チベット族男性が焼身自殺~中国の「核心的利益」に抗議/ 石原都知事「日本を第2のチベットにしたくない」

2012-10-15 | 国際/中国/アジア

チベット族男性が焼身自殺 中国甘粛省
産経ニュース2012.10.14 14:24
 中国甘粛省甘南チベット族自治州合作市で13日、チベット族の50代の男性が焼身自殺した。米政府系放送局ラジオ自由アジアが14日までに報じた。中国政府のチベット政策への抗議とみられる。
 同ラジオは、男性がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の帰還などを叫んで火を付けたとしている。現場は地元警察などが警戒に当たっている。(共同)
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チベット族2人が焼身自殺 中国の統治に抗議
産経ニュース2012.8.28 13:25 [中国]
 米政府系放送局のラジオ自由アジアは28日までに、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で27日、チベット族2人が中国当局の統治に抗議して焼身自殺したと伝えた。うち1人は18歳の僧侶で、もう1人は17歳の一般市民という。
 2人は寺院の近くで大声でスローガンを叫び、火を付けた。警官が病院に運んだが、助からなかった。
 一方、四川省カンゼ・チベット族自治州カンゼ県では25日、チベット族の尼僧が「(チベット仏教の最高指導者)ダライ・ラマ万歳」「チベットに自由を」などと叫びながらビラをまく抗議活動を行い、警官に拘束された。撮影していた外国人記者も連行されたという。(共同)
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中国の「核心的利益」 2012-05-18 | 国際/中国/アジア 
中国の「核心的利益」
日本の論点PLUS  文芸春秋編 2012.05.17
 中国政府が「国益上譲れない」という強い意思を表明するときに使う外交用語。2011年9月に公表された中国政府の白書「中国の平和的発展」によれば、この「核心的利益」は、(1)国家主権、(2)国家の安全、(3)領土保全、(4)国家の統一、(5)国家の政治制度と経済社会の大局の安定、(6)経済、社会の持続的発展への基本的な保障、の6つに定義されている。
 1980年1月、米国のカーター大統領が「年頭教書」で「湾岸地域における紛争を米国の死活的利益に対する脅威と見なし、武力を含むあらゆる方法で介入する」(「カーター・ドクトリン」)と述べた。その後、米国は中東への関与を強めてゆき、1991年1月には湾岸戦争に突入することになったが、同様に、中国も「核心的利益」を守るためには武力行使も辞さないという意思を表明しているといってよい。
 これまで、中国政府は、「核心的利益」という言葉を、台湾やチベット、新疆ウイグル自治区など、中国からの分離・独立問題が起きている地域に限定して用いていた。ところが2010年ころから、中国の政府系メディアが、石油・天然ガスなどの埋蔵資源や漁業資源が豊富な南シナ海の南・西沙諸島地域について使い始め、2012年1月には、尖閣諸島に言及する際にも人民日報が使用した。その背景には、中国の急速な海軍力の増強と海洋権益の追求がある。
 「核心的利益」の言葉が意味する範囲が広くなったのは、2010年の3月、中国を訪問したスタインバーグ米国務副長官に対して、中国政府の外交を統括する載秉国・国務院が、「南シナ海は中国の核心的利益」と語ったという噂が流れたのがきっかけだった。その2カ月後、中国がベトナムと領有権を争っている南シナ海の海域で、中国船がベトナム探査船の敷設したワイヤーを切断するという事件が起きた。「中国は強硬路線に転換した」という「中国脅威論」がベトナム、フィリピン、マレーシアなどASEAN諸国の間に急速に台頭した背景には、こうした一連の流れがある。
 この年の7月、ベトナムで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)では、ASEAN諸国の「中国脅威論」の台頭を意識して、米国のヒラリー・クリントン国務長官諸国は、南シナ海における中国の海洋進出を、自由通行権が阻まれるとして厳しく批判、「南シナ海の安全保障は、多国間協議を通じて解決すべきだ」と主張した。さらに、中国が南シナ海を含む第一列島線の内側を自国の領海にしてしまう事態に懸念を抱いていたクリントン国務長官は、「南沙諸島の領有権問題の解決することが『域内の安定と米国の国益の要』である」と米国のプレゼンスを強調した。
