中日春秋
2023年8月24日
元プロ野球選手の清原和博さんがPL学園高校野球部時代をユーチューブで語っている
▼寮生活は一年生時代が過酷。それぞれが上級生の付き人になり、寝る間を惜しんで洗濯や食事の世話、マッサージなどで尽くす
▼先輩に対する受け答えは「はい」か「いいえ」のみ許された。いいえはそう言えず、事実上の絶対服従。なぜか浴室ではシャンプー禁止で石鹼(せっけん)を使った。練習中の水分摂取もご法度。清原さんは練習場近くの便所の水を流し、こっそり飲んだという
▼水の我慢も含め、非合理な試練にも耐え根性を養うのだという志向は長く、PLに限らなかった。全国の野球部員の丸刈りはその覚悟を示すとも言われたが、そんな価値観から遠い学校が今年の夏の甲子園を制した。清原さんの次男もベンチ入りした慶応高校
▼選手たちの髪は長く、シャンプーなしで汚れを落とすのは困難に見えた。監督と選手たちは練習メニューなどを対等に話し合うと聞く。慶応高野球部心得は、納得できぬことはとことん質問せよと説き「大人に対しても自分の考えを堂々と述べられるようになって欲しい」と記す。隷属より自主独立を求めるようだ
▼心得は「日本一を目標とし、古い体質の日本の高校野球に新風を吹き込む」と掲げる。高校野球は変わるのか。イエスかノーか二者択一を強要されずとも、前者を答えとする人は多い気がする。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です