バラバラ遺体を見つけてしまった「22歳関西キャバ嬢」に白石被告が送ったLINE《座間9人殺害・拘置所面会》 #4

2020-11-02 | 死刑/重刑/生命犯

バラバラ遺体を見つけてしまった「22歳関西キャバ嬢」に白石被告が送ったLINE《座間事件・獄中面会》#4
  小野 一光  
genre : ニュース, 社会 
 9月30日に、東京地裁立川支部で初公判が開かれ、現在も裁判が続いている「座間9人連続殺害事件」。白石隆浩被告が強盗・強制性交殺人罪などに問われている。
 2017年8月からの約2カ月間に、SNSで自殺に関する投稿をした当時15~26歳の男女9人を誘い出して殺害し、自宅で遺体を解体。遺体の大部分は遺棄されていたが、頭部などは自宅のクーラーボックスから発見された。 この世間を震撼させた凶悪事件の加害者である白石被告は一体どんな人物で、如何にして犯行に及んだのか――。
 ノンフィクションライターの小野一光氏は、立川拘置所(東京都立川市)で白石被告と11回にわたって面会し、その対面記録を「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に連載している。本記事では同誌2020年10月29日号に掲載された連載最終回から転載する。

「殺人の理由はおカネと性欲ですよ」
「自分のなかにフローチャートがあって、出会ってまず、おカネがありそうかどうか判断するんですね。おカネになりそうだったら、付き合っておカネを引っ張って、おカネにならなそうなフローチャートの人はレイプする。ほんと、殺人の理由はおカネと性欲ですよ。まあ、3人目の男性は証拠隠滅のためでしたけどね」
 9月2日の10回目の面会。白石隆浩は被害者9人を殺害した理由について、そう口にして振り返った。そこで私は聞く。
「亡くなった方への気持ちはどうなの?」
「本音を言うと、なにも思ってないんですよ」
 白石は即答する。そして、ちょっと間を空けて言い換えた。
「他の事件とかを見ても、(被害者や遺族に)謝る人はいますけど、僕の場合は遺族に対してはなにも思わないですね。まあ、被害者に対しては、少しは思うことがあるんですけどね…」
 それは連続殺人の場となった部屋を借りる費用を肩代わりし、最初に殺された被害女性に対してだという。
「初めての殺人でしたけど、一緒にすごしたのが長かったので、情が移ったというか、かわいそうなことをしたかな、という思いはありますね。ただ、2人目以降については、正直、なにも思ってないです」
 そこまで話を聞いたところで、私は6回目と7回目の面会で話に出た、彼が付き合いながら殺害していない、32歳のマッサージ師の女性のことを思い出した。
 SNSで知り合ったというその女性とは、’17年の8月頭から、逮捕直前の10月中旬まで付き合っていたと聞いている。
 そこで私は、なぜ殺さない女性がいたのかを尋ねた。

殺人鬼が”殺さなかった女性3人”の正体
「おカネになりそうだったからですね。その女性のオゴリでご飯を食べたり、ホテルに行ったりしてましたから。部屋に入れて殺してないのは、彼女を含めて3人います。1人目は2カ月付き合ったその女性。2人目は部屋に10日間泊めて、飯をオゴってもらったり、生活費を出してもらったりした女性。3人目は口説いたけど、私に魅力がなくて、口説く力が足りなくて、そのまま帰ってもらった女性です」
 3人目については、白石がレイプをして殺してしまうこともあり得たのではないかと思ったが、そのときはすんなり帰してしまったのだという。
 ただ、1人ではなく3人の“生還”した女性がいたというのは、初めて聞くことだった。そのことについて、さらに詳しく聞いたのは、9月9日の11回目の面会のときだ。以下、その日の対話に話題を移す。
「10日家に泊めた人は、関西からやって来た22歳くらいのキャバ嬢でしたね」
「時期はいつ?」
「9月上旬から中旬くらいです。ツイッターで知り合って、わざわざ来たんですよ。自殺志願者でした。なんか彼氏が逮捕されたみたいで、(精神的に)不安定になって、ツイッターに『死にたい』と投稿してたのを僕が拾ったんです。どっちかがフォローして、繋がりましたね」
 白石は前回(10回目)の面会のときに、相手探しにツイッターを利用した理由について、「スカウト時代にツイッターを使って(スカウトを)やってて、その結果がよかったんです」と説明していた。
「その日、僕のアパートに泊まったんですけど、相手は水商売だから、これはカネになると思って、必死に口説いたんです。で、なんとかなったんで…」
 ただし、彼女と肉体関係はなかったと語る。
「僕もスカウト時代に、ヤレる、ヤレないはわかってたんで、カラダは求めなかったですね。継続的にカネを引っ張れると思ったから殺さなかったんです」
 白石曰く、彼女は「普通にすごして、普通に帰った」のだそうだ。私は質問する。
「カネを引っ張れるっていうのは、具体的にはどういうふうに?」
「食費とかですね。私にとっては派手な生活をしたんです。サイゼリヤとかピザのデリバリー、カツ丼とか、全部出してくれましたから。それで、彼女は親に無断で出てきてたから、『お母さんが心配してるから帰る』って言って、帰ったんです」
 この女性がいた期間、すでに部屋には何人かの遺体があったはずだ。そのことに触れると、白石は予期せぬ言葉を口にした。

