〔焦点〕消費増税法案 大綱から大幅後退、政治の意志が問われる結果に=民主党
2012年 03月 28日 07:23 JST[東京 28日 ロイター]
消費増税法案をめぐる民主党の事前審査は、意見集約を優先して決着、経済状況次第で増税を停止する「弾力条項」には「名目3%成長・実質2%成長」を努力目標として盛り込んだ。政策の実現を成長率の達成で自動的に縛る内容ではないが、ハードルが高くなったのも事実。再増税項目にいたっては全面的に削除し、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を視野にさらなる税制抜本改革の方向性を示した「大綱」からは大幅に後退した。
財政健全化のコミットメントとしてはあいまいさが残り、将来世代へのつけ回しを是正するための政治の意志を明確に示すことに失敗した。
<政府原案から譲歩の連続、弾力条項で成長率達成の条件化は回避>
党内手続きは増税反対派の抵抗で難航を極め、最終決着は執行部が当初目指した16日から月内最終週に大幅にずれ込んだ。30日の閣議決定を視野に逆算する綱渡り状態。かろうじて野田佳彦首相が約束する年度内の法案提出にたどりついた。だが、法案内容は、政府原案から再三の譲歩を迫られ、実現性の後退は否めない。
とりわけ、「弾力条項」への成長率明記を回避することは執行部にとって譲れない一線だった。「名目成長率3%、実質成長率2%の達成を条件として明記すべき」との増税反対派の主張に対して、執行部は「数値(目標設定)は(増税を)やらないということと同じだ」(藤井裕久税調会長)として反対を貫いてきた。
「名目3%、実質2%」成長は新成長戦略で閣議決定されているが、ここ20年間の実績をみても、名目成長率が3%を超えたのはバブル経済末期の1991年度の4.9%が最後で、リーマンショック前の2000年度─2007年度では平均0.16%にとどまる。このため、成長率の達成を条件とすれば、増税の実現が遠のきかねないからだ。
しかし、最終局面で、法案の意見集約のために、野田佳彦首相と前原誠司政調会長、輿石東幹事長が英断。弾力条項では新たに「名目経済成長率3%程度、実質経済成長率2%程度を目指した望ましい経済成長に早期に近づけるための総合的な施策の実施・その他の必要な措置を講じる」との文言を加え、新成長戦略で掲げた成長率の実現を担保することで増税反対派・慎重派に歩みよる修正を行った。同時に、施行前に「経済状況などを総合的に勘案したうえで」判断することも明記。この2項目を合わせ読むことで、執行部が警戒した「増税先送り」にはつながらないと判断した。
終了後会見した古本伸一郎税調事務局長は増税先送りとの見方を全否定し、経済成長率の達成が「停止条件でないことを確認した」とも説明。消費増税の実施が自動的に成長率で縛られるものではないとしたが、実現に向けたハードルは確実に上がった。
<20年度の財政健全化目標達成めどたたず、「決められない政治」の象徴>
大幅に後退したのが、消費税率10%超への引き上げを視野に入れた「再増税条項」。政府・民主党執行部は今回の消費税引き上げは抜本税制改革の「一里塚」で、社会保障の安定と充実のためにはさらなる増税は不可避との認識を示してきた。政府原案では「さらなる税制改革について、16年度をめどに法制上の措置を講じる」とし、16年度までに追加増税の法案を決定する姿勢を明示していた。
しかし、事前審査で、政府案から「16年度」の時限と「法制上」の文言が削除され、「法律の公布後5年をめどに措置を講じる」と次第に追加増税の方向性をトーンダウンさせていった。「旗はボロボロだかポールは立っている」──。古本氏は、条文に込めた政府・民主党執行部のこだわりをこう述べていたが、最後は、項目全体がすっぽり削除された。
「税制改革」の言葉尻を取り繕う結果、格付け会社が注目する「財政健全化目標の達成に向けた政治の意志」を伝えることに失敗したつけは大きそうだ。
政府は「2015年度の基礎的財政赤字対GDP比半減、2020年度の黒字化」を財政健全化目標に掲げ、G20サミットなどの国際会議で明言してきた。しかし、消費税引き上げ時期をめぐる昨年末の素案決段階で、民主党は2009年マニフェスト(政権公約)との整合性を優先させ消費税引き上げ時期を半年ずらした結果、2015年度の基礎的財政赤字の半減目標は1年後ずれする結果となった。
内閣府の中長期試算では、名目成長率1%台半ばの慎重シナリオでは、20年度のプライマリーバランスは黒字化どころか(GDP比)3%の赤字のまま。額にすると16.6兆円の赤字で、仮にこの不足分をすべて消費税で穴埋めするとすれば、さらに6─7%分の税率引き上げが必要な計算だ。しかも、これには民主党が公約する「最低保障年金」導入による社会保障費増額分は反映されていない。次の改革の必要性にふたをし、またも「決められない政治」を露呈させてしまった。