 アジアにおける「中国脅威論」の高まりを受けて、2010年12月、載秉国・国務員は、2万字に及ぶ論文を書き、「核心的利益」について、次のように定義した。 1、中国の国体、政治体制、政治の安定、すなわち共産党の指導、社会主義制度、中国の特色ある社会主義。 2、中国の主権の安全、領土保全、国家統一。 3、中国の経済社会の持続可能な発展という基本的保障 (PHP総研国際戦略研究センター、前田宏子・主任研究員、「中国の『核心的利益』をどう解釈するか」Voiceプラス2011年6月17日より)。
 この定義が、前述の白書「中国の平和的発展」の下地になっているのは間違いなく、以前のように台湾とチベット、ウイグルに限定していた「核心的利益」を、より柔軟に幅広く使えるよう、解釈し直した点が注目された。
 この5月13日~14日、北京で開かれた日中韓首脳会談を伝える北京中央テレビは、13日夜の野田佳彦首相と温家宝首相の日中会談について、「温首相は分離独立運動が続く新疆ウイグル自治区の問題と尖閣諸島の問題を並べ、『中国の核心的利益』と、重大な懸案事項を尊重するよう日本側に求めた」と報道した。温首相が、尖閣諸島を「核心的利益」に含めると言及した、ととれる内容である。もしそのとおりなら、中国首脳が、尖閣諸島を「いかなる代償(武力行使)を支払っても守るべき中国の核心的利益」として初めて位置づけたことになる。
 温首相の発言の背景には、東京都の石原慎太郎知事が尖閣諸島の買取りを提唱したことや、東京で「世界ウイグル会議」第4回代表会議の開催(5月14日)を許可した日本政府への抗議の意図があったといわれる。当初予定されていた野田首相と胡錦涛主席との首脳会談を突然キャンセルしたのは、「核心的利益とは何か」を日本政府に伝えるための中国の強気のメッセージだったといってよい。
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「世界ウイグル会議」東京/温首相、ウイグル会議と尖閣諸島問題に関し要求「中国側の核心的利益・・・」 2012-05-14 | 国際/中国 
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日本抹殺を目論む中国 「日本は取るに足るほどの国ではない。20年後には地上から消えていく国となろう」 2012-10-04 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
 JB PRESS 2011.01.12(Wed) 森 清勇
 今日の国際情勢を見ていると、砲艦外交に逆戻りした感がある。そうした理解の下に、今次の「防衛計画の大綱」(PDF)は作られたのであろうか。「国家の大本」であるべき国防が、直近の政局絡みで軽々に扱われては禍根を千載に残すことになる。
 国家が存在し続けるためには国際社会の現実から目をそらしてはならない。日本の安全に直接的に関わる国家は覇権志向の中国、並びに同盟関係にある米国である。両国の国家としての在り様を検証して、国家百年の計を立てることこそ肝要である。
■中国は日本抹殺にかかっている
 1993年に中国を訪問したポール・キーティング豪首相(当時)に対して李鵬首相(当時)が「日本は取るに足るほどの国ではない。20年後には地上から消えていく国となろう」と語った言葉が思い出される。
 既に17年が経過し、中国は軍事大国としての地位を確立した。日本に残された期間はわずかである。
 中国の指導者の発言にはかなりの現実味がある。毛沢東は「人民がズボンをはけなくても、飢え死にしようとも中国は核を持つ」と決意を表明した。
 当時の国際社会で信じるものは少なかったが実現した。小平は「黒猫でも白猫でも、ネズミを捕る猫はいい猫だ」と言って、社会主義市場経済を導入した。
 また香港返還交渉では、交渉を有利にするための「一国両制」という奇想天外なノーブルライ(高貴な嘘)で英国を納得させた。
 政治指導者ばかりでなく、軍高官も思い切ったことをしばしば発言している。例えば、朱成虎将軍は2005年に次のように発言している。
 「現在の軍事バランスでは中国は米国に対する通常兵器での戦争を戦い抜く能力はない。(中略)米国が中国の本土以外で中国軍の航空機や艦艇を通常兵器で攻撃する場合でも、米国本土に対する中国の核攻撃は正当化される」
