ベートーベン。ピアノソナタ17番、第3楽章アレグロ

2009-01-08 | 日録
 人によって症状が違うのだろうが、昨年12月に入った頃より、私の五十肩は一段と悪化した。たかが五十肩なのに、常時、痛みがある。まるで、通院が仕事のようになってしまった。ピアノを弾くのも苦痛である。そんなとき耳に飛び込んできたフジコさんのベートーベン。ソナタ17番、第3楽章アレグロ。導音の不安定さが堪らない。属音も。私は常に漠とした不安を抱えて生きてきた(生きている)が、その「不安」に訴えかけてきて一層そそのかす音律。これは実は、一見安定感抜群とみえるバッハのインベンションなんかも感じさせる。4番。好んで長くバッハを弾いてきた理由だ。
 体の痛みは辛いし、何事に対しても意欲を削いでしまうものだけれど、妙な実感がある。生い立ちによるのだろう。私には父の記憶といえば、結核で臥している姿しかない。人生とはこんなものだ、という実感。そんな私に快く響いてくるベートーベンの「テンペスト」。ショスタコーヴィチも快い。極め付けの「不安」の音律である。

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