9月20日12時34分配信 時事通信
山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が1、2審の無期懲役判決を破棄した元会社員の男性被告(26)=事件当時(18)=に対する差し戻し控訴審の第10回公判が20日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で開かれ、検察側が申請した法医鑑定人の証人尋問が行われた。
尋問で鑑定人は、被告が被害者の本村弥生さん=当時(23)=を死亡させた際、「右手を逆手にして、あごの下付近を押さえているうちに死亡した」と供述していることについて、「逆手では力が入らず簡単に払いのけられるため、現実的にはありえない」と否定する証言を行った。
また、弁護側は「上告審判決が認定した殺害方法と遺体の首に残った跡は整合しない」と主張しているが、「順手で絞めた場合は親指と小指に力が入り、手のひらの側面が跡として残っても不思議でない」と、検察側の主張を裏付ける証言も行った。
長女の夕夏ちゃん=同11カ月=については、「ひもで絞められた際にできる首の表皮剥奪(はくだつ)がない」とする弁護側の主張に対し、鑑定人は「首を絞めるのにはひもを引っ張る力の一部が作用するため、接触部分に剥奪がなくても不思議ではない」と疑問を示した。
この日午後には、本村洋さん(31)ら遺族の意見陳述が行われる予定。