 「(米国による攻撃の結果)中国は西安以東のすべての都市の破壊を覚悟しなければならない。しかし、米国も数百の都市の破壊を覚悟せねばならない」
 他人の空言みたいに日本人は無関心であるが、日米同盟に基づく米国の武力発動を牽制して、「核の傘」を機能不全にしようとする普段からの工作であろう。
 2008年に訪中した米太平洋軍司令官のティモシー・キーティング海軍大将は米上院軍事委員会公聴会で、中国海軍の高官が「太平洋を分割し、米国がハワイ以東を、中国が同以西の海域を管轄してはどうか」と提案したことを明らかにしている。
 先の尖閣諸島における中国漁船の衝突事案がらみでは、人民解放軍・中国軍事科学会副秘書長の要職にある羅援少将が次のように語っている。
 「日本が東シナ海の海洋資源を握れば、資源小国から資源大国になってしまう。(中略)中国人民は平和を愛しているが、妥協と譲歩で平和を交換することはあり得ない」と発言し、また「釣魚島の主権を明確にしなければならない時期が来た」
 こうした動きに呼応するかのように、中国指導部が2009年に南シナ海ばかりでなく東シナ海の「争う余地のない主権」について「国家の核心的利益」に分類したこと、そして2010年に入り中国政府が尖閣諸島を台湾やチベット問題と同じく「核心的利益」に関わる問題として扱い始めたと、香港の英字紙が報道した。
■中国の「平和目的」は表向き
 1919(大正8)年、魚釣島付近で福建省の漁民31人が遭難したが、日本人が救助し無事に送還した。それに対して中華民国長崎領事が「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島・・・」と明記した感謝状を出している。
 中国が同諸島の領有権を主張し始めたのは国連の海洋調査でエネルギー資源が豊富にあることが判明した1970年代で、領海法を制定して自国領に組み入れたのは1992年であるにもかかわらず、「明確な日本領」を否定するためか、最近は「古来からの中国領土」とも言い出している。
 実際、首相が横浜APECで“首脳会談を開けた”だけで安堵している間に、ヘリ2機搭載可能で機銃まで装備していると見られる新鋭漁業監視船を含む2隻が接続水域に出没している。
 海保巡視船の警告に対しては「正当に行動している」と返事するのみである。
 中国の言う「正当な行動」とは中国の領海法に基づくもので、尖閣諸島に上陸しても正当化されるということにほかならない。現に、石垣市議2人が上陸したことに対し、中国外務省は「中国の領土と主権を著しく侵犯する行為」という談話を発表した。
 漁船がさほど見当たらないにもかかわらず漁業監視船が接続水域を彷徨しているのは、日本人の感覚を麻痺させる(あるいは既に上陸しているかもしれない)のを隠蔽する作戦のように思われる。
 係争の真っ只中で、そうした行動が取れるはずがないという識者も多いが、「尖閣は後世の判断に任せる」、あるいは「ガス田の協議をする」などの合意を平気で反故にしてきた中国である。何があってもおかしくない。
 20年余にわたって2桁台の軍事力増強を図ってきた中国に透明性を求めると、「平和目的」であるとの主張を繰り返す。中国の「平和目的」は異常な軍事力増強の言い逃れであり、露わになってきた覇権確立のカムフラージュでしかない。
 軍事力増強と尖閣沖漁船衝突のような異常な行動、さらには北朝鮮の無謀をも擁護する中国の姿勢が日米(韓はオブザーバー)や米韓(日本はオブザーバー)の合同軍事演習の必要性を惹起させたのであるが、中国はあべこべに自国への脅迫であるとクレームをつけている。
 現時点では指導部の強権でインターネット規制などをしながら、人民には愛国無罪に捌け口を求めさせることで収拾している。
 しかし、矛盾の増大と情報の拡散で人民を抑えきれなくなった時、衣の下に隠された共産党指導部の意図が、ある日突然行動に移されないとは言えない。
■米国を頼れる時代は終わりつつある
 日本人で米国の「核の傘」の有効性に疑問を呈する者は多い。歴史も伝統も浅い米国は、「国民の国民による国民のための政治」を至上の信条としており、行動の基本は世論にあると言っても過言ではないからである。
 フランクリン・ルーズベルトは不戦を掲げて大統領選を戦い、国民はそれを信じて選んだ。しかし、第2次世界大戦が始まるや、友邦英国の苦戦、ウィンストン・チャーチルの奮戦と弁舌巧みな哀願を受けた大統領は、米国民のほとんどが反対する戦争に参加する決心をした。
 当初はドイツを挑発して参戦の機会を探るが、多正面作戦を嫌うドイツは挑発に乗らなかった。
