小沢一郎氏 裁判/完璧すぎる【最終弁論】小沢無罪3つの決定打/ 【最終意見陳述】

2012-03-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

完璧すぎる最終弁論 小沢無罪3つの決定打
日刊ゲンダイ2012年3月21日 掲載
指定弁護士の主張をすべて論破
<事件など最初から存在しない>
 「特捜部の妄想から始まったゼネコン収賄事件の捜査は敗北に終わった。本件は、その残滓(ざんし)である」――。圧巻だった。19日に行われた小沢裁判の最終弁論。弁護団は検察捜査の違法性を厳しく批判した上で、有罪論告をした指定弁護士側の主張にひとつひとつ反論し、潰していった。もはや有罪の根拠はなにひとつ残っていない。誰がどう見ても、小沢無罪は確実だ。
 <「ヤクザの親分」理論を一蹴>
 中身ゼロのスカスカ論告で、指定弁護士が苦し紛れに持ち出したのが、「ヤクザの親分と子分」の論理だった。配下の組員の拳銃所持について暴力団組長の「共謀共同正犯」を認めた03年5月の最高裁決定(通称スワット事件)を引用し、「明確な謀議がなくても小沢と秘書の間に共謀が成立する」と主張したのだ。この理論は、検察審査会でも紹介され、強制起訴議決に影響を与えた大きな“論拠”なのだが、弁護団は「特殊なスワット事件を、あたかも一般的な事例のように歪曲して引用するのは不当だ」と猛反論した。
 〈スワット事件で共謀共同正犯が認定されたのは、(1)専属ボディーガードのスワットは常に拳銃を装備して警護にあたっていた(2)組長は常にスワットと一緒に行動していた(3)組長自身もかつて親分の警護役を経験して、スワットの拳銃所持を知っていたという事実があったからで、事実関係がまったく違う〉(弁論要旨)
  国会議員秘書は社会的に認められた正当な業務だし、虚偽記載を常態的に繰り返していたわけではない。小沢と秘書は常に行動を共にするわけでもない。加えて、小沢には秘書の経験もないのだ。スワット事件になぞらえて共謀共同正犯が成立するなんて、言いがかりに過ぎない。
<石川議員の「不可解な行動」を解明>
 秘書だった石川議員が小沢から借りた4億円を分散入金したり、わざわざ利息が発生する預金担保融資を受けたことなどが「非合理的」とされてきた。「やましいカネを隠すため」と決めつけられてきたのだが、弁護団はこれも蹴散らした。
 「分散入金は、銀行に記録が残るから、むしろ隠すことはできない。それに、銀行融資を介さないで小沢が直接4億円を貸すと、政治団体に寄付したと誤解されかねず、利息分だけで寄付の制限額を超えてしまう。不動産担保ローンよりも預金担保融資の方が利息が低いのだから、こちらを利用するのは合理的だ」
  弁護団はこう説明し、石川の行動についても、「いずれも直前になってドタバタ動いていると評するほかない」と、ある意味での“一貫性”を明示した。石川の場当たり的な行動を見れば、指定弁護士が言うような「用意周到な犯罪」でないことは明白なのだ。
<池田調書は「報告・了承」ではない>
 裁判では「小沢に報告し、了承を得た」とする元秘書の供述調書がことごとく却下された。唯一、採用されたのが、「平成17年分収支報告書の内容を報告した」という池田元秘書の調書だが、弁護団は、これも「報告・了承」を裏付けるものではないと反論した。
 「石川からの引き継ぎが不十分で、池田は“期ズレ”について認識していなかった。また、証拠採用された調書でも、池田が小沢氏に報告したとされる場面の具体的な記載は全くなく、『おお、そうか』が、何に対しての了承なのかは曖昧なまま。裁判所がどう判断するかですが、これで共謀を認定するのは難しいでしょう」(社会部記者)
  裁判過程で検察の違法な捜査も次々と明らかになり、4月26日の判決は無罪しかあり得ない。最後の意見陳述を終えた小沢も、無罪判決に向けて自信を深めているように見えた。万が一、裁判所が“推認”で有罪判決を下すようなことがあれば、それこそ、これは小沢潰しの国策捜査だと自ら認めるようなもの。司法の自殺行為だ。
 冒頭の弁護団の言葉が、この事件の構図を見事に言い表している。事件など、最初から存在しないのである。
