子ども手当 公立高校授業料 厳しい財政状況を考えれば所得制限も考慮していい

2009-09-18 | 政治
日経新聞 社説1 子ども手当は所得制限も考慮して(9/14)
 民主党がマニフェスト(政権公約)の目玉に掲げた子ども手当が、現実のものになってきた。新政権は秋の臨時国会で法案を成立させ、中学生以下の子ども1人に2010年度はまず月1万3000円、11年度からは2万6000円を支給する方針だ。
 女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、やや持ち直しているが08年は1.37だ。人口を維持できる2.08にはほど遠い。大きな要因として指摘されるのが、子育てにお金がかかることだ。
 家族手当や育児休業給付など、家族を支援するための財政支出が国内総生産(GDP)に占める比率は、日本の場合は0.75%にとどまる。欧州諸国はその比率が2~3%だ。思い切った経済支援は、社会全体で子育てを応援するとのメッセージにもなり、評価できる。
 問題は財源だ。初年度は総額2兆7000億円、11年度からは毎年5兆3000億円のお金をどうやって確保するのか。民主党は無駄な予算を削り、特別会計の「埋蔵金」などでひねり出すという。09年度当初予算で4兆8000億円の防衛費を上回る金額を、それだけで本当に用意できるのか。
 民主党は配偶者控除と扶養控除をやめ、子ども手当の財源の一部に充てるとしてきた。しかし、岡田克也幹事長はこうした控除の廃止を先送りすると示唆した。参院選前に痛みを伴う政策は避けたいのだろう。財源が確保できず国債に頼れば、それこそ子どもたちにツケを回す結果になる。賛成できない。
 厳しい財政状況を考えれば所得制限も考慮していい。今回の手当は額が大きいだけに不公平感を生まない配慮は必要だが、所得が高くなるにつれて、配る金額を減らすなど工夫の余地はある。第1子には所得制限をするが、第2子以降は制限をなくし、子どもを多く持てるようにするということも考えられる。
 民主党は公立高校に通う学生がいる家庭へ授業料相当額を渡したり、希望者全員に大学の奨学金を受けられるようにするとも約束している。低所得者にお金を支給する、給付付き税額控除の導入なども掲げている。子ども手当と重複が生じないかどうか、きちんと点検してみる必要がある。
 少子化を食い止めるには、保育所を増やし学童保育を充実するなど、働きながら子育てできるようにすることが欠かせない。夫婦で働ける環境を整えれば、家庭の将来不安の解消にも役立つ。出生率の向上には子ども手当ばかりでなく、育児支援を総合的に進めることが重要だ。

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