 そこでルーズベルトは日本を戦争に巻き込むことを決意し、仕かけた罠が「ハル・ノート」を誘い水として真珠湾を攻撃させることであった。
 日本の奇襲作戦を「狡猾(トリッキィー)」と喧伝し、米国民には「リメンバー・パールハーバー」と呼びかけて国民を参戦へと決起させたのである。
 逆に、世論が政府を動かないようにさせることも当然あり得る。核に関して言うならば、被害の惨状に照らして、国民が政府に「核の傘」を開かせないという事態が大いにあり得る。
 虎将軍ら中国軍高官の発言は、普段から米国民にこうした意識を植え付けて、米国が日中間の係争に手を出せないように仕向ける下地つくりとも思われる。
 米国初代のジョージ・ワシントン大統領は「外国の純粋な行為を期待するほどの愚はない」と語っている。
 日米安保が機能するように努力している現在の日本ではあるが、有事において真に期待できるかどうか、本当のところは分からない。能天気に期待するならば、これほどの愚はないということではないだろうか。
 今こそ、日米同盟を重視しながらも、「自分の国は自分で守る」決意を持たないと、国家としての屋台骨がなくなりかねない。
 中でも「核」問題が試金石であると見られる。親米派知識人は、「日本の核武装を米国が許すはずがない」の一点張りであるが、あまりにも短絡的思考である。
 日本の核論議が日米同盟を深化させ、ひいては米国の戦略を補強するという論理の組み立てをやってはいかがであろうか。
 米国が自国の国益のために他国を最大限に利用し、また国家戦略のために9.11にまつわる各種事象を操作(アル・ゴア著『理性の奪還』)したりするように、日本も自立と国益を掲げて行動しないと、米中の狭間に埋没しかねない。
 核拡散防止条約(NPT)は高邁な趣旨と違って、保有を認められた5カ国の核兵器削減は停滞しているし、他方で核保有国は増大している。
 「唯一の被爆国」を称揚する日本であるゆえに、道義的観点並びに核に関するリアリズムに則った新条約などを提案する第一の有資格者である。
 同時に、地下鉄サリン事件の防護で有効に対処できた経験を生かし、核にも有効対処できるように準備する必要がある。
 その際、形容矛盾の非核三原則ではなく、バラク・オバマ大統領の言葉ではないが、「日本は核保有国になれるが、保有しない」(Yes, we can, but we don’t)と闡明し、しっかり技術力を高めておくのが国家の使命ではないだろうか。
 ヒラリー・クリントン米国務長官は「尖閣には日米安保条約第5条が適用される」と言明した。
 しかし、かつて一時的にせよ、ウォルター・モンデール元駐日米大使が「適用されない」と発言したように、政権により、また要人により、すなわちTPO(時・場所・状況)に左右されると見た方がよい。
 米国では従軍慰安婦の議会決議に見た通り、チャイナ・ロビーの活躍も盛んである。
 ましてや、既述のように決定の最大要因が国民意思であるからには、核兵器の惨害が米国市民数百万から1000万人に及ぶと見られる状況では、「核の傘」は機能しないと見るのが至当ではなかろうか。「有用な虚構」であり続けるのは平時の外交段階だからである。
■先人の血の滲む努力を無にするな
 日本は明治維新を達成したあと、範を欧米に求めた。新政府の要路にある者にとって自分の地位が確立していたわけでもなく、また意見の相違も目立つようになり内憂を抱えていた。
 しかし、それ以上に外患に備えなければ日本の存立そのものが覚束ないという思いを共有していた。そこで、岩倉具視を団長とする米欧使節団を送り出したのである。
 一行には木戸孝允、大久保利通、伊藤博文などもいた。1年10カ月にも及ぶ長期海外視察は、現役政府がそのまま大移動するようなもので、不在間の案件処理を必要最小限に留めるように言い残して日本を後にしたのもゆえなしとしない。
 よく言われるように、英国を観ては「40年も遅れている」とは受け取らず、「40年しか遅れていない」と見て、新興国日本の明日への希望を確認した。
 また、行く先々で文明の高さや日本と異なる景観に感服するところもあったが、その都度、好奇心を発揮して記憶にとどめ、また瀬戸内海などの素晴らしい景観があるではないかと、「日本」を決して忘れることはなかった。
 米国のウエストポイント陸軍士官学校を訪れた時は射撃を展示され、そのオープンさにびっくりするが、日本人ならばもっと命中させると逆に自信の程を高めている。