「女の子がいる最中にも、4人目を殺してる」
「すでに遺体が3つあって、信じられないかもしれないですけど、その女の子がいる最中にも、4人目を殺してるんです。『友達呼ぶから、ちょっと出てて、ごめんねー』って、その子が出てる間にパッパと済ませて…」
 白石が言うには、その間に殺害も解体も済ませたのだと…。私は唖然としながらも、なんとか質問する。
「そんな短時間にできるもんなの?」
「いや、その子は7時間くらい出てましたから。だんだん慣れたというか、最後
のほうになると、2時間くらいでできるようになってましたね」
 さらに白石は想像もしなかったことを口にする。

クーラーボックスの"中身"を覗いてしまった女性
「その子はやっぱり部屋のケース(クーラーボックス)に興味を持ってました。だから正直に説明したんです。『自殺を手伝ってるんだよ』って。殺してバラしてることを言ったんです。向こうは『えっ!』って感じでしたね。『大丈夫なの? 警察来ないの?』って聞かれましたけど、『大丈夫だよ』で終わり。ただ、内心は不安だったみたいですね。(逮捕後に)調書を見ると、1人目と2人目は部屋をあさってたみたいですから」
「クーラーボックスのなかを見たってこと?」
「そうみたいですね。それで不安になって、出ていったのかもしれないですね」
 続けて白石は、3人目の女性の話を始めた。
「3人目は9月中旬です。2人目の子が実家に帰った直後です。彼女は女子高生でした。親が金持ちらしくて、たしかにそういう雰囲気があって、顔も人形のように整ってましたね」
 そんな彼女とも、やはりツイッターで知り合ったという。
「夜にうちに来て、頑張って口説いたんですけどダメで、翌日帰っちゃいました」
「どうしてダメだったんだろう?」
「まあ、単純に僕の魅力が足りなかったんですよ」
「その子には、クーラーボックスのことは聞かれなかった?」

殺人を告白した相手女性に送ったLINE
「聞かれましたね。だから彼女にも正直に話してます。ただ、口説けなかったでしょ。2番目の子は口説いた後でその話をしたから、大丈夫だと思ったんですけど、そのときは正直焦って、彼女が帰った後でラインをして、『さっきのは全部嘘だから。忘れてね』ってメッセージを送りました」
「なんで口説き落とす前に、クーラーボックスの話をしちゃったの?」
「自分の口説きにある程度、自信を持ってたんですよ。だから、口説けば大丈夫だと思ってたんです。そのことは警察にも話してます」
 ここで刑務官から、残り時間が5分であると知らされた。私は取材を打ち切り、次回の面会は9月16日にすることを話した。
「じゃあそのときに、深田恭子の昔の写真集と、インコとハムスターの写真集をお願いしますね」
 この日もすでに、ハムスターの本2冊と鳥類図鑑を差し入れていた。
「あ、それから…」
 白石は今日帰る前に、次の物品を売店で購入して差し入れてほしいと口にした。

白石が送る拘置所生活の実態とは?
「その分は次回の謝礼から差し引いてください」
 彼が私に求めた物品は次の通りだ。

●鉛筆の黒と赤と青を1本ずつ
●B5版ノート1冊
●歯ブラシ(やわらかめ)1本
●綿棒1セット
●つまようじ1セット
●防寒長袖U首(厚地、3Lサイズ)1枚
●防寒長ズボン(厚地、3Lサイズ)1本
●砂消しゴム 1個
●白タオル 1本

 以上、計8876円の差し入れだった。
 そして、約束した9月16日に、12回目の面会をするべく、拘置所へと向かう。すると、いつもとは違い、面会室ではなく、面会窓口に呼ばれた。
「申し訳ありませんが、今日は辞退するそうです」
 どうしたのだろうか。なにかあったのだろうか。私はその夜、白石に電報を打ち、次は9月25日に行くことを伝えた。
 だが、その日も彼は面会を辞退した。私が書いた記事が、なにか彼の逆鱗に触れたのかもしれない。そこで最後にもう1回だけと、9月28日に拘置所を訪れたが、結果は同じだった。
 こうして、白石との対面は計11回で、あっけなく幕切れとなったのである。ただ、ある意味、それも“彼らしい”と納得する自分がそこにいた。

 ◎上記事は[文春オンライン]からの転載・引用です


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