匿名審理に賛否の声 京アニ事件 来月5日から裁判

2023-08-26 | 身体・生命犯 社会

2023/08/26 Sat. 中日新聞

匿名審理に賛否の声 京アニ事件 来月5日から裁判

 36人が犠牲となった京都アニメーション放火殺人事件で、9月5日から京都地裁で始まる青葉真司被告(45)の裁判員裁判は、一部の被害者を匿名にして審理する見通しだ。プライバシー保護を求める遺族の要望に配慮したためだが、憲法は公正な裁判を保護するために公開の原則を定めている。「行き過ぎた非公開」の弊害を懸念する声もある。

▷拒否
 京アニ事件では、2019年7月18日の発生当初から被害者の氏名公表の是非が議論となってきた。京アニや遺族の多くは実名公表を拒否し、京都府警は慎重に意向確認を進めた結果、発生から40日となった8月27日までに35人の氏名を公表。その後死亡した1人の実名も発表した。
 府警は「事件の重大性や公益性を考慮した」と説明したが、半数以上の遺族からは承諾を得られないままだった。公判での匿名審理もこうした経緯が背景にある。
 ただ、犠牲になったアニメーター木上益治さん=当時(61)=の元同僚本多敏行さん(72)が「事件を防ぐ一助になるなら、名前を出すべきだと思う」と語るなど、当事者に近い人の間でも考え方はさまざまだ。

▷違和感
 刑事裁判の法廷で被害者の氏名や住所を伏せて審理できる制度は、被害者参加制度とともに07年の法改正で新設された。性犯罪のほか、被害者の名誉や社会生活の平穏が「著しく害される」懸念がある場合も対象だ。
 最高裁の集計によると、13~22年に秘匿が認められたのは39361人。憲法違反だとして裁判で争われたケースもあるが、いずれも憲法や法律に反しないとの判断が示されている。
 相模原市の知的障碍者施設「津久井やまゆり園」で16年、入所者19人が殺害された事件の裁判でも適用され、被害者は「甲A」「甲B」などの記号で読み上げられた。
 一方で、疑問を持ち、実名審理を求めた遺族も。美帆さん=当時(19)=の名前を公表した母親(60)は「美帆はたった一人の大切な娘なのに記号で呼ばれることに違和感を抱いた。生きた証しを残してあげたかった」と振り返る。
 母親は、「名前を出したことで事件の重みが伝わったと思う」としながらも「いろいろな事情で出せない人もいるだろう。家族の中でも意見が異なることがよくある」とも話し、匿名を選んだ遺族を気遣った。

(以下略) 

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)



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