秋葉原事件〈加藤智大被告〉第3回公判 2010.2.5 証拠調べ・〈目撃者〉証人尋問

2010-03-09 | 秋葉原無差別殺傷事件

【秋葉原無差別殺傷事件 第3回公判】2010.2.5 証拠調べ
産経ニュース2010.2.5 11:14
 裁判長「若干早いですが、開始しましょう」
 検察官「では、甲号証の取り調べに入ります。本日は、被告に襲われてお亡くなりになった方々、けがをされた方々の被害の状況について説明します」
 「ご遺体の写真や、けがをされた方の写真がありますので、大型モニターの電源を落とさせていただきます」
 検察官「まず、中村勝彦さんの司法解剖の経過からです」《トラックにはねられて殺害された中村勝彦さん=当時(74)=の被害の状況》
 検察官「死因は右肺臓挫傷、胸部大動脈破裂および肝破裂でした」
 検察官「では、ご遺体の写真を示します」
 《法廷内の大型モニターは真っ暗なままだが》
 検察官「次に被害者Aさんの証拠について…」《トラックにはねられ殺害されたAさん、川口隆裕さん=当時(19)=の傷の状況》
 検察官「次は被害者Dさん…」《ダガーナイフで背中を刺されたDさん》
 《右胸を刺されて死亡したEさんに関する証拠の読み上げ》
 検察官「…その傷は、幅6センチ、前の右から後ろ側へ、深さは11・2センチ。肝臓や大静脈を貫通し、副腎なども損傷していました…。長さ11・2センチか、それ以上の刃物により形成されたと…」
 検察官「東京都文京区湯島の、東京医科歯科大学付属病院の医師に問い合わせた結果、Eさんの死亡が確認されたのは、平成20年6月8日の午後4時30分です」
 《8人目の被害者・Fさんは、後ろから背中を刺された。自ら携帯で「刺された、背中を刺された、息苦しい」と119番通報。その後、搬送先の病院で亡くなっている》
 検察官「(Fさんの)傷は幅4・8センチ、左後ろから右前下方に向かって深さは10・9センチ。左肺を損傷しており、それが致命傷です」
 「遺体の刺創部分の写真を1枚、示します…」《Fさんに続いては、胸を刺され、全治6カ月の重傷を負った△△さん(法廷では実名)、背中を刺されて全治3カ月だった○○さん(同)、腹を刺され全治3カ月のGさん…。検察官は淡々とした口調で、被害者の負傷状況の説明を続けていった》
 検察官「(△△さんの傷は)右肺と横隔膜を貫通し、肝臓にまで達していました。胸腔内に血がたまり、血気胸になっていました…」
 「(○○さんは)15分間は心肺停止状態で、蘇生(そせい)術を実施し、心肺再開後に開胸手術を行い…」
 「(Gさんは)入通院中は精神科医によるケアを実施しています」
 《深刻な後遺症に苦しむ被害者の実状も明らかにされた。後ろから腰を刺されたHさんだ》
 検察官「神経を包んでいる硬膜を損傷し、脳脊髄(せきずい)液が漏れ出ております…断裂された神経は再生せず…」
 「負傷により、下肢まひが完治せず、排尿や排泄(はいせつ)には、おしめが必要です。装具なしには歩行できません。重篤な後遺症が残存するとしています」
 《検察官は重軽傷を負った被害者2人や、亡くなった松井満さん=当時(33)=の負傷の状況などの読み上げに移っていく》
 検察官「松井満さんの司法解剖の結果です。腹部刺創による動脈の切断…。傷は約6センチで、6センチ以上の刃器によるものとみられます。次にご遺体の腹部の状況を示します」
 検察官「松井さんが搬送された病院によると、松井さんの死亡確認は平成20年6月8日午後5時32分でした」
 《引き続き、検察官は全治約2カ月のケガを負ったIさんの診断などを読み上げた》
 検察官「次に(亡くなった)Jさんの司法解剖の結果です。死因は前胸部の刺創です。傷跡は約12・5センチ、深さは約9センチで刃器によるものです。Jさんのご遺体の傷口の部分の写真を示します」
 検察官「Jさんは、搬送された病院で死亡が確認されました」
 「次に、被害者のKさんの状況です。最初に治療を受けた病院の診断では左背部刺創…」
 検察官「Kさんが(平成20年)6月20日に退院した後、転院した病院で6月24日に初診を受けました。7月には右腎臓の損傷も完治し、8月6日にはそのほかの傷もほぼ完治しており、全治まで約2カ月間だったといえます」