 ことほどさように、初めて外国を視察しているにもかかわらず、その目は沈着で、異国情緒に飲み込まれることもなく、基底に「日本」を据えて比較検証しようとしている。
 こうした見識はひとえに、為政者として日本の明日を背負って立たなければならないという確固たる信念がもたらしたと見るほかはない。
 代表団が特に関心を抱いたことは、小国の国防についてである。オランダ、ベルギー、デンマーク、さらにはオーストリア、スイスなどを回っては、日本の明日を固める意志と方策を見出そうと懸命である。
 もう1つ、国際社会に出ようとする日本が関心を持ったのは万国公法(今日の国際法)についてであった。プロシアの鉄血宰相ビスマルクの話には真剣に耳を傾け、また参謀総長モルトケの議会演説にも強い関心を持った。
 概略は次のようなものだった。
 「世界各国は親睦礼儀をもって相交わる態度を示しているが、それは表面上のことでしかない。内面では強弱相凌ぎ、大小侮るというのが実情である。万国公法は、列国の権利を保全する不変の法とはいうものの、それは大国の利のあるうちでいったん不利となれば公法に代わる武力をもってする」(ビスマルク)
 「政府はただ単に国債を減らし、租税を軽くすることばかりを考えてはならない。国の権勢を境外に振るわすように勤めなければならない。法律、正義、自由などは国内では通用するが、境外を保護するのは兵力がなければ不可能である。万国公法も国力の強弱に依存している」(モルトケ)
 このことは、現在にも通用する。しっかり反芻し、記憶することが大切である。
 日本は「唯一の被爆国」や「平和憲法」を盾に、国際情勢の激変にもかかわらず官僚的手法の「シーリングありき」で累次の「防衛計画の大綱」を策定してきた。
 こうした日本の無頓着で内向的対応が、周辺諸国の軍事力増強を助長した面はないのだろうか。
 明治の為政者たちが意識した外国巡視に比較して、今日の政治家の海外視察はしっかりした歴史観も日本観も希薄に思えてならない。
歴史の教訓を生かす時
 ここで言う歴史の教訓とは、明治の先人たちが命懸けで体得した「国際社会は力がものをいう」というリアリズムである。今日ではそのことが一段と明確になっている。
 アテネはデモクラシー(民主主義)発祥の地であり、ソクラテスやプラトンを輩出したことで知られている。
 そのアテネでは人民(デモス)の欲望が際限なく高まり、国家はゆすり、たかりの対象にされ、過剰の民主主義が国力を弱体化させていく。
 専制主義国家スパルタとの30年戦争の間にも国民は兵役を嫌い、目の前の享楽に現を抜かし道徳は廃れ、ついに軍門に下る。
 その後、経済も復興するが、もっぱら「平和国家」に徹し続け、スパルタに代わって台頭した軍事大国マケドニアに無条件降伏を突きつけられる。一戦を交えるが惨敗して亡国の運命をたどった。
 例を外国に求めるまでもない。日本にも元禄時代があった。男性が女性化し、風紀は乱れ、国家の将来が危ぶまれた。この時、出てきたのが「武士道といふは死ぬことと見つけたり」で膾炙している『葉隠』である。
 ことあるごとに死んでいたのでは身が幾つあってもたまらないが、真意は「大事をなすに当たっては死の覚悟が必要だ」ということである。 
 こうした考えが、自分たちのことよりも国家の明日を心配した米欧派遣の壮挙につながった。日本出発から1カ月を要してようやくワシントンに着くが、いざ条約改正交渉という段になって天皇の委任状のないことを指摘され、大久保と井上博文はその準備に帰国する。
 往復4カ月をかけて再度米国に着いた時には、軽率に条約改正する不利を悟り代表団が米政府に交渉打ち切りを通告していた。
 何と無駄足を運んだかとも思われようが、当時の彼らにとっては、国力の差を思い知らされる第1章と受け取る余裕さえも見せている。
 国家を建てる、そして維持することの困難と大切さを身に沁みて知ったがゆえに、華夷秩序に縛られた朝鮮問題で無理難題を吹っかけられても富国強兵ができる明治27(1894)年まで辛抱したのであり、三国干渉の屈辱を受けても臥薪嘗胆して明治37(1904)年までの10年間を耐えたのである。
 佐藤栄作政権時代に核装備研究をしていたことが明らかになった。「非核三原則」を打ち出した首相が、こともあろうにという非難もあろう。
 しかし、ソ連に中立条約を一夜にして破られた経験を持つ日本を想起するならば、「日本の安全を真剣に考えていた意識」と受け取り、その勇気に拍手喝采することも必要ではないか。
 国際社会は複雑怪奇である。スウェーデンもスイスも日本人がうらやむ永世中立国である。その両国が真剣に核装備を検討し、研究開発してきたことを知っている日本人はどれだけいるであろうか。また、こうした事実を知って、どう思うだろうか。
