鉢呂前経産相を追い込んだ大マスコミ報道の不可解/鉢呂辞任の流れをつくったのは経産官僚か

2011-09-15 | 政治

鉢呂前経産相を追い込んだ大マスコミ報道の不可解
日刊ゲンダイ2011年9月14日
*「脱原発」が推進勢力を敵に回したのか
 鉢呂前経産相の辞任騒動が、新たな展開をもたらしている。マスコミ報道のあり方に疑問を投げかける声が識者や読者から上がっているのだ。
 実際、今回の「死の町」「放射能」発言の一連の報道の流れには不可解な点が多い。
 まずは9日の閣議後会見での「死の町」発言。これは、その日のうちに報じられ、物議を醸した。
 この発言が問題視されると、今度は「放射能をつけてやる」という趣旨のオフレコ発言が出てきたのだが、この発言があったのは会見前日の8日夜のこと。鉢呂は辞任会見で「非公式の記者懇談(オフレコ)」と言っていた。たとえオフレコでも、重大な問題発言だと思えば、すぐに報じればいいのに、2日後の10日になって一斉に出てきたのだ。
 「放射能をつけちゃうぞ」(朝日)
 「ほら、放射能」(読売)
 「放射能をつけたぞ」(毎日)
 「放射能をうつしてやる」(産経)
 「放射能をつけてやろうか」(日経)
 大マスコミは「メモ合わせ」で発言内容を確認し合うのが慣例だが、なぜか各社の表現はバラバラだ。
 「鉢呂氏自身も『記憶が定かでない』と言っていますが、オフレコで真偽も定かでない発言が、どうして一斉に表に出てきたのか。私は、鉢呂氏の『脱原発』と『反TPP』がトラの尾を踏んだように思えてなりません。『死の町』発言にしても、第一報では前後の脈絡を無視して、発言の一部分だけが恣意的に切り取られた。辞任会見には私も出席しましたが、記者は鬼のクビを取ったかのように鉢呂氏を責め立て、非常に嫌な感じがしました。大マスコミには、自分たちが世論をつくっているという思い上がりがある。こんな状況がまかり通れば、政治家が事なかれ主義に陥り、本当に深刻な事態に直面しても、国民に対してメッセージを発することもできなくなりますよ」(ジャーナリスト・田中龍作氏)
  結局、「脱原発」を口にした鉢呂の辞任で喜んでいるのは、経産省や東電など「原子力ムラ」の住人たちである。後任の枝野経産相は原発推進派。就任会見で厳しい質問はなく、報道陣も枝野には妙にやさしかったのが印象的だ。
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鉢呂大臣辞任 流れをつくったのは経産官僚なのか
日刊ゲンダイ2011年9月15日

