<草思社>民事再生法を申請 中堅出版社、ヒット作も多く

2008-01-10 | 社会

  (毎日新聞 - 01月09日 20:43)
 「声に出して読みたい日本語」(斎藤孝著)シリーズなどで知られる中堅出版社の「草思社」(木谷東男=はるお=社長、東京都文京区)が9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請、事実上倒産した。負債総額は22億4789万円。数々のベストセラーを出したものの、ここ数年は業績が悪化し、自力での再建を断念した。すでに出版社数社が支援を表明しており、営業は継続するという。出版界では自費出版大手の新風舎が7日に破綻(はたん)したばかり。

 草思社は68年創業で、社員33人。徳大寺有恒さんの「間違いだらけのクルマ選び」、川島令三さんの「全国鉄道事情大研究」などのシリーズが人気を呼んだ。印象的なタイトルの付け方に定評があり、「平気でうそをつく人たち」(モーガン・スコット・ペック著)、「他人をほめる人、けなす人」(フランチェスコ・アルベローニ著)などの翻訳書も含め、次々にヒットを飛ばした。中野孝次著「清貧の思想」は流行語にもなった。

 民間調査会社の帝国データバンクによると、売上高のピークは97年10月期の約39億円。最近はベストセラーに恵まれず、06年10月期には約16億2000万円に落ち込んだ。05年に渋谷区の自社ビルを売却するなど合理化を進めていたが、「雑誌も文庫も持たず、単行本のみの特異な業態で、出版不況の波をまともにかぶった」(草思社編集部)と説明している。2月中に再建計画をまとめる方針。【斉藤希史子】

 ▽出版ニュース社代表、清田義昭さんの話 着実に独自のイメージを作ってきた中堅出版社だけに、驚いている。出版以外のビジネスで債務がかさんだと聞いているが、出版不況が経営悪化に拍車をかけたのは間違いない。出版界全体でも年末年始の売り上げが前年比8%減と、状況は厳しい。草思社の倒産が与える心理的影響は大きいのではないか。

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来栖のつぶやき

 出版業界も苦戦の時代だ。草思社の出版物は、多く読んできた。上質の出版社という印象。『女盗賊プーラン』、『平気でうそをつく人たち』・・・、いずれも面白く、示唆に富んで教わるところが多かった。

 存続してほしい。出版社数社が支援を表明している、というのも頷ける。


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