服役終え男性が出所 再審請求中、豊川の男児殺害事件 2022/08/19

2022-08-20 | 死刑/重刑/生命犯

服役終え男性が出所 再審請求中、豊川の男児殺害事件
 中日新聞 2022年8月19日 

 愛知県豊川市で二〇〇二年に起きた男児殺害事件で、殺人と未成年者略取の罪で懲役十七年が確定し、再審請求中の田辺(旧姓河瀬)雅樹さん(55)が十九日、刑期を終えて大分刑務所を出所した。
 田辺さんは午前八時半ごろに刑務所を出て、出迎えた再審弁護団や支援者らと握手。報道陣の問いかけに「無罪になったわけではないが、出所はうれしい」と語った。一審から弁護を続ける後藤昌弘弁護士は「再審を勝ち取って一日でも早く出してあげたかった。刑期満了での出所は残念だ」と述べた。
 田辺さんは、面会や差し入れなどを重ねてきた大分県内の支援者宅を訪問。二十日には、大分市内で弁護団と記者会見を開く。
 事件は〇二年七月二十八日未明に発生。豊川市内のゲームセンター駐車場で当時一歳十カ月の村瀬翔ちゃんが行方不明になり、同日早朝に約四キロ離れた海岸で水死体で発見された。
 この駐車場に車を止めて寝泊まりしていた田辺さんは翌年四月、愛知県警に逮捕された。捜査段階では自白したが、公判では無罪を主張。
 一審名古屋地裁は「自白の信用性に疑問がある」と無罪を言い渡したが、二審名古屋高裁は「根幹部分で信用できる」として逆転有罪とした。〇八年九月に最高裁が上告を棄却し、確定した。
 
 自白の信用性争う 弁護側 潮流データなど新証拠
 田辺雅樹さんは服役中の2016年7月、名古屋高裁に再審請求を申し立てた。高裁は19年1月に棄却したが、田辺さんは異議を申し立て、別の部で審理が続く。裁判の争点だった自白の信用性は再審請求でも引き続き争われ、弁護側は「自白は強要されたもので信用できない」と主張している。
 弁護団は再審請求で、海洋物理学者の意見書を新証拠として提出。第四管区海上保安本部(名古屋市港区)が作成した現場海域の潮流データに基づいて、遺体の発見地点からさかのぼって男児の投棄地点を予測すると、自白にある投棄現場の位置は「近すぎて矛盾する」と結論づける内容だ。
 また弁護団は、田辺さんの自白では「男児を軽ワゴン車の助手席に乗せた」となっているのに、愛知県警の鑑識で男児の衣服の繊維片が発見されなかったことに着目。再審請求では、男児の体重に近い十㌔の米を入れた袋と布を使った実験で、「繊維片が掃除しても残った」とする結果を新証拠として出している。(中略)
 一審が無罪だったこともあり、日弁連は再審請求を支援する全国の12事件の一つに指定。弁護団の後藤昌弘弁護士は「異議審で出した新証拠は、誤差まで具体的な幅をもって示しており、自白との矛盾を説明できている」と話している。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用、及び書き写し(=来栖)です

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* 豊川幼児殺害 田辺(旧姓河瀬)雅樹受刑者 再審請求へ 弁護団 2016.7月にも


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