「反原発人事」を進めた矢先の引きずり降ろし劇
  鉢呂吉雄・前経産相を辞任に追い込んだのは経産官僚なのか――!?
  信憑(しんぴょう)性に疑問符が付いた「放射能うつす」発言騒動に、“黒幕”の存在がささやかれ始めた。
  そもそも赤坂の議員宿舎の発言現場にいた記者は数人。だれもメモを取っていないから、報じた新聞テレビは今も「裏取り」できず、苦し紛れの検証記事を載せている。「ホントに言ったの?」と思われるのも当然だ。その“真相”について、東京新聞・中日新聞の長谷川幸洋論説副主幹は鉢呂の単独インタビューに成功し、本人の声を「現代ビジネス」にこう書いた。
 〈政府はエネルギー政策を大臣レベルの「エネルギー・環境会議」と、経産省の「総合資源エネルギー調査会」の二段構えで検討する段取りになっていた。(中略)総合資源エネルギー調査会は私が着任する前の6月段階で、すでに委員の顔ぶれが内定していた。全部で15人のうち3人が原発反対派で残りの12人が賛成派だ。私は事故を受けて、せめて賛成派と批判派が半数ずつでないと、国民の理解は得られないと思った。それであと9人から10人は反対派を加えて、反対派を合計12~13人にするつもりだった〉
  つまり、鉢呂は経産省の「原発偏重人事」に難色を示し、見直しを指示していたのだ。
  あらためて鉢呂事務所に事実関係を聞くと、「事実です。(鉢呂は)『結論は(脱、親原発の)両論併記でも構わない』と考えていたと思います」と答えた。
  官僚は意に反する大臣は平気で売り飛ばす。かつて外務省を「伏魔殿」と呼んで外相を追われた田中真紀子や、「ミスター検討中」とバカにされた長妻昭元厚労相もそうだった。
  現場の記者でさえ、悪ふざけだと思ってメモにもしなかった「放射能うつす」のオフレコ発言をたきつけて、大きな問題にして、大臣辞任の流れをつくってしまう――。官僚がメディアにリークし、政治家を追い込んだとしたら「小沢事件」と同じ構図だ。「脱官僚」の看板を下ろした野田政権では、官僚の高笑いが聞こえるばかりだ。
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放射能失言 鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす 「原発エネルギー政策見直し人事」 の発表寸前だった2011-09-16 | 政治 
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枝野・新経産相会見 大臣官房に逃げ込んだ暴言記者
田中龍作ジャーナル2011年9月13日01:41
 新経産相に就任した枝野幸男前官房長官が12日夜、記者会見を持った。脱原発の姿勢を示したために、記者クラブの言葉狩りに遭い、辞任に追い込まれた鉢呂吉雄氏の後任とあって、さすがに枝野新大臣は慎重だった。
 「原発をゼロにするのか?」という質問に、枝野氏は「これから環境エネルギー会議など国民的な議論をしてから」とかわした。再稼働に向けたストレステストについては「現状で決まっていることを(地元に)詳細に説明していく」。
筆者は「鉢呂前大臣は記者クラブの言葉狩りで辞職した。歴代、幾人もの政治家が言葉狩りで失脚している。言葉狩りが続くと政治家が国民にメッセージを発することさえできなくなるのではないか?」と質問した。
枝野氏は「前大臣のことを私が言及できる立場にない」と再びかわした。法廷で鍛えているだけあってスキがない。だが唯それだけだ。何も心に響かないのである。
原子力行政は官僚、マスコミ、財界、労働組合と刺し違えるくらいの気構えがなければ、従来の推進行政から転換できない。率直に言って枝野大臣には期待できない。
脱原発の大臣ではない枝野氏を迎えた記者クラブは、柔らかい質問に終始した。鉢呂前大臣の辞任会見で鬼の首でも取ったようにヤクザ言葉で答を迫っていた記者も、この日は無言だった。
筆者は件の記者に名刺交換を求めたが応じてもらえなかった。社名と氏名を聞いたが答えてくれない。彼はそそくさと逃げた。それも大臣官房の広報室に逃げ込んだのである。官僚ならば“身内”だから助けてくれるとでも思ったのだろうか。
「選挙で国民から選ばれた鉢呂大臣をあなたはヤクザ言葉で罵倒したんですよ。どうして自分の名前を名乗らないのです?コソコソ逃げるのですか?」。筆者はその記者に尋ねた。
彼は終始無言だ。大臣官房広報室で保護してもらえないと分かると彼はエレベータに向かった。記者室に戻ると配席表で名前が割れるからだ。
筆者がエレベータに一緒に乗り込むと、エレベータから降りて違うエレベータに乗り換えた。筆者も乗り換えた。同じ質問を続けた。自分の名前も名乗れない人間が政治家の進退を左右するようなことになったら、政治はガタガタになるからだ。
卑劣な記者は最後まで無言のまま闇の中に消えた。


1 コメント

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嫌われ者の役人や政治家に対して (智太郎)
2011-09-21 04:57:38
国の法律や決まりごとを決めるのが役人や政治家なら、国民である我々と関係ない所で勝手に決まりごとを動かしているのが、腐れきった役人や官僚や政治家なのでしょう。
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