豚コレラ感染拡大 対策早急に 「胸つぶれる」殺処分に悲痛 防止策徹底も「終わりない」 2019/2/7

2019-02-07 | いのち 環境

豚コレラ感染拡大 業界衝撃 対策早急に 「胸つぶれる」殺処分に悲痛 防止策徹底も「終わりない」 「風評が怖い」正確な情報を
2019/2/7(木) 7:06配信  日本農業新聞 

  
   画像:豚コレラの陽性反応が出た養豚場へ防疫作業に向かう陸上自衛隊員ら(6日、愛知県豊田市で)

 家畜伝染病・豚コレラの感染が5府県に広がっていることを受け、野生動物の侵入防止や消毒など懸命に防疫対策を続けてきた養豚農家や業界団体に衝撃が走った。「胸がつぶれる思い」「終わりのないマラソン」などと訴え、感染の拡大に危機感を募らせる。人にうつることはなく、感染した豚肉を食べても影響はないことから、正確な情報発信を求める声が続出。ワクチン接種の必要性を主張する意見も出てきた。
  岐阜県養豚協会会長で、高山市と中津川市で母豚530頭の一貫経営を営む吉野毅さん(58)は「どこの農場もバイオセキュリティーを高め、県、養豚協会と共に防疫に努めていた中で豚コレラが発生してしまったことは本当に悲しい。今まさに殺処分のさなかだが、経営者やその家族のことを考えると胸がつぶれる思い」と悲痛な気持ちを口にする。
  豚コレラの拡大について「もうどこで発生してもおかしくない状況だ」と危機感をあらわにする。政府に対し、「もっと早く対策が取れたのではないか」と疑問を投げ掛ける。「清浄国ということに重点を置くのではなく、今起きているこの状況から判断してほしい。被害が大きくなってから全頭殺処分することによる損害を考えると、ワクチン接種による防疫は必須だ。国には一刻も早く、接種に向けて動いてほしい」と要望する。
  長野県養豚協会会長を務め、千曲市で母豚120頭規模の一貫農場を経営する中村秀司さん(52)は「野生イノシシによるウイルスの拡散が指摘されている中で、これまで岐阜県内の発生にとどまっていたのは奇跡的だった」としつつも、「長野県内での発生は、本当に残念でならない」と肩を落とす。昨年の岐阜県での発生以来、消毒や野生生物の侵入防止などの対策をこれまで以上に徹底してきた。「終わりのないマラソンを走っているようなもの。いつまでこの緊張感を保てるだろうか」と生産者の心労を指摘する。
  発生農場のある長野県宮田村を管内に持つJA上伊那は6日、家畜防疫対策本部を立ち上げ、情報収集や防疫措置への職員派遣などの対応を進めている。管内の生産者には、改めて防疫対策の徹底を呼び掛けた。JA畜産課の堀内実課長は「農家はこれまでも防疫対策を取ってきた。どれだけやれば防げるのかと心配が尽きない」と生産者の声を代弁する。さらに、「風評被害が生じないよう強く願う」と話し、正確な情報発信や冷静な対応を求める。
  ワクチンの使用は、農家の間で賛否が分かれる。大阪府泉佐野市で約1000頭の豚を育てる関紀産業の川上幸男代表は府内での豚コレラの確認を受け「ワクチンをやらなかったから起きた。起こるべくして起きた行政による人災だ。拡大防止に向け行政は努力すべきだ」と語気を強める。
  防疫対策として、同社は食肉処理場へ行き来する車両は徹底的に洗浄し、豚舎から離れた場所に停車する。また外出する靴と豚舎内の靴の置き場を離すなど対策を取る。ブランド豚「犬鳴豚」を生産するだけに「風評被害は少し気になるが、国産豚は食卓に届くまで徹底して検査をする」と話す。
  愛知県田原市で母豚280頭の一貫経営を行う瓜生陽一代表は「ついに来たか」と無念そうに話す。野生のイノシシの侵入を防ぐ柵などは、県からの補助金制度を利用して設置する考えだったが、4月以降の申請になっていて設置のめどは立っていないという。
  「畜舎の建物から一歩でも外に出たら、豚コレラに限らず、ウイルスがあるという意識を持って防疫に努めるしかない」と強調。「今後の輸出に向けて、清浄国を守りたいという国の気持ちも分かるが、まずはここまで広まってしまった豚コレラの感染拡大を止めるのが先だ」とワクチン接種の必要性を訴える。
  一方、同県の生産者の一人は政府には「感染経路、感染原因の早期解明を期待する」とした上で、ワクチンに「接種することで、ウイルスに感染したのか、抗体によるものなのかが分からなくなる。労力やコストの面から、接種できない人も出てくるかもしれない」と慎重な議論を求める。
 最終更新:2/7(木) 7:06 日本農業新聞