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小沢一郎氏 裁判 16回公判 2012.3.19 最終弁論 詳報 2012-03-23 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 産経ニュース2012.3.19 【小沢被告最終弁論】より抜粋
 《「無罪請負人」の異名を持つ弘中惇一郎弁護士が立ち上がり、最終弁論の朗読を始める》
 「東京地検特捜部は被告に対し、ゼネコンなどから違法なカネを受け取ったのではないかという根拠のない妄想を抱いて、収賄の嫌疑をかけ、大規模な捜査を行ったものの、結局、嫌疑を裏付ける証拠を得ることができず敗北した」
 「本件は、その残滓である」
 「残滓であるとは、一つには本件が特捜部の想定した収賄事件としてでなく、収支報告書に関する政治資金規正法という形式犯としてしか起訴できなかったということである」
 「残滓であることのもう一つの意味は、検察官が想定したゼネコンなどからの不正な金銭収受が存在しないことが、本件が成立しえないことを明らかにしているということである。妄想から始まった事件は最後まで実在しないのである」
 「特捜部は被告がゼネコンなどから違法に金銭を受領しているとの妄想にもとづき、全国から検事を動員し、建設業者らから徹底的な事情聴取を行った。まさに『特捜部と小沢との全面戦争』であった」
 「しかし、ゼネコンからの不法な金銭受領を裏付けることはできなかった。かろうじて供述を得ることができたのは『水谷建設からの1億円』だけであった。だが、これとて、最初の5000万円を受け取ったとされる石川の取り調べに当たった特捜部の□□副部長(法廷では実名)も、○○検事(同)も『あれはないんじゃないか』と心証を抱くような、事実として確認できたとは到底言い難いものであった」
 「特捜部は被告から(石川議員らが)受け取った4億円の出所に後ろ暗いところがあり、具体的には水谷建設からの1億円が含まれている可能性があるかのような取り調べを行った」
 「特捜部があえてこのような主張を行ったのは、石川らによる虚偽記入・不記載は被告から受領した4億円が違法なものであることを隠蔽しようとして敢行された、という動機が存在するかのように装うためであった」
 「4億円の原資が違法なものであり、そのためにその存在自体を秘匿しなければならなかったということを指定弁護士は何ら立証していない。すなわち、本件裁判において、この4億円は被告が適法に所持していたものと取り扱われることになる」
 「被告が適法に所持していた4億円の存在を秘匿するため、石川らがあえて違法な虚偽記入を行ったとしても、何も得られるものはなく、違法行為に手を染める必要性は皆無である」
 「指定弁護士による起訴は、『動機のない犯罪』が行われたとするものであり、不合理極まりないものである」
 《指定弁護士側が共謀共同正犯が成立すると主張した際に引用した最高裁判例である「スワット事件」についての解釈》
 「指定弁護士はこの決定を引き合いに出し、『実行者の犯行を止めることができる地位にいるものは、実行者が行う犯行を確定的に知って、これを容認し、実行者の犯行によって利益を受けるという関係にあるときは…』」
 「『共謀の日時場所を特定した謀議行為を認めることができず、実行者の行為についての認識が概括的にとどまっている場合でも、共謀共同正犯者としての刑責を負うことが明らかになった』として、本件でも共謀共同正犯が成立すると述べた」
 「あたかもスワット事件の最高裁決定が、明確な謀議がなくても共謀共同正犯が成立する場合についての一般的な要件を示したかのような指定弁護士側の主張は、決定の趣旨を歪曲して主張するものであり失当である」
 「スワット事件と本件とでは、事実関係が全く異なるのであって、共謀共同正犯が成立するということは到底できない」
「本件においては、収支報告書の虚偽記入が『常態化していた』という事実はなかったのであり、この点がスワット事件と本件との決定的な差異である」
 「スワット事件と本件とでは、過去に同様の違法行為が反復継続されていたか、被告と秘書らが終始行動をともにしていたか、秘書らの行為によって被告が直接的な利益を受けたかといったさまざまな点において事実関係が大きく異なる。被告に共謀共同正犯が成立する余地はない」
