岸田首相、その優しさを国民に分けて…落選・石原伸晃氏に手厚い失業対策

2021-12-15 | 政治

   
  2021年12月15日 水曜日 中日新聞

  落選・石原氏に手厚い失業対策 

 岸田首相、その優しさを国民に分けて…

 画像;先の衆院選で落選した石原伸晃氏=東京都杉並区で

 衆院選で落選した後に内閣官房参与に登用された石原伸晃氏に対し、世間から批判が湧き上がった。失業対策に映ったからだ。もっとも、コロナ禍で支援を求める人はたくさんいる。石原氏は十日に辞任したが、彼に手を差し伸べた岸田文雄首相の優しさを、困っている国民に向けられないものか。
 「辞退するべきだ」「恥ずかしくないのか」。任命直後からネット上でも批判が相次いだ石原氏の参与就任。ツイッターでは、「石原伸晃の内閣官房参与任命に抗議します」とのハッシュタグまでできた。
 「まだ十分に体力、能力はある。国、地域のため内閣にお役に立てるアドバイスをしたい」。岸田氏から辞令を受けた六日、石原氏はこう語っていた。
 過去、参与には元外交官や学者らが就いた。専門知識を生かして首相に助言する、いわゆるブレーンだ。首相が直接任命し、定員はない。
 内閣官房によると、参与の日当は二万六千四百円。勤務時間の決まりはなく、自己申告制。一日十分、首相と電話で話しただけでもこの額をもらうことができる。非常勤の国家公務員という扱いで、守秘義務が課される一方、供応接待、兼業は問題ない。
 参与を務めた経験がある多摩大大学院名誉教授の田坂広子志さんは「参与に任命される人で日当が目的の人はいない。ただ、落選した政治家にとって総理に直接、進言できる肩書は大きいと思う」と話す。
 石原氏の起用も金銭が目的ではなく、政治的な失業対策だったと言えそうだ。ただ東北大の河村和徳教授(政治学)は「本来、落選した議員の面倒は政党が担うべきだ。例えば選挙区の支部長とか。それを内閣官房の役職に就けたことが特別感を出した」と語る。
 石原氏と言えば今年1月、新型コロナの感染が判明。無症状ながら入院できた。「特別扱い」の批判が湧き上がった一方、東京新聞は手厚いサポートを「伸晃基準」と報じた上、全国民に広げるよう提言した。そんな経緯がある中、衆院選で落選した石原氏が内閣官房参与に登用されたため、「なぜ再び特別扱い」の疑問が強まった。
 こうした事情とは別に、コロナ禍で手厚い支援を求めつ国民は多い。
 総務省の労働力調査では7~9月、仕事を失った状態が1年以上続く「長期失業者」の月平均は68万人で、昨年の同じ時期よりも18万人増えた。そのうち、働く意欲があるのに働けない「完全失業者」は66万人に上る。
 経済政策で「成長と分配」の分配に力点を置くと言う岸田氏。石原氏への配慮を国民に少しは分配できないものだろうか。
 生活困窮者を支援するNPO法人ほっとプラスの藤田孝典理事は「飲食、宿泊、観光業は回復しておらず、相談は日夜寄せられる。生活保護を利用する人は来年以降、増えるだろう。家賃を払えず、『死にたい』という相談者もいる」と悲痛な訴えを代弁する。
 ともかくも、石原氏は参与を辞任した。岸田氏からすれば「泣いて馬謖を切る」の心境かもしれないが、こんなドタバタを見せられ、泣きたい国民は大勢いるに違いない。
 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「能力があっても失業してしまう人は山のようにいる。与党が10日に決めた来年度の税制改正大綱もそうだが、岸田政権は困った人を助けることに焦点が当たっていない。石原さんを救済するくらいなら、国民を救済しろよと言いたい」と訴えた。 (宮畑譲)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


中日春秋
2021年12月15日 朝刊
 発表された「今年の漢字」は「金」。東京五輪などにちなんだというが、この人物なしには五輪も幻と化した可能性があるらしい。先の衆院選で落選した石原伸晃(のぶてる)氏のことである
▼森喜朗氏が田原総一朗氏に次のような逸話を明かしている
▼開催地争いでリオデジャネイロに敗れると、伸晃氏の父で東京都知事だった慎太郎氏は五輪への熱意を失い、二〇一一年の知事選に出ないと言いだした。森氏の説得に慎太郎氏は「わかった。やりぁいいんだろう。その代わり、伸晃のことを頼む」と語ったという
▼だから森氏は、安倍晋三氏が勝った翌年の自民党総裁選で伸晃氏を支援している。慎太郎氏説得が不調に終わっていれば、東京五輪招致は消えていたと森氏が振り返るほどだから「親子の情」が誘致運動をつないだ、ともいえる。時事問題を扱う芸人のプチ鹿島さんが「伸晃氏は五輪を招致した。本人が意図せずに」とネタにしている
▼最近発覚した伸晃氏の「金」の話は岸田内閣に打撃を与えた。伸晃氏が代表の政治団体が、新型コロナウイルス対策の助成金を受給していた。違法でないとしても、本来は苦境の民間企業向けの助成金。内閣官房参与辞任は当然であろう
▼そういえば、このご仁は環境相時代、原発事故の汚染土などを保管する施設建設の交渉をめぐって「最後は金目でしょ」と言い、福島の人々を怒らせている。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です


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