テロ等準備罪(改正組織犯罪処罰法) テロが、いつ、どのような形で起きるかについてシミュレーションをする段階に至っている 2017/6/18 佐藤優

2017-06-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2017.6.18 08:24更新
【世界裏舞台】作家・佐藤優 日本でもテロは起きる 有効なテロ対策のためには内心に踏み込真ざるを得ない 過激思想を働きかける危険な「大人」から若者を守れ
 15日、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が成立した。残念ながらこの法律をめぐる議論は政争の具となってしまった。多くの有識者も、まず安倍政権を支持するか否かという立場を決めて、ポジショントークを行っていたように思えてならない。
 筆者は外交官時代、ロシアを担当していた。チェチェン問題をきっかけとするテロを目の当たりにした。外務省の国際情報局(現在の国際情報統括官組織)で主任分析官を務めていたときには、テルアビブのモサド(イスラエル諜報特務庁)本部やモスクワのSVR(露対外諜報庁)本部を何度も訪れ、第一線でテロと戦う専門家からブリーフィングを受けた。
 現在もさまざまな国のテロ対策専門家が訪ねてきて、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)やそれに共鳴する一匹狼(おおかみ)型のテロリストの現況についてバックグラウンドブリーフィング(背景事情説明)をしてくれる。それだから、筆者のテロ対策観は日本の多くの有識者とは異なっている。
 「暴論」という非難を受けることを覚悟した上で、あえて述べる。有効なテロ対策を行うには、人間の内心に踏み込まざるを得ない。現在も日本に共産主義系の過激派が存在する。これらの団体の構成員は、暴力革命による政府の破壊や、権力の奪取を夢想している。機関紙ではそのような暴力主義的破壊思想を開陳する。しかし、そのような思想を持ち、表現することと、実際に破壊活動に従事することとの間には距離がある。
 この種の共産主義系過激派と、ISやそれに賛同するテロリストの脅威は本質を異にする。思想信条が即、テロ活動につながる。従って、テロを防ぐためには、行動が確実視されているテロリストの思想に踏み込むことが不可欠なのである。日本では暴論と受け止められるであろうが、テロの脅威に直面するイスラエルやロシアでは、インテリジェンス機関のみならず、政治エリートにおいてもこの見解は共有されている。
 「日本では中東や欧米、ロシアのようなテロは起きない」という認識は間違いだ。残念ながら日本でもテロは起きる。ISが米国、EU(欧州連合)、ロシアとともに日本も標的に定めているからだ。テロが、いつ、どのような形で起きるかについてシミュレーションをする段階に至っている。
 「暴論」という非難を受けることを覚悟した上で、あえて述べる。有効なテロ対策を行うには、人間の内心に踏み込まざるを得ない。現在も日本に共産主義系の過激派が存在する。これらの団体の構成員は、暴力革命による政府の破壊や、権力の奪取を夢想している。機関紙ではそのような暴力主義的破壊思想を開陳する。しかし、そのような思想を持ち、表現することと、実際に破壊活動に従事することとの間には距離がある。
 この種の共産主義系過激派と、ISやそれに賛同するテロリストの脅威は本質を異にする。思想信条が即、テロ活動につながる。従って、テロを防ぐためには、行動が確実視されているテロリストの思想に踏み込むことが不可欠なのである。日本では暴論と受け止められるであろうが、テロの脅威に直面するイスラエルやロシアでは、インテリジェンス機関のみならず、政治エリートにおいてもこの見解は共有されている。
 「日本では中東や欧米、ロシアのようなテロは起きない」という認識は間違いだ。残念ながら日本でもテロは起きる。ISが米国、EU(欧州連合)、ロシアとともに日本も標的に定めているからだ。テロが、いつ、どのような形で起きるかについてシミュレーションをする段階に至っている。
 「暴論」という非難を受けることを覚悟した上で、あえて述べる。有効なテロ対策を行うには、人間の内心に踏み込まざるを得ない。現在も日本に共産主義系の過激派が存在する。これらの団体の構成員は、暴力革命による政府の破壊や、権力の奪取を夢想している。機関紙ではそのような暴力主義的破壊思想を開陳する。しかし、そのような思想を持ち、表現することと、実際に破壊活動に従事することとの間には距離がある。
 この種の共産主義系過激派と、ISやそれに賛同するテロリストの脅威は本質を異にする。思想信条が即、テロ活動につながる。従って、テロを防ぐためには、行動が確実視されているテロリストの思想に踏み込むことが不可欠なのである。日本では暴論と受け止められるであろうが、テロの脅威に直面するイスラエルやロシアでは、インテリジェンス機関のみならず、政治エリートにおいてもこの見解は共有されている。
 「日本では中東や欧米、ロシアのようなテロは起きない」という認識は間違いだ。残念ながら日本でもテロは起きる。ISが米国、EU(欧州連合)、ロシアとともに日本も標的に定めているからだ。テロが、いつ、どのような形で起きるかについてシミュレーションをする段階に至っている。
 これまでテロを防ぐことができたのは、さまざまな法的不備がある中で公安警察が努力してきたからだ。例えば、「私戦予備及び陰謀罪」(刑法第93条)を適用し、ISに加わろうとしていた大学生の計画とその背後にいるメンター(思想的指導者)の存在を明らかにすることで世論を喚起し、社会の力でこのような勢力の動きを封じ込めた。しかし、このように日本人がISのテロに参加する可能性が合理的に見てかなり高い事案でも、刑事事件化はできなかった。テロ対策に関して現行法体系に不備があることは明白だ。
 特に危惧しているのは、大学生や高校生に対するISやそれに賛同する危険な「大人」の働きかけだ。
 「トルコから強制送還され、日本政府からパスポートを奪われた」などと称するジハード(聖戦)戦士がさまざまな機会を利用して学生に接触し、過激な運動に誘う。その背後にはアラビア語に堪能で地域事情に詳しいメンターがいる。
 現下の日本社会の閉塞(へいそく)状況を一挙に変えることはできないかと思い詰める若者がいる。前衛的なファッションとしてイスラム文化を受け止めている若者も一部にいる。恋愛、学業、就職などの失敗で自殺願望を抱く若者もいる。
 テロリストは言葉巧みにこのような若者に近づき、テロ活動に組み入れようとする。テロを社会に拡散するイデオロギーに対する思想的・宗教的安全保障を、真剣に考えなくてはならない時機に至っている。
 高校と大学の教師がテロに対する危機意識をもっと持たなくてはならない。テロ活動につながる働きかけの情報を得たら、学生から事情を聴き、警察に通報することが不可欠と思う。危険な「大人」の政治から学生や生徒を守ることは、教育者の責務だ。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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『知の武装 救国のインテリジェンス』手嶋龍一×佐藤優 新潮新書 2013年12月20日初版発行
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1 コメント

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感想 (あやか)
2017-06-19 06:29:15
おはようございます。
ブログの内容、おっしゃるとおりだと思います。
テロの問題は、みんな、『行為』や『共謀』だけについて論じておられるようですが、私は、それ以前の『心の問題』にまで踏み込まなければならないと思います。
 暴力やテロを是認するような思想・偽宗教こそ問題だと思います。
また、人と議論するときに、いっさい他の人の意見を聞こうとはせず、異論をのべる人を罵倒するひとがいますが、そういう態度こそ暴力につながるものではないでしょうか?
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