 「(問題の不動産の公表をずらすことについて)池田が石川から被告の了承を得ていると聞き、被告に対して平成17年分の支出に本件土地の代金を計上していると説明して、被告が『ああ、そうか』と述べたと仮定しても、その発言はむしろ関心の低さを示しているとも受け取れる」
 「指定弁護士の主張は失当であり、被告が共謀したと認定する余地はない」
 「被告は法廷で4億円の原資について、具体的に詳しく説明している」
 「大半は両親からの金銭および、不動産の相続によって取得したもの。加えて議員歳費や著書の印税が原資だというものである」
 「保有していることを知られたくないような資金があった場合には、これを不動産購入費に充てるなどということは極めて不合理なことである」
 「平成16年と17年の記載はいずれも政治資金規正法にのっとったもので、虚偽記入や不記載とされるべきものはない」
 「仮に問題になりうるとしても、石川の行動は当初からのもくろみに基づくものではなく、その時々の状況の変化に応じた行き当たりばったりのものだった。回避しようと少しでも思えば、容易に達成可能なものだった」 「(所有権移転の日を延期した)『期ずれ』は契約段階から支払日を16年中でなく、17年にすれば何の問題も生じなかった。収支報告書に被告からの借り入れを記載したくないと考えれば、容易にできた」
「石川の行動は、取り調べた○○検事(法廷では実名)からも『もっとやりようがあったんじゃないか』といわれるほど、無計画かつ場当たり的なものと理解されていた。このようなドタバタぶりをみていれば、指定弁護士のいう『周到な準備と巧妙な工作』などは存在しないことは明らかであり、石川に犯罪を行う意図はなかったことを物語っている」
 《弘中弁護士は、登記を先送りしたことも、元秘書の樋高剛衆院議員(46)から『政治的にどのような動きがあるか分からないから、時間的に余裕があったほうがいいのでは』と聞かされたからだ、とした》
 「石川はかねてから助言を受けていた樋高議員からそのようなアイデアを出されたため、これに従うことにした」
 「土地の取得は登記制度がある限り、公表され、隠すことはできない。政治団体の場合には土地取得の時期によって何年分の収支報告書に掲載されるかが決まるが、それだけのこと。したがって政治的判断として、時間的余裕を考えただけで、永続的に隠そうとしたわけではない」
「石川を含む秘書は、被告が政治活動を十全に果たしうるようにするのが職務であり、相当程度の裁量が認められていた」
 「16年10月29日、銀行から被告の口座に4億円から利息分約450万円を天引きされた額しか振り込まれていなかったのに、(石川議員は)被告口座から陸山会口座に4億円を送金している」
 「この約450万円については被告が負担していることになるが、このことについて石川は事前に被告に報告や承諾を受けてはいなかった。石川はこの行為を独断で行ったのである」
 「(石川議員は)利息を補填しなくてはいけないと考えていたが、実際には17年7月に事務所を辞めるまで、何らの手当てもしていなかった。このように、石川は、普通の国民であれば年収に当たるような額を無断で引き出し、陸山会に振り込んでいる。石川は被告から高度の信用や信頼を勝ち得ていたため、被告の了解がなくとも、独自の判断で動かしたのである」
 「石川は被告の携帯電話を管理していたが、その取り次ぎについては、『余計なことは取り次ぐな』と指示を受けていた。この指示は厳格に守られることが期待されており、現に石川は取り次いで叱責されたこともある」
 「被告の携帯電話を知っている人は近しい人と想定される。しかし、そのような電話でも、石川は自分で判断して『余計なものは取り次がない』ことをしなければいけなかった。このように被告を煩わさせる、あるいは無駄な時間を費消させることがないようにしていた」
 「このように、石川には相当の裁量が認められており、被告の利害に関することであれば、その全てを報告し、判断を仰いでいたかのように述べる指定弁護士の主張は失当である」
 《さらに弘中弁護士は、登記の時期をずらしたことについて、石川は2カ月後に確実に本登記になると考えており、『この程度は秘書の裁量』と考えていても不自然ではないと指摘。指定弁護士側の『10月28日に16年分収支報告書に記載しない意志を固めた』という指摘についても、何ら指定弁護士側の立証がないとし、小沢被告と石川議員に共謀関係はないと断じた》