 「密約」を暴かずには済まない狭量な政治家に、そんな勇気はないし、けしからんと難詰するのが大方ではないだろうか。しかし、それでは国際社会を生き抜くことはできない。
終わりに
 漁船衝突事案では、横浜APECを成功させるために、理不尽な中国の圧力に屈した。日本は戦後65年にわたって、他力本願の防衛で何とか国家を持ちながらえてきた。
 しかし、そのために国家の「名誉」も「誇り」も投げ捨てざるを得なかった。今受けている挑戦は、これまでとは比較にならない「国家の存亡」そのものである。
 米国から「保護国」呼ばわりされず、中国に「亡失国家」と言われないためには、元寇の勝利は神風ではなく、然るべき防備があったことを真剣に考えるべきである。
 そのためにはあてがいぶちの擬似平和憲法から、真の「日本人による日本のための日本国憲法」を整備し、名誉ある独立国家・誇りある伝統国家としての礎を固めることが急務であろう。 *強調(太字・着色)は来栖
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Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ
この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
 
2012年4月26日 (木)
中国の下心は「天皇の処刑」

 尖閣、沖縄に食指をのばした中国は、在日華僑に日本国籍取得を勧めはじめた。細胞増殖に着手した中国の「日本乗っ取り計画」の青写真とは──。
 中国の覇権主義はいまや世界の脅威となっています。最近は、海洋における覇権を確立しょうと、南シナ海の南沙諸島や西沙諸島の領有を主張して、 関係各国と緊張が高まっています。
 日本も尖閣をはじめとする島嶼、そして沖縄までこうした中国の軍事的脅威にさらされています。今でこそ中国は海洋国家に脱皮すべく海軍力を増強していますが、本来中国は大陸国家であり中央アジアにその矛先を向けていました。私の祖国・チベットを狙ったのは、地政学的に中国が南アジアや南西アジアに進出するために重要な拠点だったことと、 豊富な地下資源と水資源を獲得するためでした。地政学上の重要さや、海底資源・地下資源の豊富さで日本はチベットと酷似しています。
 「始めは処女の如く、後には脱兎の如し」という兵法がありますが、中国のチベット侵攻はまさにそれでした。
 一九五一年、 チベット代表団に偽造した国璽を捺印させて締結した「一七カ条協定」で〈(チベット人の)宗教信仰自由の政策を実行して〈チベットに進駐する人民解放軍は、人民の針一本、糸一本といえども取らない〉と謳いました。しかし中国によって僧侶は虐殺され、僧院は破壊され、人民裁判が行われ、七九年までにチベット人百二十万人が犠牲になりました。
 ひるがえって日本外交は「自分が約束を守れば、相手も守るはずだ」という能天気ぶりです。これも国際法の盲点を突く研究に余念のない中国には、世迷言でしかないでしょう。
 そして今、沖縄です。
 中国のデモでは「琉球を返せ」というスローガンが叫ばれ、「中国は琉球に対する権利がある」という論文も出てきています。学者の論文も中国当局の管理下にあります。ちなみに中国は琉球と呼び、沖縄とは言いません。 たしかに琉球処分で日本になるまで、琉球王国は明・清に朝貢する冊封関係にありました。一部の沖縄県民は、仲井員弘多知事もそうですが、中国大陸にルーツを持つことを誇りとし、中国に親近感を感じているようです。
 中国がこれを見逃すはずはありません。沖縄の県民感情に働きかけて、揺さぶりをかけています。
 沖縄ではすでに中国の総領事館を作って二百万人の観光客を中国から呼び込もうとすることが既定路線になっています。すでに中国は、観光客が沖縄と往来できる三年有効の数次ピザの特権も獲得しています。私が沖縄で会った多くの地方議員や商工会議所など政財界は、これが地元の経済振興になると前向きでした。
 でも、それは甘い。
 わが半生を振り返れば、チベットに生まれ、六歳でインドに亡命、十二歳で来日した後は、師に恵まれ多くの日本人に支えられてきました。そして二〇〇五年、私は日本国籍を取得しました。
 最新刊の『最終目標は天皇の処刑』(飛鳥新社)は、中国によって祖国を奪われた者として、また日本をこよなく愛する者としての視座から著したものです。
