http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/ 「脱官僚か、プロの誇りか。 裁判員制度の陰に、2人の最高裁長官の「思想的対立」があった」
朝日新聞 Movers&Shakers 山口進 2009/07/06Mon.
「あなたが裁判員制度導入の張本人ですか」
最高裁長官、竹崎博允(ひろのぶ 64)は、今春、あるパーティーの場で、そう聞かれた。問うたのは、裁判員制度に反対する弁護士だった。
「違う」。きっぱりとした答えだった。「私は反対していた。しかし制度ができた以上は良いものにしなければならない」
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竹崎が事務総長時代の4年前に幹部用にまとめた非公開の覚書には、こんな予測が示されている。
「刑事裁判は、今後ますます複雑な力学の中に置かれる。被害者サイドの声がさらに強まり、被告人の利益との調整はこれまで以上に深刻になる。キャリア裁判官による詳細な判決だけで国民の信頼をつなぎとめていけるかという問題が必ず生じる」
「外の目」を入れることで、裁判の正当性を強めることが、裁判所にとっても得策だという認識だ。
裁判所をめぐる視線が厳しくなる中、裁判員制度をうまく「活用」して乗り切る。