<30日閣議決定に向け、国民新との調整へ>
党内の法案審査手続きは終えたが、30日の閣議決定までにはなお難関が控えている。国民新党の亀井静香代表は増税法案への反対を鮮明にしている。国民新党内も一枚岩ではないが、亀井亜紀子政調会長は25日のNHK番組で、消費増税法案が閣議決定された場合の連立離脱の可能性について「決定権は亀井静香代表にある」と述べており、予断を許さない。
(ロイターニュース 吉川裕子:編集 石田仁志)
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党内強行採決
March 28 [Wed], 2012, 5:03 ハム'ず ひとりごと
本日午前2時40分頃、民主党政調会議において、とんでもない強行採決が行われました。非常に良い議論が出来つつあったのに、途中から、司会者が一切、政府や政調会長に答弁を促さず、勝手に意見表明をさせて置けみたいな進行になって、これはおかしいぞ!と思った矢先の強行採決。いや、採決ならまだしも賛否を問うが、どう見ても、参加者の多数意見は、増税法案の不備や杜撰さを指摘し、このままでは認められない、という意見であったにも関わらず、菅政権以来のお家芸、上が決めた事だから従え!的な意味不明などさくさ紛れの打ち切り宣言。手回し良く、マスコミが待機する廊下に至るドアはロックされた。一箇所だけ開いているドアから、抗議の人垣に囲まれた前原政調会長を退室させようとして、無理をするものだから、ドア付近で混乱が起きた。前原氏は、逃げ惑うようにして、一旦は、会場に戻るも、もう一度最期の議論をと懇願する声を側近が遮って、一瞬の隙に、退室させた。
増税反対派は無論のこと、推進派や中間派と言われる人々の中でも、民主的な手続きを大事にする方々の多くが、こうしたやり方に茫然自失して、会場に残ってくれた。今夜の暴挙は類例のないものであった。苦い杯に良薬を盛るための詰め、また、いくら良薬に満たされていようが飲み下す体力のない方々への配慮を確実にするための詰め、その最後の詰めなのに、突然、議論を打ち切って、大いなる禍根を残した。
思えば、現総理と政調会長は、民主党結党以来の危機であった、あの偽メール事件の際、代表と国対委員長というコンビを組んでいた。あまりといえば余りな、懲りない面々である。
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民主、未明の大混乱=小沢系「めちゃくちゃな話」-消費増税
消費増税関連法案をめぐる民主党の事前審査は28日午前2時すぎ、前原誠司政調会長が拍手と怒号が交錯する中で一任取り付けを宣言、幕切れとなった。会場となった衆院議員会館の会議室は大混乱。出席者がもみ合う中、前原氏は会場を抜け出した。増税に反対する小沢一郎元代表に近い中堅・若手議員らは収まらず、「こんなめちゃくちゃな話があるか」などと怒りをぶちまけた。
出席者によると、延べ8日間、40時間余りにわたった議論を終結させるきっかけをつくったのは、ベテランの石井一参院予算委員長。反対派に向かい、「文句があるやつは9月の代表選で戦えばいい」と言い放って法案の閣議決定を認めるよう求め、執行部に審査打ち切りを促した。
これに対し、反対派の川内博史衆院議員は、なおも議論を続けるよう求めたが、前原氏は「皆さんの思いは十分に承った。私に一任いただきたい」と発言。場内は賛成派の拍手と反対派の怒声で騒然となったという。
小沢グループは、法案審査を仕切る前原氏が「一任を得た」と一方的に宣言して姿をくらますのを阻止しようと、出入り口付近に極真空手経験者ら「武闘派」を配置。前原氏は野田佳彦首相に近い議員らに守られながら脱出を試みたが、反対派がつかみかかって、前原氏を囲んだ議員ともみ合いとなったため、反対側にある別の出入り口から会場を逃れた。(時事通信2012/03/28-08:23)
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消費税法案 抗議の中で議論打ち切り 消費税法案 前原氏一任で慎重派反発
NHK NEWS WEB 3月28日 6時20分
民主党の消費税率を引き上げるための法案の事前審査で、前原政策調査会長は、新たな修正案を示したうえで、今後の対応について一任を求め、抗議の声も上がる中、28日未明、議論を打ち切りました。