最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌ペマ・ギャルポ(著) 飛鳥新社 
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[石平のChina Watch] 習近平氏の罠に要注意/中国の沖縄工作の狙い~日本属国化 2012-09-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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尖閣諸島「人民解放軍侵略シミュレーション」 チベットやベトナムと同じように日本も領土を奪われる 2012-10-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
PRESIDENT online ニュースファイル2012年9月17日号 高沢一基=文
■あまりに酷似する、「尖閣」と「西沙」
 「出ていけ!」「おまえこそ立ち去れ!」。中国が領有を主張する島の沖合で、中国漁船と警戒にあたる艦艇が衝突した。
 実はこれ、尖閣諸島の話ではない。
 南シナ海の北方海域にある西沙諸島は、第一次インドシナ戦争により旧宗主国のフランスを破ったベトナムが領有したが、その後、同諸島の東半分は中国が占領し実効支配された。1974年、中国は西沙諸島全体の領有を目指し、積極的な行動(ベトナム側から見れば侵略。中国側から見れば領土回復)を開始した。中国の進出に対抗するために当時の南ベトナム政府は、艦艇4隻・兵員約200名を派遣したが、中国は漁船2隻を「尖兵」として、同海域で南ベトナム艦艇と衝突を繰り返し、陸上では中国民兵との戦闘も発生。同年1月19日には海上でも両軍が戦闘し、南ベトナムは、砲艦「ヌータオ」が撃沈され西沙諸島の島々は中国により完全に占領された。冒頭の衝突はそのとき起きたものだ。
 別表(略=来栖)はこの戦いの流れと尖閣諸島の動きを、取材をもとに日中の尖閣問題と比較したものである。このままいけば間違いなく中国は尖閣諸島を侵略する。問題は「来るか来ないか」ではなく、「いつ来るか」なのだ。
 ※シミュレーションは川村純彦氏らの話をもとに作成。
 中国が西沙諸島に「漁船」や「民兵」を先頭に立て軍事侵攻した西沙諸島の戦いが起こった74年は、ベトナム戦争から米軍が撤退し、その支援を受けていた南ベトナム政府も風前の灯し火の状態であった。防衛省防衛研究所・増田雅之は「74年も、88年のスプラトリーへ中国が展開したときも米国は動かないとの判断があった」と中国政府の心中を分析する。「88年のスプラトリー」とは、天安門事件前で米中関係が親密化していたときに、ベトナムが領有する南シナ海南方の南沙(スプラトリー)諸島に中国が軍事侵攻し、占領した紛争のこと。先日の不法上陸事件では、米国は「日中の話し合いが重要」と述べたが、中国への誤ったメッセージとなりかねない。侵略には毅然とした態度が不可欠だ。
 ところでなぜ中国は西沙諸島や南沙諸島など南シナ海の島々を支配しようとしているのか。沖縄県那覇市に所在する海上自衛隊第五航空群司令でもあった川村純彦元海将補は語る。
 「天然ガスや漁業など資源の話がよくされますが、もっと大事なことがあるんですよ。中国は南シナ海を自分の裏庭としたい。要するに他国の軍艦とか飛行機が入ってこない聖域としたいのです」
 現在の中国は核保有国ではあるが核抑止力としては米国に大きく劣る。「中国の核兵器は大陸間弾道ミサイルのように地上から発射するものや飛行機に積んだ巡航ミサイルなどですが、これらは米国からの第一撃でやられてしまう可能性が高く脆弱です。むしろ潜水艦から発射する核ミサイル(SLBM)は、残存性が高く脅威です」と川村は指摘する。
 中国海軍の潜水艦の実力では、太平洋などに進出した際、米軍の対潜哨戒機などに捕捉されるため、南シナ海を聖域化して米軍を排除すれば、SLBMが威力を発揮できる。中国の目的はここにある。
 川村は続ける。「中国は資源の問題なら妥協できる。しかし、中国の南シナ海獲得の戦略は安全保障の問題なので妥協できない」。中国は米国と軍事的に対決したときに勝ち抜くため、南シナ海が必要なのであり、中国共産党政府の存立のため南シナ海の支配を諦めることはなさそうだ。このことは緊張が高まる最近の南シナ海情勢を見れば納得できよう。
 そして、次の狙いは尖閣諸島のある東シナ海海域だ。12年7月31日に中国国防省の報道官は、尖閣諸島について「日本側は中国の主権を侵害する誤った発言をしている」とし、「軍としての職責を果たしていく」と記者会見で発言した。