 《つづいて、石川議員の後任として秘書になった、池田光智元秘書と石川議員との間に行われた引き継ぎについて言及した》
 「石川は池田にとって上下関係が非常に厳しい体育会系の政治サークルの4つ上の先輩で、『雲の上の存在』であり『伝説の人』であった。池田にとって石川は気安く話しかけたり、相談したりできる存在ではなかった」
 「石川は当時、次期衆院選の民主党公認候補に決定しており、選挙対策に多忙で非常にぴりぴりしていた。石川は『心ここにあらず』の状態で、池田への引き継ぎも不十分なものになっていった」
 《池田元秘書は、石川議員からの引き継ぎをノートにメモしていたという。弘中弁護士はそのノートを『池田ノート』と呼び、その内容にふれながら、何が引き継がれ、何が引き継がれていなかったのかを明らかにしていく》
 「池田としては口頭で言われたことをメモにとるということで手いっぱいで、後々起こることを予想して問い返すほどの余裕もなかった。石川が退職する(17年)7月に、池田はまとめて聞けるよう、質問事項をまとめていたが、これも石川と池田の『微妙な距離感』が背景にあった」
 「石川は、被告の支援者との関係や接し方など、人間関係に関する引き継ぎは事細かに教えてくれたが、事務処理関係に関する引き継ぎは雑だった」
 「池田ノートには被告からの4億円を収支報告書に記載していないことについてはどこにも記載されていない。これは、石川、池田間で明確に引き継がれていなかったことを裏付けるものである」
 「このことは、当時、石川も『先生からの4億円があるからな』と話した程度で、引き継ぎといえるほどの詳しい話はなかったことを裏付けている」
 「池田は『(『住』を『○』で囲った)マルジュウと記載された入金については気にしなくていいから』と石川から言われ、当時は被告からの4億円であるとは気づかなかった」
 「池田は16年中に支払われた土地代金を17年分の収支報告書に計上するよう石川から引き継ぎを受けていたが、話しぶりは何か普段と違うようなことはなく、当然の処理で問題がないという印象だった」 
 「池田は登記を17年1月7日にした詳しい事情は聞かされていない。池田が知る事情は所有権移転登記がされたのは、1月7日ということであり、その日にあわせて土地代金を計上するという事実のみである。池田には、所有権移転登記が実態を欠く虚偽の登記であるという認識は全くなかった」
 「所有権移転の時期を変更したことは石川時代のことであり、池田が改めて被告の了解を得るべき事項ではない」
 「そもそも、政治家の秘書の役割は、政治家を政治のことに専念させることにある。そして、被告の頭の中には、常に政治や選挙のこと、国会運営のことで頭がいっぱいだったのであり、政治団体の会計処理を始め、後援会の事務処理などについてはもともと関心のない、あるいは関心の極めて薄いことだった」
 「被告は、各政治団体の収支報告書には全く関心がなく、報告など受けていなかった」
 「仮に石川に被告からの4億円を隠す計画的な意図があったのであれば、石川は、そのつじつま合わせの方法を池田に具体的に指示していなければ不自然かつ不合理である」
「被告が4億円を渡した時点では、この4億円を、どのような形で利用するかについては、何も決まっていなかった」
 《弁護側は、こう切り出した上で、(1)そのまま土地購入などの支払いに充てられる(2)4億円を担保にして、小沢被告名義で定期預金を組み、それを転借する方法-などの選択肢が4億円の提供時点にはあったとした。その上で、弁護側は今回採られた(2)のケースでは、提供時点では消費貸借目的ではなく、少なくとも貸し付けではなかったと強調し、こうまとめた》
 「こうした実態に照らせば、被告が4億円を渡した時点で、被告と陸山会との間に金銭消費貸借契約が成立したとは評価できず、この時点で陸山会の収入となったは評価できない」
「被告が陸山会に用立てる4億円を、石川が被告の秘書としての立場で預かり、石川が陸山会名義の預金口座を管理する立場にあったことから、被告が預かった4億円を保管する場所として、便宜的に陸山会名義の預金口座を利用したものと解するべきである」