これに対し、消費税率の引き上げに慎重な議員らは「議論は尽くされていない」などとして強く反発しています。
民主党の前原政策調査会長は、27日夜、開かれた消費税率を引き上げための法案の事前審査で、引き上げに慎重な議員に配慮して、野田総理大臣らと調整してまとめた新たな修正案を示しました。
それによりますと、焦点となっている「景気弾力条項」について、「消費税率の引き上げにあたっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、平成23年度から10年間の平均で、名目で3%程度、実質で2%程度の経済成長率を目指した望ましい経済成長のあり方に早期に近づけるための必要な措置を講じる」などとして、数値は盛り込んだものの、引き上げの直接の条件とはしない形としています。
また、追加の増税を示唆するものだと指摘されていた、消費税率を10%に引き上げたあとの改革の方針の規定については、項目そのものを削除することになりました。
これに対し、出席者からは「引き上げの条件として数値を明記すべきだ」とか、「経済状況が好転しない場合に引き上げを停止できるのか不明確だ」などと異論が相次ぎました。
そして、事前審査の開始から6時間余りがたった午前2時すぎ、前原氏は「皆さんの思いを受け止めたので法案の審査などについて、ご一任いただきたい」と述べ、今後の対応を一任するよう求めました。
これに対し、出席者から抗議の声が上がる一方、拍手も出される中、議論は打ち切られました。
このあと、税制調査会の古本事務局長は記者団に対し、「集約した。一任をいただいたということで終わった形だ」と述べました。
政策調査会は、28日午後、役員会を開き、法案の閣議決定を了承することを決める方針です。
一方、小沢元代表に近い東祥三衆議院議員らは、会議のあと記者会見し、前原氏への一任の取り付けに抗議し、法案の閣議決定に反対する緊急声明を発表しました。
東氏は「3月末までの閣議決定に固執し全く議論が収れんされないままこのような結果になったことは誠に不本意であり、厳重に抗議する」と述べるなど消費税率の引き上げに慎重な議員らは強く反発しています。
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民主 事前審査大詰めの局面に
NHK NEWS WEB 3月27日 20時46分
民主党は、消費税率を引き上げるための法案について、27日午後8時から事前審査の会議を始めました。
これに先立って、前原政策調査会長は、焦点となっている景気弾力条項などを巡って野田総理大臣と協議しましたが、調整は整っておらず、会議を開始したあとも断続的に調整し、27日夜中に決着を図りたいとしています。
27日午後8時から始まった民主党の会議には、200人近い議員が出席しています。
冒頭、前原政策調査会長は「野田総理大臣が『今年度中の閣議決定を不退転の決意で目指す』としていることを、何としてもやり遂げなければならない。その意味で、きょう、議論をまとめさせていただき、党として決定させていただきたい」と述べ、27日夜中の決着を目指す考えを改めて示しました。
これに先だって、前原氏は、野田総理大臣や岡田副総理、それに民主党の輿石幹事長と総理大臣公邸で、およそ1時間にわたって会談しました。
この中では、焦点となっている「景気弾力条項」や消費税率を10%に引き上げたあとの改革の方針の規定について、引き上げに慎重な議員にも理解を求めるため、法案をどのように修正するか協議しました。
しかし、会談のあと、前原氏は記者団に対し、「継続だ」と述べ、野田総理大臣と調整が整わなかったことを明らかにしました。
前原氏としては、会議を開始したあとも野田総理大臣と断続的に調整を進めることにしています。
一方、27日夜の会議では、川内博史衆議院議員が「法案は単なる消費税大増税法案であって国民の気持ちに沿ったものになっていない。議論を打ち切り、前原政策調査会長へ一任することは認められない」などとした文書を執行部に提出するなど、小沢元代表に近い議員らは反対する姿勢を強めており、事前審査は大詰めの局面を迎えています。
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◆小沢一郎氏「国会で議論の見通しない」消費増税で首相批判 CS放送/小沢G、政務三役十数人の辞任論も 2012-03-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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