 そもそも中国が尖閣諸島を狙い始めたのは、同海域に天然ガス等の海底資源が発見されたことによると言われている。確かに中国は国際機関が資源の埋蔵を指摘した後の71年から領有を主張しだしたのだが、近年では中国共産党機関紙の人民日報が「核心的利益」という言葉を使い、もはや尖閣諸島の問題を経済上の問題という扱いをしていない。ゆえに、いくら日本政府が東シナ海ガス田の共同開発などで譲歩しても中国は尖閣諸島を諦めないであろう。尖閣諸島をはじめ南西諸島や台湾を中国の支配下に置けば、米軍も簡単には南シナ海に進出することができなくなってしまい、南シナ海の聖域化が完成するのだ。
 では、中国の軍事侵攻の手順はどうか。川村は「初期段階では人民解放軍ではなくて5つある海上の法執行機関『五龍』が対応するだろう」と述べる。西沙諸島に対して中国は、民兵を不法上陸させ、漁船による衝突を起こし、最後は軍事侵攻をした。尖閣も漁民や民兵が不法上陸を果たしたあとに、五龍、人民解放軍が侵攻するシナリオが有力だ。
 一度や二度は、尖閣諸島に上陸した中国漁民を日本政府が逮捕するのを人民解放軍は傍観しているかもしれない。しかし、「漁民保護」の目的で一気に尖閣を占領する日が必ずくる。(文中敬称略)
※すべて雑誌掲載当時
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インタビュー 石原都知事:チベットに言及「国も文化もなくなった。日本を第2のチベットにしたくない」 2012-08-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
 【インタビュー】尖閣、施設作らねば実効支配にならない=石原都知事
2012年8月28日9:26JST 

 東京都の石原慎太郎知事は、ウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、中国との緊張が高まる原因となった尖閣諸島(中国名:釣魚島)の東京都による購入の経緯や購入後の計画について語った。また韓国との間で領有権が争われている竹島(韓国名:独島)や今後の国内政局にも言及した。さらに国政への復帰を示唆し、復帰したら憲法改正問題に取り組みたいと意欲を示した。
 主な一問一答は以下の通り。
WSJ:まず竹島について伺いたい
石原知事:これは、敗戦後、まったく日本政府が機能していない時に、彼らが勝手に「李承晩ライン」、主に漁業権の観点から線を引いてしまった。日本もちょっと抗議したが、全然力がなかったし、独立前だったので(聞き入れられなかった)。(今となっては)時間も経ち過ぎて半ば既定(事実)となってしまい、非常に残念だ。
WSJ:こんなに騒がしい問題になって、これからどうなるか。どうなるべきか
石原知事:どうもならないだろうな。ハーグの国際司法裁判所に提訴しても、相手が出てこない。
WSJ:尖閣諸島の話になるが、経済価値はどのぐらいあるか。知事が、東京都が買収すべきだと言った背景を海外の読者にご説明願いたい
石原知事:私はチベットに非常に同情的だ。私はダライラマと非常に親しい。(だが、)ダライラマが日本に来て私に会おうとすると、外務省が政治行動になるから止めろというのでなかなか会えないでいる。チベットはもともと独立国だった。今は、中国の属領になってしまった。チベットが、もしオリンピックを招致したいと言っても、名乗りを上げられない。国がなくなった。指導者もいなくなった。文化もなくなってしまった。インドのダラムサライに亡命政権があるだけだ。私は日本を第2のチベットにしたくない。
〈以下略〉 *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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中国の圧政 どれほど平和的な抗議行動をとっても弾圧されてしまうため、チベット僧2人、身を焼いて抗議 2012-05-28 | 国際/中国
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島サミット:海洋安保 中国を強く意識した会合/チベットよりも深刻なウイグルの苦難 中国の核心的利益 2012-05-26 | 国際/中国/アジア
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