるような極上なインテリジェンスですよ。
p161~
手嶋 「サード・パーティ・ルール」に関しては、北朝鮮のミサイル発射のところで詳しく触れることにしましょう。
佐藤 仮に金で情報を取るとするならば、これは3千万円とか5千万円とか、そういうペーパーの内容ですよね。
手嶋 そういう極秘のケースでは、メディアを使って、世界に知らせるという手法が用いられることがあります。2007年9月に、イスラエルが、シリア国内にあった核兵器関連とみられる軍需工場を空爆して完膚なきまでに破壊した事件がまさにそう。イスラエルのF16戦闘機を中心にした編隊が超低空で侵入して空爆を敢行したのですが、爆撃されたシリアも、攻撃したイスラエルも、沈黙を守ったままでした。やった側も、やられた側も認めたくない。こうしたケースでは、メディアに少しずつ情報を漏らし、それとなく国際社会に知らせる手法がとられます。その陰にはロンドンとワシントンの影がちらついている。
佐藤 この核工場が北朝鮮からそっくり輸出されたものだったことには驚きました。
p162~
手嶋 シリア産のデュラム小麦が核工場の代金にあてられたと言われています。アメリカもイスラエルも北朝鮮から中東への輸送船については、重大な関心を払っていますから、この疑惑の工場は、当初から厳重な監視下に置かれていました。その果てに、イスラエル政府は、アメリカ政府の抑止を振り切って、空爆に踏み切ったのです。
佐藤 攻撃はヨルダンの領空を侵犯しないとやれません。イスラエル空軍の通常のラインに関与させない特殊オペレーションだった可能性があります。
手嶋 イスラエルのシリア空爆の際には、当時のコンドリーザ・ライス国務長官が制止しようとしました。これに対して、モサドの工作員が工場の作業服を着て現場に侵入し、スモーキングガン、動かぬ証拠を掴んで、ワシントンに提示したと言われています。
佐藤 イラク戦争のときは、CIAはイラクに大量破壊兵器があると勘違いした。情報評価についてCIA内部でも意見が割れましたが、結果としてCIAは情報評価を間違えた。このシリアに関するモサド情報はそうじゃない。客観的な証拠を握っていました。
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