教皇の同性婚容認 バチカンが否定 ローマ教皇発言に保守層反発
各国に内部通知 火消し図る
2020年12月7日 月曜日 中日新聞夕刊
ローマ教皇フランシスコがドキュメンタリー映画で同性愛者同士の事実上の婚姻を容認する発言をし国際的な論議を呼んだことを巡り、キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)が、「教会の教義に言及したわけではない」として教えの変更を否定する内容の内部通知を各国の司教らに送っていたことが7日分かった。
共同通信が通知を入手した。カトリック教会関係者によると、バチカンが教皇の見解を解説する文書を送付するのは「極めて異例」という。
カトリックは同性愛や避妊、離婚をタブー視しており、映画での見解を巡って保守層から反発の声が上がるなど議論になった。教会関係者は、バチカンには統一見解を示して内部の動揺を抑え込みたい思惑があり、「発言の火消しを図っている」と述べた。
教皇は10月に映画祭で上映された映画「フランシスコ」で「同性愛者も家族になる権利を持っている」と述べ、事実上の結婚を社会的に認めるべきだと語った。教皇は他にも、実社会に即した教会変革が必要だと主張し、柔軟な見解を示してきた。
通知によりLGBTQなど性的少数者らの間で高まった期待が失意に終わるのは必至だ。
就任以来 寄り添う姿勢
ローマ教皇フランシスコは2013年に中南米出身者として初の教皇に選ばれた。庶民的な人柄で、信者だけではなく世界中から人気を集める。常に貧困層や弱者に寄り添い、実社会と相いれない教会の教えを緩やかに変革しようと試みているとされる。
就任前は故郷の南米アルゼンチンで長く聖職者として活動。スラムやエイズ患者の施設、刑務所にバスや地下鉄で頻繁に通った現場主義者だ。
バチカンでも生活は変わらない。教皇専用の豪華な住居ではなく、宿舎でつつましく暮らす。ローマ市内の眼鏡店をふらりと訪れるなど独自のスタイルを貫く。就任以来、偏見に苦しむ「社会的弱者」を寛容に受け止めようとしてきた。教会内でタブーとされる同性愛者や離婚した信者らに対し、慈悲深い対応が必要だと主張。16年には文書で「全ての人は性的指向にかかわらず尊重されるべきだ」とし、同性愛者らへの「不条理な差別は回避されなければならない」と強調した。
一方、教会内の保守派勢力は教皇の言動は教義を混乱させ、教会の分断を招くと不満を強める。抵抗は激しく、改革の大きな壁になっているとされる。遅々として進まない動きに教皇を支持するカトリック関係者からは「期待された成果が上がっていない」と落胆の声も漏れる。(共同)
カトリック教会と同性愛
聖書は同性愛を禁じており、カトリックでは罪深いとされる。同性愛カップルを結婚させたイタリアの神父が破門され、神父の職務も剥奪されたことが2002年に判明した。一方、カトリック聖職者による性的虐待問題が相次ぐ。02年、米紙が神父らによる未成年者虐待を報道。14年2月には国連の「子どもの権利委員会」が虐待被害者は数万人に上ると非難した。教会トップのローマ教皇フランシスコは同年3月、虐待問題に対処する諮問委員会を設置し、対策に乗り出した。
LGBTQ
性的少数者の総称。英語の頭文字を取って「エル・ジー・ビー・ティ・キュー」と読む。女性同士の同性愛者レズビアン(LESBIAN)、男性同士の同性愛者を一般的に指すゲイ(GAY)、両性愛者バイセクシュアル(BISEXUAL)、出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダー(TRANSGENDER)をまとめて「LGBT」と呼ぶが、さらに性自認や性的指向が特定の枠に属さない人や分からない人ら「クエスチョニング(QUESTIONING)」の頭文字Qも加わることがある。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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ローマ教皇 同性カップルに婚姻関係と同じような制度支持表明
NHK NEWS WEB 2020年10月22日 20時25分
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が、ドキュメンタリー映画の中で、「同性愛者も家族を持つ権利がある」と述べ同性カップルに婚姻関係と同じような法的権利を認める制度への支持を表明したと、欧米のメディアが伝えました。
AP通信などによりますと21日、イタリアのローマで開かれているローマ国際映画祭で、フランシスコ教皇の活動を追ったドキュメンタリー映画が上映され、この中で教皇は「同性愛者も家族を持つ権利があります。みんな神の子で、誰も見捨てられたりみじめな思いをさせられたりしてはなりません」などと述べました。
そのうえで、同性カップルが法的に保護されるよう、婚姻関係と同じような法的権利を認める制度への支持を表明したということです。
フランシスコ教皇の発言をめぐっては、同性愛者の権利を明確に認めたものだとして歓迎する声がある一方、教会の教えそのものが変更されるわけではないとの指摘もあって、ヨーロッパなどで大きな話題となっています。
フランシスコ教皇は、一方で、婚姻は男女の間に限るとの立場は変えていないということです。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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〈来栖の独白〉
おそらくは教皇フランシスコのおっしゃることのほうが「福音」的なのだろう。私はついてゆけないが…。旧約聖書は次のように言う。
創世記 - 章 1
27 神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。
創世記 - 章 2
18 また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。
22 主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。
23 そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、/わたしの肉の肉。男から取ったものだから、/これを女と名づけよう」。
24 それで人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである。
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