生きる迷い、苦悩深く ALS嘱託殺人から1カ月 熊本県内の患者「家族が支え」 2020/8/23

2020-08-25 | Life 死と隣合わせ

生きる迷い、苦悩深く ALS嘱託殺人から1カ月 熊本県内の患者「家族が支え」
2020/8/23 16:00 (JST) 
©株式会社熊本日日新聞社

  難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に薬物を投与し殺害したとして、医師2人が嘱託殺人容疑で逮捕されて23日で1カ月。事件が安楽死の是非を巡る議論に結び付くことへの懸念の声がある一方、「生きることに迷いがないとは言い切れない」という患者の苦悩も浮かび上がる。
「ALSは呼吸器を着ければ生きられるが、その半面、不安や苦痛も続く。死を考えるのは誰しもある」
 熊本市内の病院に入院するALS患者の田山裕明さん(60)=錦町=は、意思伝達装置で熊日の取材に答えたメールに、亡くなった女性への共感をつづった。ただ、ALS患者に「安楽死」のイメージが付くことに危機感もあるという。「周囲の環境によって、生きることに対する患者の考え方は違ってくる。議論を深めることが大切だと思う」
 ALSは筋肉を動かす神経が侵され、手足の脱力などの症状が出る。詳しい原因は不明で治療法も確立されていない。2018年3月末時点の国内患者数は約9800人。県内154人。
 田山さんは母と妻、小学生の息子3人の6人家族。農業を営んでいたが約5年前に体調を崩し、17年にALSと診断された。徐々に体の自由が利かなくなり、今はほぼ寝たきりの状態だ。
 現在はマスク式の呼吸器を着けている。病状が進行すれば気管切開して人工呼吸器を着ける必要があるが、生活の質の低下を懸念して着けない患者も少なくない。「選択肢があるだけに思い悩む」と漏らす。
 しかし、「病気が分かった時も沈んだ顔は見せなかった」と妻の由弥子[ゆみこ]さん(50)。田山さんは「家族の存在が心のバランスを保っている」と言う。被害者の女性についても「守るものがあれば違う選択をしたかもしれない」。
 新型コロナウイルスの影響で、田山さんは病院で家族と面会できない日が続くが、心は常に子どもらと共にある。「今日から2学期ですね。よろしく頼みます」。息子たちが始業式を迎えた19日朝には、由弥子さんにこんなメールを送った。
 「自分は息子たちのキャッチボールの相手も、働く姿を見せることもできない。せめて生き続けることが親の役目かなと思う。今日と明日の気持ちは違うかもしれない。それでも、悔いの残らない道を歩いていきたい」
 ALS患者で医師の太田守武さん(49)=千葉県=は「女性が自分に相談してくれていたら」と悔やむ。太田さんは24時間の重度訪問介護サービスを利用して自宅で暮らし、難病患者の医療相談や被災地支援に取り組んでいる。17年には講演のため来熊し、熊本地震の被災者を励ました。
 自死を考えたことがあるが、主治医や家族、友人らに「あなたにしかできないことがある」と継続的な励ましを受け、生きる希望を見いだした。「自分一人だったら、『死にたい』という気持ちを断ち切れなかった。女性も同じだったと思う。つらい気持ちに寄り添いたかった」(深川杏樹)

 ◎上記事は[熊本日日新聞社]からの転載・引用です
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京都「安楽死」事件 ALS女性、ヘルパーは17もの事業所から派遣 大きかったストレス 2020/8/14 京都新聞
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