 検察官「被害者のEさん、JさんのDNAと比較した結果、2人のDNA型を含んだ血液が付着していました」
 裁判長「今日の書証の読み上げは終了でいいですか」
 《村山裁判長は証拠調べの終了を確認した上で、午前11時10分まで休廷をはさみ、目撃者の証人尋問を行うことを告げた。》

 《約15分の休廷を挟み、午前11時10分から再び開廷》
 検察官「平成20年6月8日に起きた秋葉原での殺人事件の目撃者ですね?」
 証人「はい」
 検察官「証人はこの日、なぜ、秋葉原に来ていたのですか」
 証人「テニスサークルで使うテニスのガットを張るために来ていました」
 検察官「1人で来ていたのですか」
 証人「サークルの友達と一緒でした」
 検察官「当時、どこにいましたか」
 証人「マクドナルドの反対側の道路にいました」
 検察官「この地図に、いた場所を書き込んでもらえますか。○印をつけてください」
 《衝立の向こう側で、検察官が事件現場の地図を証人に示しているようだ》
 証人「はい…」
 検察官「マクドナルドの位置も書いてください」
 証人「はい」
 検察官「では、何を目撃したかを聞いていきます。最初に何があったのですか」
 証人「『ガシャン』という音が聞こえ、その方向に振り向きました」
 検察官「どこから聞こえましたか」
 証人「交差点の方です」
 検察官「どんな光景が見えましたか」
 証人「トラックが猛スピードで走り、2、3人がはねられていました」
 検察官「トラックはどの方向からどの方向に走っていましたか」
 証人「西から東です」
 検察官「2、3人がはねられた状況を詳しく聞かせてください」
 証人「トラックの北側と南側に一人ずつはね飛ばされているのが、影のようにみえました」
 検察官「影のように、ですか」
 証人「はい。一瞬の出来事で、影のように見えました」
 検察官「それが人だと分かりましたか」
 検察官「この2人以外に、トラックにひかれた人はいましたか」
 証人「はい」
 検察官「その人はどのようにひかれましたか」
 証人「右前輪にひかれ、車の下にいました。うつぶせで上半身が見えました」
 検察官「下半身は?」
 証人「黒かったような…」
 検察官「その人の体はどうなっていましたか」
 証人「前輪でひかれ、体をくるくるさせながら、引きずられていました」
 検察官「トラックはおかしな動きをしていませんでしたか」
 証人「バウンドしたように走っていました」
 検察官「なぜ、そう見えたのですか」
 証人「人が後輪でひかれた際に、トラックがバウンドしたように見えました」
 検察官「スピードはどうでしたか」
 証人「40~50キロぐらいだったと思います」
 検察官「ブレーキをかける様子はありましたか」
 証人「一切無かったです」
 検察官「車輪にひかれた人はどうなっていましたか」
 証人「うつぶせになったまま、ぷつりとも動かなかったです」
 検察官「ひかれた人はどんな格好でしたか」
 証人「グレーの上着にジーンズをはいていたようなイメージです」
 検察官「男性ですか?女性ですか?」
 証人「男性でした」
 検察官「年齢は?」
 証人「自分と同じぐらいで…。20歳ぐらいに見えました」
 検察官「その人は動いていない様子でしたか」
 証人「はい」
 検察官「その時、どう思いましたか」
 証人「初めて見た光景で、少し気分が悪くなりました」
 検察官「その人はどうなったと思いましたか」
 証人「お亡くなりになったと思いました」
 《「トラックに人がはねられたときの様子を絵にしてもらえませんか」。トラックが暴走し、人を跳ね飛ばしていく場面を描くよう求めた検察官に「はい」と応えた》
 証人「できました」
 《完成した絵が大型モニターに映し出された。右向きに進むトラックと人物。人は細い線で人形のように描かれている。絵には、それぞれ(A)(B)と記された人が、トラックの両脇に跳ね飛ばされ、(C)と記された人は、右前輪でひかれた後、右後輪の前に転がっていったようだ。絵には、矢印でトラックにひかれていった様子が記されている》