 「このように、石川が被告から4億円を受け取り、陸山会名義の預金口座に入金した時点では、被告と陸山会との間に金銭消費貸借契約は成立しておらず、陸山会の収入となっていないので、収支報告書に計上する必要はない」
 「不動産の取得を収支報告書に記載する場合、当該不動産の所有権が取得者に移転した日を『資産』の取得日として計上するのが原則的な会計処理であると考えられる」
 「従って、本件においても、いつの時点で本件土地の所有権が不動産会社から陸山会に移転したといえるのかを検討しなければならない」
 「石川としては、それがいかなる法的意味を有しているかまでは別として、少なくとも『平成16年分の収支報告書に記載すべき取引』ではなく、『平成17年の収支報告書に記載すべき取引』にしたい程度の意向を持っていたことは明らかである」
「秘書に任せたことは秘書にその判断でやらせ、被告が口だしすることもなく、また秘書の方もいちいち報告することもなかった」
 「特に、事務的な問題は完全に秘書に任せていた。これは事実であり、政治家である被告と秘書との役割分担からしても自然なことだった」
 《小沢被告が常々、秘書らに節約を心がけるように指導していていたことから、政治資金の収支報告を聞いていなかったのは不自然とした指定弁護士側の指摘にも答える》
 「費用について心がけるというのは、人間としてあるいは政治家としての心構えの問題であり、個別の事務遂行を秘書の裁量に委ねていたということとレベルの異なる問題」
 「そもそも、被告が相当額の資産を有しており、手元に多額の現金も有しているであろうということは、周囲の人間は十分認識していた」
 「17年秋に新聞各紙が、被告は陸山会に4億円を貸し付けたと報じたが、被告がそのような多額の資金を有していることを意外なこととした報道は全くなかった」
 「もともと、被告が父親から多額の資産を相続したこと、長年の政治家としての活動ぶり、居住している邸宅の状況、多数の著書、被告の妻が資産家であることなどは広く知られている」
 「指定弁護士の述べる動機は、およそ『合理的な動機』とはほど遠いものである。合理的な『動機』が認められないということは、すなわち犯罪が存在しないということを意味している」
 「『小沢との全面戦争』を掲げた検察が、組織的に違法・不当な捜査を行ったうえで、重大な違法行為により、検察審査員らを錯誤に陥らせた」
 「東京地検特捜部が検察審査員らを錯誤に陥らせることがなければ、8人以上の賛成を必要とする起訴議決に至らなかったことは、容易に推認できる」
 「検察審査会の起訴相当議決を受けて行われた再捜査の過程において、◯◯検事(法廷では実名)が内容虚偽の捜査報告書を作成するという職務犯罪に及び、さらに、その報告書を利用して、東京地検特捜部が検察審査員らをして、石川供述の信用性評価を誤らせたという事案である」
 「それを、単に検察審査員が証拠評価を誤ったにすぎない、(捜査報告書は)検察官の単なる内心で、審査手続きとは無関係であるとする指定弁護士の主張は、問題の矮小化であって、失当である」
 「起訴議決はその審査手順において、検察官が極めて悪質かつ重大な職務犯罪を伴う一連の偽計行為に及び、それによって検察審査員らを重大な錯誤に陥らせ、行われたものであるから、無効である」
 「起訴議決は無効であり、公訴提起の手続きはその規定に違反したため無効であるから、判決で公訴が棄却されるべきである」
 「また、収支報告書不記載・虚偽記入の共謀共同正犯が成立するなどとする指定弁護士の主張は失当であり、いかなる観点からも、犯罪の証明がなく、被告が無罪であることは明らかである」
 《弘中惇一郎弁護士が最終弁論を終え、ちらりと左腕の腕時計に目を落とした》
 《大善文男裁判長が小沢被告を証言台に促すと、小沢被告は「はい!」と大きな声で返事をして、素早く法廷の中央に立った》
 裁判長「審理を終えるに当たり、意見があればどうぞ」
 被告「はい!」
 裁判長「長くなるようなら座ってもいいですよ」
 被告「10分もかからないくらいですので…」
 被告「裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます」
