「幕尻」徳勝龍が初優勝 大相撲初場所 千秋楽 2020/1/26

2020-01-26 | 相撲・野球・・・など

「幕尻」徳勝龍が初優勝 大相撲初場所 千秋楽

 NHK NEWS WEB 2020年1月26日 17時31分大相撲

 大相撲の平幕 徳勝龍が初場所千秋楽の26日、14勝1敗の好成績で初めての優勝を果たしました。幕内で最も下位の番付、幕尻の力士が優勝するのは20年ぶりで、奈良県出身力士の優勝は大正11年春場所の鶴ヶ浜以来98年ぶりです。
 大相撲初場所の優勝争いは、14日目に、1敗で並ぶ平幕の徳勝龍が正代との直接対決を制してただ一人、1敗を守り、優勝争いは徳勝龍と2敗に後退した正代の2人に絞られていました。
 26日、千秋楽の取組で先に土俵に上がった正代が御嶽海に勝って2敗を守りましたが、幕尻の力士として昭和以降初めて千秋楽の結びの土俵に上がった徳勝龍が大関 貴景勝に寄り切りで勝って14勝1敗として、初めての優勝を果たしました。

  

 徳勝龍は奈良市出身の33歳。
 十両陥落と返り入幕を繰り返してきましたが、4回目の幕内復帰となった今場所は、序盤から得意の突き押しに加えて右を抱えて出る相撲で白星を重ね、9日目には幕内で最も早く勝ち越しを決めました。
 10日目以降は5日連続で土俵際の「突き落とし」で逆転勝ちし、驚異的な勝負強さを見せました。
 幕尻の力士の優勝は平成12年春場所の貴闘力以来となる20年ぶりです。
 33歳5か月での初優勝は、年6場所制が定着した昭和33年以降では旭天鵬、玉鷲に次ぐ3番目の年長記録です。
 また、奈良県出身力士の優勝は大正11年春場所の鶴ヶ浜以来98年ぶりです。

徳勝龍「(優勝は)意識しなかった うそ 意識した」
 33歳で初優勝を果たした徳勝龍は「自分なんかが優勝していいんでしょうか。大変なことをやってしまった。地元の奈良にいい報告ができる」と喜びの心境を話しました。
 優勝がかかった千秋楽の結びの一番については「思いっきりいけばいい、立ち合いだけしっかり当たればいいと自分に言い聞かせた。危ないと思ったこともあったが行くしかないと思ってやった」と振り返りました。
 場所中に優勝を意識したかという質問に対しては「意識することなく取り組んだ。それはうそで意識した。優勝インタビューの練習をしていた」と冗談をまじえて答えました。
 今後に向けては「もう33歳じゃなくてまだ33歳と思って頑張りたい。自分らしく気合いの入った相撲で行けるところまで行きたい」と意気込みを話していました。

父親 青木順次さん「まさか自分の息子が…」
 徳勝龍の地元 奈良市では、父親の青木順次さんが市役所に設けられたパブリックビューイングの会場で取組を見守りました。
 優勝が決まると目頭を押さえて喜びをかみしめていました。
 青木さんは「感無量です。まさか自分の息子が優勝するとは思わなかったです。最後はいい取組で、よく頑張ったと思います」と話していました。

地元 奈良でパブリックビューイング「感動した」
 徳勝龍の地元 奈良市では市役所に急きょ、パブリックビューイングの会場が設けられ、およそ200人が取組を見守りました。
 徳勝龍が勝って初めての優勝を決めると、歓声をあげて祝福しました。
 東京から来た52歳の男性は「力と力のぶつかり合った取組で優勝が決まり感動しました。次の大阪場所は会場に応援しに行きます」と話していました。
 地元で徳勝龍を応援する会の会長を務めている石津宏一さんは「幕尻で優勝してみんなに夢を与えてくれたと思う。気を緩めることなく次に向けて頑張ってほしい」とエールを送っていました。

 初土俵から66場所で初優勝  
 徳勝龍は奈良市出身の33歳。
 高知県にある明徳義塾高校と大阪の近畿大学、いずれもアマチュア相撲の強豪で鍛え上げられました。
 同じ昭和61年度生まれには元横綱 稀勢の里や大関 豪栄道、高校の相撲部で競った栃煌山などが名を連ね、いわゆる「花のロクイチ組」と呼ばれています。
 体重150キロを超える大きな体で角界に入門した徳勝龍は平成21年初場所で初土俵を踏み、体格を生かした突き押し相撲に加えて、一時移籍していた北の湖部屋では当時の北の湖親方から左四つを指導され相撲の幅を広げました。
 平成23年九州場所で新十両昇進の際の会見では、同じタイミングで大関に昇進した高校の先輩、琴奨菊との対戦を熱望し、将来の活躍を誓いました。
 その後、平成25年名古屋場所では新入幕を果たし、平成27年夏場所では自己最高位の前頭4枚目まで番付を上げました。
 しかし、三賞の受賞や金星獲得の経験がないなど目立った成績も残せず、十両陥落と返り入幕を繰り返していました。
 今場所は十両筆頭から4回目の幕内復帰で、番付は前頭17枚目、幕内で最も下位となる「幕尻」でした。
 前半戦は右を抱えて前に出る相撲で勝ち星を伸ばし、中日8日目には大関経験者で憧れの琴奨菊を初顔合わせで破りました。
 10日目以降は連日、土俵際で逆転し勝負強さを見せました。
 初土俵から66場所で初優勝を果たしました。

八角理事長「いやあ立派だ 立派だ」
 日本相撲協会の八角理事長は「いやあ立派だ。立派だ」と何度も繰り返したうえで、「14番はそう勝てるものではない。今場所は突き落としも思い切りがあったし、その前に先制している。大関を破り、これで文句の言いようがない優勝だと思う」とたたえました。
 そして、優勝を決めて涙を見せる徳勝龍の姿を見て「こういうのを見せられるとこちらもぐっと来るものがある。上位が体調、調子を崩している中で幕内にいればこういうこともある。幕内力士はみんな目指してほしい」と話していました。

審判部長代理「勝負を諦めない気持ち」
 日本相撲協会の審判部長代理を務める境川親方は、徳勝龍が大関 貴景勝を破った一番について「立ち合いはよかったし、気合いも入っていたし、押し相撲の大関に対して自分の形である左四つに組み止めたのがよかった。幕尻の力士を異例の形で結びの一番に持ってきたが、盛り上がってよかった」と話しました。
 そのうえで今場所の徳勝龍について「四つ相撲でも押し相撲でもどっちも取れるし、気持ちが乗っていた。突き落としが続いたが、あれも勝負を諦めない気持ちがつながったのだろう」と評価していました。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です


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