 検察官「(C)さんのこの矢印は何を表しているのですか」
 証人「(人が)クルクル回転している感じを表しました」
 検察官「人物は頭まで描かれていますが、頭は見えましたか」
 証人「実際には見えていないです」
 検察官「その後もトラックを見ていましたか」
 証人「はい」
 検察官「トラックはどうなりましたか」
 証人「自分の前を通過し、陸橋の手前ぐらいで急停止しました」
 検察官「トラックが急停止した場所を地図に書き込んでください」
 証人「はい」
 《検察官の指示に応じ、証人は地図にトラックが交差点の先で停止した位置を書き込んだ》
 検察官「トラックから誰か降りてきましたか」
 証人「はい。男性が降りてきました」
 検察官「それは停止してからすぐですか」
 証人「停止して30秒くらい後に降りてきたと思います」
 検察官「降りてきた男はどんな服装でしたか」
 証人「メガネをかけていて、ベージュの色をした服を着ていました」
 検察官「年齢は?」
 証人「25~30歳くらいの方だと思います」
 検察官「ここで4枚の写真を示します。上着の前と後ろの2枚の写真ですが、あなたが見た人の服と比べてどうですか」
 証人「同じだと思います」
 検察官「続いてズボンの前と後ろが写っている写真2枚ですが、こちらは?」
 証人「こちらも同じだと思います」
 検察官「トラックから降りてきた男はその後どうしましたか」
 証人「ふらつきながら、地図の東から西へ走っていきました」
 検察官「どんな様子でしたか」
 証人「フラフラでジグザグのように走っていきました。自分の正面に来るまでそんな感じで、その後は交差点に向かい全力疾走する感じでした」
 検察官「その後、その男はどうしましたか」
 証人「自分の前を通過した後、交差点を見ていた男性を突き飛ばしたような感じに見えました」
 検察官「あなたから見てどの辺りですか」
 証人「自分より斜め前辺りに立っていました」
 検察官「その男性はどんな服装でしたか」
 証人「リュックサックを背負い、ジーパンでした」
 検察官「年齢はどのくらいでしたか」
 証人「50歳くらいかなと思いました」
 検察官「男性を突き飛ばすようにした男は具体的にどんなことをしていましたか」
 証人「右手で(D)さんの左肩をつかんで引っ張ったように見えました」
 検察官「(D)さんはその後どうなりましたか」
 証人「その場に倒れ込むような感じで横になってしまいました」
 検察官「男は手に何かを持っていましたか」
 証人「よく見えませんでした」
 検察官「倒れた後は男はどうしましたか」
 証人「交差点の方に走っていき、よく見えなくなってしまいました」
 検察官「(D)さんが倒れた以外に、自分の周囲で変わったことはありましたか」
 証人「自分の真正面に女性の方がいました」
 検察官「どんな状態でしたか」
 証人「正座を崩した状態で座っていました」
 検察官「道に座り込んでいたということですね?」
 証人「はい」
 検察官「トラックが通り過ぎる前からですか」
 証人「いいえ」
 検察官「後で?」
 証人「はい」
 検察官「女性がいた場所を地図に書き加えてください」
 検察官「ちょうどマクドナルドの前ということですね?」
 証人「はい」
 検察官「その後どうしましたか」
 証人「気分が悪くなったので、友人に『帰ろう』と言って帰りました」
 検察官「あなたはすべてを○印の位置から目撃したということですね?」
 証人「はい」
 検察官「どんな気持ちになりましたか」
 証人「今まで気にしてなかったことですが、この事件をきっかけに道を歩いていると、前後から襲われるのではないかと気にするようになりました」
 検察官「生活にも影響があったということですね」
 証人「はい」
 検察官「写真を示します。この写真の中央で倒れているのが(A)さんですが、トラックに巻き込まれた人と同じ人ですか」
 証人「同じ人です」
 検察官「もう一つ、右上に『12時33分10秒』と書かれている写真を示します。このリュックを背負った男性を(F)さんとしますが、この人は男に突き飛ばされた人と比べてどうですか」
 証人「同じ人だと思います」
 検察官「なぜそう思いますか」
