【単刀直言】岸信夫元外務副大臣 祖父・岸信介、兄・安倍首相、共通するのは「環境に即した日米同盟強化」

2015-05-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2015.5.25 09:25更新
【単刀直言】岸信夫元外務副大臣 祖父・岸信介、兄・安倍首相、共通するのは「環境に即した日米同盟強化」
 祖父(岸信介元首相)とは渋谷区の南平台にいたころから同居していましたね。日米安全保障条約が改定された昭和35年はまだ1歳で、記憶にはありませんが、家に押し寄せるデモ隊で危なかったので私は熱海に疎開していたそうです。
 政治家の家なので、プライバシーがあまりなくて、朝からいろんな人が出入りしていました。知らない人が朝飯を食べていたりね。ただ、家の中では普通のじいさまでしたよ。子煩悩なところもあって、膝に乗せて童話や絵本を読み聞かせてくれました。家ではすごく優しいが、家を出ていくときの顔つきは違って、いきなりしゃべりにくくなる感じだった。
 祖父はそのころに、「一静をもって百動を制す」と書いている。おそらく、安保反対のデモに対して、一人静かに対峙(たいじ)するという意味だと思いますが、どういう状況で書いたのでしょうね。祖父は私が高校生のときに御殿場に引っ越しました。富士山が好きでしたから。寝室から見えるようになっていました。
 兄(安倍晋三首相)が米議会の上下両院合同会議で行った演説は高い評価を得ましたね。米国は民主主義の国だからいろんな意見があって当たり前ですが、兄には歴史修正主義者とかナショナリストとかレッテル貼りがありました。しかし、ほとんどの方が演説を聞いて納得して賛同していただいたのだと思いますね。
■「レッテル」をはがす
 祖父も米議会で演説していますが、まだ戦争から12年しかたっていない時期でした。祖父は日本は生まれ変わり、米国と一緒にやっていくんだという意思を強く打ち出した。祖父と兄に共通しているのは、日本も民主主義国家、自由主義国家の一員として、そういう価値観を共有する米国としっかり同盟関係を強めていくということです。
 安保改定のときも「米国の戦争に巻き込まれる」という話がありました。そうしたレッテル貼りは、この前の特定秘密保護法のときもあった。法律の意図するところは全く違うのに。レッテル貼りは真意を歪(ゆが)め、それを伝えやすくする手法です。今回の平和安全法制は日本の守りを固めるための法整備であるにもかかわらず、「戦争法案」というような言い方をされてしまっている。
 多くの国民の方は、言葉から受けるイメージがまず先に入ってくるので、法律の中身が十分に伝わる前に、印象付けられてしまうところがある。それは非常に残念です。貼られたおかしなレッテルをはがしていかなくてはいけないので、その作業は大変かもしれないですね。
■多数の法案、体系的に
 今回の平和安全法制は多数の法案を束ね、体系的に示させていただきました。ひとつひとつの法改正だけを見ていては分かりにくいからです。国民の皆さんに分かってもらえるような議論にしなくてはいけないですね。
 祖父も安保改定を通じて日本の守りを固めようとしました。今回も集団的自衛権の行使容認を含めて全体的な安全保障をきちんと整備していくことですから、同じような流れだと思います。しかし、祖父のころから時代はずいぶんと変わりました。当時はまだ冷戦期で、日本の国力もまだ弱かった時代ですから、そうした中でいかに米国に守らせるかというのがポイントでした。
 今は日本も経済発展を遂げて、安全保障も実質的により対等な関係になってくる。米国も相対的に昔みたいなパワーはなくなってくる。米国のアジアへのコミットメント(関与)が揺らぐことがないように、日本が米国をきちっとつなぎ留めておく。それが同盟の強化です。そういう意味では2人とも同じような目標に向かって、厳しい安全保障環境に対応した形に日米同盟を持っていっていると思います。
 祖父の本当の目標は憲法改正でした。だからライフワークにしていました。ただ、残念ながら安保反対のデモが激しく、アイゼンハワー大統領の来日を断念し、退陣せざるを得なかった。祖父は自分の政治的な目標が達成できたとは思っていませんでした。そういう思いがあって、ずっと憲法改正、自主憲法制定の国民運動を起こそうとやっていたのです。
 憲法改正というのはなかなか世の中の流れというのもあるだろうし、機運が盛り上がるとき、盛り上がらないときがどうしてもありますよね。日本が独立したとき、そこでしっかり憲法改正の議論をしていかなきゃいけなかったけど、それができなかった悔いが残っていたのだと思います。
 そして今も憲法改正は一度もされていません。このまま改正されずにいけばいくほど改正が難しくなる可能性もある。兄はちゃんと議論を積み重ねて、できるだけ早いときに憲法改正の機運を盛り上げていきたいと思っているのだと思いますね。(峯匡孝)
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
.......................
〈来栖の独白〉
 全面同意だが、特に共感した部分を太字・着色した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
集団的自衛権行使容認…「『戦争に巻き込まれる』といったレッテル貼り的な議論、大変残念」 安倍首相 2015-04-30 
祖父(岸信介元首相)が「基本方針」を布石に安保改定まで突き進んだように、集団的自衛権や憲法改正に 2013-12-19 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
憲法改正で「日本」を取り戻せ 誤った歴史観を広めるメディア・教育界に風穴を 『Voice』4月号
..................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。