韓国の大統領はなぜ必ず不幸になる? 韓国歴代大統領、政権交代で悲惨な末路 『週刊新潮』2016/11/17号

2016-11-18 | 国際/中国/アジア

韓国の大統領はなぜ必ず不幸になる? 独特の宗教事情
 小池百合子都知事は“崖から飛び降りる覚悟”で選挙戦に打って出たが、それが比喩で済まないのが韓国の政界である。身内の逮捕は言うに及ばず、自殺・暗殺・死刑判決と、歴代トップの末路は常に悲劇と隣り合わせ。背景には彼の国特有の宗教的な事情があった。
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 韓国で大統領の座に就いたのは、朴槿恵氏を含めて11人を数えるが、そのほとんどが退任後、過酷な運命に晒されている。
 初代の李承晩(イスンマン)は民衆の反発で下野を余儀なくされ、ハワイに亡命。その後、軍事政権を樹立した朴槿恵の実父・朴正煕(パクチョンヒ)が、側近のKCIA部長に暗殺されたのはご承知の通りだ。
 さらに、全斗煥(チョンドゥファン)には死刑判決が下され(後に特赦で釈放)、87年に韓国が民主化を果たした後も、親族を巻き込んだ疑獄は枚挙に暇(いとま)がない。
「先代の李明博(イミョンバク)の兄が斡旋収賄容疑で逮捕されたのは記憶に新しいところ。その前の盧武鉉(ノムヒョン)も、まず兄の汚職が発覚し、自身に捜査の手が伸びたところで自宅の裏手にあった崖から投身自殺を遂げています」(在韓ジャーナリスト)
 なぜ大統領は不幸に見舞われるのか。『大統領を殺す国 韓国』を著した、「コリア・レポート」編集長の辺真一氏はこう解説する。
「大統領は軍の統帥権や法案の拒否権を持ち、政府や軍、官公庁の人事を握るなど、独裁者と呼べるほどの権限を手にします。その任期は5年間で憲法の規定によって再選が禁じられているため、“任期中にやりたい放題やってやる”といった心境になるのかもしれない。ただ、一旦、権力の座を退くと、今度は自らが厳しく裁かれてしまうのです」
■死は穢れ
 拓殖大学の呉善花教授が言葉を継ぐには、
「大統領の疑獄が頻発するのには、儒教の現世主義、すなわち“死は穢れである”という教えが影響しています。韓国には日本の形見分けのような文化はなく、故人の遺品は全て燃やしてしまう。同様に、力を失った過去の権力者も穢れの対象とされ、それを徹底的に叩くところから新たな政権運営が始まります」
 他方、忘れてはならないのが、同じく儒教文化に由来する韓国の「身内意識」。
 我が国とは反対に、〈近くの他人よりも遠くの親戚〉を重視するのが彼の国の習わしだと語るのは、早稲田大学の重村智計名誉教授だ。
「親族の結束が強い韓国では、権力者に口利きを頼みたければその妻や息子、兄弟に貢物をする文化がある。結果、どの大統領も政権末期になると親族のスキャンダルが発覚するわけです」
 その点、朴氏は暗殺によって両親を亡くし、残された弟や妹すら大統領府、通称「青瓦台」から遠ざけてきた。身内のスキャンダルに端を発する「韓国的な疑獄」とは無縁に思われていたわけだが、実際には、彼女にとっての「身内」とは肉親ではなく、崔順実(チェスンシル)氏その人だった。つまりは、
「今回のスキャンダルも過去の大統領と全く同じ構図と言えます」(同)
 歴史の呪縛からは逃れられなかったのである。
  特集「慰安婦問題の約束不履行? 反日気運の増長?『朴槿恵』大統領炎上でこっち側の嫌な予感」 週刊新潮 2016年11月17日号 掲載 ※この記事の内容は掲載当時のものです

韓国歴代大統領、政権交代で悲惨な末路 朴槿恵は
「大変そうだね。今すぐ助けに行ってあげたいくらいだよ」。安倍晋三総理の側近として知られる萩生田光一官房副長官は、朴大統領について訊(き)かれるとオフレコでこう軽口を叩いた。反日言動を散々繰り返してきた彼女の窮地をほくそ笑む皮肉のニュアンスが感じ取れるが、今の朴氏には反論する余裕もあるまい。
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「恥じ入るほどつらい」
 11月4日、涙を堪(こら)えつつ、謝罪の談話を読み上げた朴氏。鉄面皮で反日発言をしていた当時の面影は微塵も感じられなかった。
 一民間人に過ぎない崔順実(チェスンシル)氏に機密文書が渡り、彼女が国政に介入していた騒動の渦中にある韓国。このスキャンダル発覚後、朴氏の支持率は森喜朗元総理も顔負けの5%まで落ち込んだが、崔氏をはじめ、前首席秘書官が逮捕されるなど、余波は収まる気配を見せていない。
「もはや、朴大統領には何の決定権もなく、すでに事実上の『野党左派政権』になっていると言えます」
 こう解説するのは、韓国での取材経験が豊富な大手メディアの記者だ。
「彼女が野党に協力を仰ぐべく新首相として指名したのは左派系の人物でしたが、もっと左派色の強い人物を首相にしたい野党はこれに反発。韓国政治の停滞は避けられません」
 それどころか、朴氏を弾劾訴追し、強制的に大統領の座から引きずり下ろすことも検討されていて、前出の辺氏は、
「デモの規模が拡大すれば、朴氏が自発的に辞任する確率は50%」
 と見る一方、
「いざ新大統領を決めるとなると、野党側も選挙態勢が整っていないので、来年12月の『正規』の大統領選まで朴大統領は『生殺し』にされることになるでしょう」(同)
■右派から左派になると…
 いずれにせよ、仮に朴氏が大統領の任期を全(まっと)うできたとしても、その後には「韓流王道」が待ち受けていそうだという。
 在韓ジャーナリストが不通大統領の末路を占う。
「退任後、平穏無事に生きていくことはできない歴代韓国大統領の中でも、比較的『被害』が少なかったのは金大中(キムデジュン)と李明博(イミョンバク)です。彼らは親族が逮捕されたものの、自身が罪に問われることはありませんでしたからね。この『穏便』な結末には、金大中の場合、次の大統領の盧武鉉(ノムヒョン)が同じ左派で、李明博の場合、次がやはり同じ右派の朴槿恵だったことが影響しています。逆に言えば、左派から右派、あるいは右派から左派に政権が変わると、前大統領は悲惨な道を辿ることになる」
 そして現下、「ポスト朴」の先頭を走っているのは野党元代表の文在寅(ムンジェイン)氏で、
「彼は親北朝鮮だった盧武鉉政権で大統領秘書室長を務めた筋金入りの左派です」(朝鮮半島事情に詳しい関西大学の李英和教授)
 したがって、
「右派から左派への政権交代の結果、朴氏は退任後に逮捕される可能性が高いと思います」(前出ジャーナリスト)
  特集「慰安婦問題の約束不履行? 反日気運の増長?『朴槿恵』大統領炎上でこっち側の嫌な予感」 週刊新潮 2016年11月17日号 掲載 ※この記事の内容は掲載当時のものです

 ◎上記事は[デイリー新潮]からの転載・引用です


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