人民元、国際通貨へ着々 中国の社債市場、世界3位

2009-04-11 | 国際
2009/4/11Bloomberg
 中国を為替操作国とみていたオバマ米大統領も、同国の社債市場を見れば、温家宝首相が人民元の国際化に乗り出していることが見て取れる。
 ◆国外金融の規制緩和
 年初来の中国企業による社債(非金融債)発行額は、過去最高の1990億元(約2兆9200億円)にのぼり、人民元建ての債券発行額は米ドル建て、ユーロ建てに次ぐ世界第3位の地位に躍り出た。ブルームバーグのデータによると、主要通貨の一つである日本円建て債券発行額は2007年に世界第6位へ後退したが、今年は人民元建ての発行額が初めて日本円建てを上回ったことになる。
 大統領選中、全米繊維団体(NTCO)あての書簡でオバマ大統領は、中国の輸出企業が政府による人民元の為替操作に依存しており、米国並びに世界経済はそのことで被害に遭っていると指摘していた。中国側はこうした疑いを否定する一方で、昨年12月には資本市場の開放を約束し、債券の売買や取引において国外の金融機関に課していた規制を緩和している。
 コロンビア大学経営大学院の魏尚進教授は、人民元が国際通貨となるためには「かなり大きな国内社債市場を有することが必須条件だ」という。
 国内債券発行額が過去最高となり規制が緩和されたことを受けて、米ゴールドマン・サックス・グループやスイスのUBSなど少なくとも6社の外資系投資銀行による人民元建て債券の引き受け業務が始まった。
 UBS証券の資本市場部を率いるジョセフ・チー氏(北京在勤)は、中国の社債市場は「非常に流動性の高い市場であり、拡大し続けるだろう」といい、今年は社債およびCP(コマーシャル・ペーパー)などの短期債を含む証券発行額が前年比でおよそ50%増え、1兆元に達すると予想している。
 ◆旺盛な資金需要
 キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、市場の拡大速度は「中国の金融市場の健全さや堅調さと、いまなお苦戦を強いられている西側諸国の市場との対比を感じさせるものだ」と述べた。同氏は05~07年に英財務省で中国関連のアドバイザーを務めた経歴を持つ。
 ゴールドマン・サックスが北京高華証券と合弁で設立した高盛高華証券(高華証券)役員のクリス・キーオウ氏は「政府は一般に、国有企業や中国企業への資本流入を増やそうと試みている」といい、「債券の発行を望む企業からの資金需要は非常に旺盛だ」と語った。
 ルービン・グローバル・エコノミクスのグローバル経済調査責任者、ブラッド・セッツァー氏は、中国が国際金融における人民元の役割拡大を望むなら、外国人投資家に債券市場を開放し資本管理を緩めなければならない、と語った。
 コロンビア大の魏教授は、当局の規制緩和が進む中、中国で事業を営む外国企業は国内の債券市場が資金調達上、役立つとみる可能性があるという。高華証券のキーオウ氏は、当局は2、3年内にそうした国際的な発行体による国内市場での起債を承認し始めるのではないかとみている。(Tom Kohn、Bryan Keogh)

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