 証人「リュックを背負っていることと、髪形が同じです」
 検察官「私からの質問は以上です」
 《検察官の証人尋問が終了。村山浩昭裁判長が「続いて弁護人の反対尋問どうぞ」と促す》
 弁護人「(目撃した)○印まではどのように行きましたか」
 証人「東の方から西に歩いてきました」
 弁護人「友人と一緒に?」
 証人「はい」
 弁護人「目撃したとき友人はどこにいましたか」
 証人「自分よりもマクドナルド側にいました」
 弁護人「『ガシャン』という音を聞いたということですがそのときは何をしていましたか」
 証人「友人の方を向いて話をしていました」
 弁護人「そして音を聞いて道の方を見たということですね?」
 証人「はい」
 弁護人「『ガシャン』という音は1回ですか」
 証人「はい」
 弁護人「跳ねられた人がトラックのどの部分に当たったかは見ましたか」
 証人「自分は人が飛んでいるところからしか見てません」
 弁護人「交差点は全体を見渡せる場所ですか」
 証人「1台車が止まっていましたが、見渡せます」
 弁護人「跳ねられた人が影のように見えたということですが、服装は?」
 証人「分かりません」
 弁護人「トラックがバウンドしたということですが、何回くらいバウンドしましたか」
 証人「1回です」
 弁護人「突き飛ばされる人を見たということですが、そのとき交差点の歩行者はどのくらいいましたか」
 証人「よく分かりません」
 弁護人「トラックから出てきた人の周りでよろめく人とかいましたか」
 証人「見ていません」
 弁護人「後から事件を知ったと思うのですが、見た時は何が起きていたと思いましたか」
 証人「交通事故が起きたと思いました」
 弁護人「出てきた人は何をしているようでしたか」
 証人「跳ねた人を救いに行っているのかと思いました」
 弁護人「私からは以上です」《別の男性弁護人が尋問を開始》
 弁護人「トラックが止まった場所ですが、ブレーキをかけてすぐ止まりましたか」
 証人「はい」
 弁護人「止まってからドアが開くまで30秒くらいだったということですね?」
 証人「はい」
 弁護人「警察には2分と説明していたようですが?」
 証人「はい、そのときはあっという間だったので、長く感じました。でも今考えると30秒くらいだと思います」
 弁護人「ドアは開いたままでしたか?」
 証人「開けっぱなしだった気がします」
 弁護人「出てきた人はふらふら走ってきたということですね?」
 証人「まっすぐでなく、左右に揺れながら走ってきた気がします」
 弁護人「(D)さんの話になりますが、トラックから降りてきた人は、走りがけに(D)さんにぶつかっていったのですか」
 証人「トラックから降りてから走り出し、そのまま(Dさんに)ぶつかったように見えました」
 弁護人「(D)さんが横たわっていたときに、トラックから降りてきた男はどこにいたのですか」
 証人「交差点の方に走り去っていきました」
 弁護人「トラックから出てきた男はどのような表情でしたか」
 証人「そこまで見えませんでした」
 弁護人「トラックから降りてきた男は、声はあげていましたか」
 証人「そこまで認識していませんでした」
 弁護人「あなたは調書で『トラックから降りて走っていった男を警察官が追っていった』と話していますね?」
 証人「はい」
 弁護人「最初、警察官はどの位置にいたのですか」
 証人「私が見たときは、私がいた位置よりもっと後ろの方にいました」
 弁護人「そのとき、トラックから降りてきた男はどこにいましたか」
 証人「交差点の方に(走って)行っていました」
 弁護人「(D)さんと(刺されて)座り込んでいた(E)さんを見た順番はどうでしたか」
 証人「(D)さんの方を見てから交差点を見て、振り返ったら(E)さんがいました」
 弁護人「(質問を)終わります」
 村山浩昭裁判長「本日の予定していた証拠調べを終了します」

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です

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