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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豚コレラ 1府4県 愛知の子豚出荷で拡大 殺処分1・6万頭規模
2019/2/7(木) 7:07配信 日本農業新聞
 豚コレラの発生が6日、愛知県の養豚場で確定し、同農場から子豚を出荷していた長野県、岐阜県、滋賀県、大阪府の農場でも検査の結果「陽性」が確認された。岐阜県以外の養豚農家での発生は、昨年の9月以降で初めて。豚コレラが1府4県に拡大した。それぞれの養豚場で殺処分などが始まり、対象は計1万6000頭規模に上るとみられる。
  吉川貴盛農相は同日の農水省豚コレラ防疫対策本部で「極めて重大な局面を迎えている」と危機感を示し、「何としてもこれ以上の感染拡大を防ぐ」と述べた。まん延防止対策に全力を挙げるよう指示した。
  飼養施設で8例目の発生となった愛知県豊田市の養豚場は、6640頭を飼養していた。4日、食欲不振などの豚がいると、県に通報。5日に行った県の検査で陽性反応があり、農研機構動物衛生研究部門で精密検査したところ6日に豚コレラと確定した。同農場から半径3キロ未満の移動制限区域には養豚場はない。3~10キロの搬出制限区域には、6戸が約1110頭を飼育している。
  同農場からは今年、田原市の関連農場を含めた5府県5農場に加え、三重県の農場へ子豚を出荷していた。三重県へは1月14日に80頭を導入したのが最後で、豚コレラの陽性反応は出ていないが、その他の農場は全て陽性となった。静岡県内のと畜場に、愛知と岐阜の陽性が確認された農場から出荷があったことも分かった。静岡県は、検査については国と協議中としている。
  陽性を確認した5府県では、対策会議を開催。長野県では8例目の愛知県豊田市の農場が4日に異常通報したにもかかわらず、5日に子豚80頭を出荷していたことを明らかにした。同県は宮田村の養豚場で6日、約2300頭の殺処分を開始。岐阜県、愛知県、滋賀県、大阪府の農場でも処分を進めた。9日までの防疫措置完了を目指す。
  同省は、感染時期の特定を進める。関連農場を含めた5府県5農場は、感染経路が想定できるとして、制限区域は設けない。同省動物衛生課は、「野生のイノシシへの広がりを防ぐためにも、まずは陽性を確認した各府県の農場の封じ込めを最優先に行う」という。  豚コレラは豚やイノシシの病気で、人には感染しない。
  大阪府で「陽性」が確認された当該農場では、5日夜から対応に追われた。農家は「とても困っている。涙が止まらない。大切に育ててきたのに」と声を詰まらせる。「今後どれだけお金がかかるのか、国はちゃんと補償をしてくれるのか。このままでは最悪廃業になる」と、苦しい胸の内を明かす。
*官房長官 迅速な防疫指示
 政府は6日夕、首相官邸で豚コレラ関係閣僚会議を開き、感染拡大防止へ対応を確認した。菅義偉官房長官は「政府と関係自治体が緊密に連携し、さらなる感染の拡大を防がなければならない」と強調。迅速な防疫措置などを関係閣僚らに指示した。関連農場で飼育する豚の移動自粛の徹底などを進めていく方針を確認した。
  菅官房長官は、今後の対応として(1)迅速で徹底した防疫措置の実施(2)関係自治体との連携強化(3)消費者への積極的な情報発信──を指示した。関係省庁が連携し、自治体のニーズ把握と迅速な対応などに取り組むことを確認した。
  会議には吉川貴盛農相をはじめ、麻生太郎財務相、石田真敏総務相ら関係閣僚と、愛知県の大村秀章知事、岐阜県の古田肇知事ら自治体の首長が出席した。日本農業新聞

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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