宮城県 性犯罪前歴者やDVの加害者をGPSで監視検討/石巻3人殺傷事件が契機

2011-01-24 | 社会

〈来栖の独白〉
 前科があるとはいえ、所在が分かってしまう装置を常時つけさせて監視する。憲法違反、人権侵害である。
 過ちを犯した人の更生可能性は本人にではなく周囲の人たちが鍵を握っている、と私は考えてきた。前科者だからと疑い、監視を怠らない、そのような不信の中では、人は更生できないだろう。
 人を、監視・排除の対象とする。おぞましさに戦慄する。
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性犯罪:GPS条例検討…「慎重議論を」宮城県・有識者懇
 宮城県の村井嘉浩知事は22日、強姦(ごうかん)など性犯罪の前歴者やドメスティックバイオレンス(DV)の加害者に対して、警察が全地球測位システム(GPS)で行動を監視できるようにする全国初の条例の試案を、県の有識者懇談会に提案した。行動監視は基本的人権の制限にもつながるとの懸念もあり、懇談会では慎重な議論を求める意見が相次いだ。【比嘉洋、須藤唯哉、三村泰揮】
 懇談会は冒頭のみ公開された。村井知事は条例制定の目的について、「全国一律で対策を取るのが望ましいが、国は重い腰をあげない。宮城県がのろしを上げ、先駆けになりたい」と説明。韓国で性犯罪の再犯者にGPS携帯を義務づけたことで再犯が減っているとの事例を示し、「大きな抑止力になる」と主張した。
 懇談会後、出席者の太田達也慶応大教授(刑事政策)は「前歴者の権利を制限する内容なので、慎重に考えないといけない」と指摘。「韓国はGPSの他にもいろいろな性犯罪防止策があり、GPSだけに目を向けるのは良くない」と海外の事例を安易に評価しないよう求めた。
 また、沼崎一郎東北大教授(文化人類学)は、警察が被害届や相談を受け付ける際の対応を改善するだけで防げる犯罪は多いと指摘し、「現行法の範囲でできることはたくさんある」と述べた。
 懇談会では、GPSの携帯は、性犯罪前歴者の仮出所時だけに限定するという案も出されたという。
 懇談会は昨年末にスタート。メンバーは5人で、学者3人のほか、被害者の悲惨な体験や加害者に対する思いを知るため、実際に性犯罪に遭った体験を著書に記した小林美佳さんと、DV被害者保護施設「宮城県コスモスハウス」の大塚憲治施設長が参加している。
 条例は効力が県内にしか及ばないため、実質的に性犯罪前歴者を県外に追いやるおそれもある。この点について村井知事は記者団に対し、「可能性は十分ある」と認めたうえで、県の施策が他の都道府県にも波及することにも期待を示した。県は懇談会を3月にも開催し、条例化を進めるかを判断する方針。
 ◇石巻3人殺傷事件が契機
 性犯罪前歴者やDV加害者の行動を監視する今回の条例試案は、宮城県石巻市で10年2月に起きた少年(19)=1審で死刑判決・控訴中=による3人殺傷事件をきっかけに、村井知事が自ら発案した。
 石巻市の事件では、少年が元交際相手の少女の姉や友人を殺害。事件前、少女は少年から激しい暴力を受けており、県警に何度も相談していたことが明らかになった。事件を防げなかったことを悔やんでいた村井知事は、県職員の抵抗が強かったものの、「実効性のある踏み込んだ犯罪防止策」を作ることにこだわったという。
毎日新聞 2011年1月23日 14時22分(最終更新 1月23日 14時39分)
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