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小沢一郎氏 裁判 16回公判/最終意見陳述「検察・法務官僚による政治の壟断に終止符を打ち・・・」2012-03-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 小沢元代表意見陳述の詳細
 裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます。
 5ヵ月半前、私は指定弁護士による起訴状に対し、次のように申し上げました。
(1)東京地検特捜部による本件強制捜査は、政権交代を目前に、野党第一党の代表である私を政治的・社会的に抹殺することが目的であり、それによって政権交代を阻止するためのものだったと考えられる。
 それは、主権者である国民から何の負託も受けていない検察・法務官僚による議会制民主主義の破壊行為であり、国民主権への冒とくである。
(2)指定弁護士の主張は、そのような検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の証拠にした東京第5検察審査会の誤った判断(起訴議決)に基づいたものにすぎない。
(3)したがって、本裁判は直ちに打ち切るべきであり、百歩譲って裁判を続けるとしても、私が罪に問われる理由はない。
 政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてない。
(4)今、日本が直面する危機を乗り切るためには、このような国家権力の乱用を止め、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義を確立する以外に方法がない。
以上の見解は、これまで15回の公判を経て、ますます鮮明になったと思います。
 以下、その事実を具体的に申し上げます。
 もとより「法の下の平等」「推定無罪」「証拠裁判主義」は、法治国家の大原則であります。
 ところが、東京地検特捜部の強制捜査は、それらをことごとく無視して、証拠に基づかない不当な推認を積み重ねただけのものでありました。
 まず、政治資金規正法の制定以来、本日ただ今に至るまで、政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があっても、実質的犯罪を伴わない限り、検察の言う「虚偽記載」も含めて、例外なくすべて、報告書を修正することで処理されてきました。
 それにもかかわらず、私のケースだけを単純な虚偽記載の疑いで強制捜査、立件したことは「法の下の平等」に反する恣意的な法の執行にほかなりません。
 また、前田元検事がこの法廷で、「取り調べの初日に、木村主任検事から『これは特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」と証言したように、「推定無罪」どころか、最初から「有罪ありき」の捜査、立件でした。
 さらに、形式的には「証拠裁判主義」にのっとって、私を2度不起訴にしておきながら、その実、違法・不当な捜査で得た供述調書と「小沢有罪ありき」の捜査報告書を東京第5検察審査会に提供することで、同審査会の議決を「起訴議決」へと強力に誘導しました。
 その動かない証拠が、石川元秘書が虚偽記載を私に報告、了承を得たとの供述を維持したという平成22年5月17日の田代検事作成の調書と捜査報告書であります。
 去る2月17日の公判で、裁判長が「検察審査会の再度の議決の判断材料として提供することを予定しながら、違法不当な取り調べを行い、石川に供述を維持させた」「捜査報告書の記載は事実に反する」と指摘されたとおりだと思います。
 とりわけ重大な問題だと思うのは、田代検事自身が法廷証言で「捜査報告書は上司に言われて作った。検察審査会に提供される可能性はあると思っていた」と認めたように、石川元秘書が供述していない虚偽の事実を意図的に報告書に記載し、東京地検が、それを検察審査会に提供したことであります。
 その悪質さにおいては、厚生労働省元局長村木厚子氏の虚偽公文書作成事件で、前田元検事が証拠を改ざんした事件を上回るのではないかと思います。
 そして、その虚偽の供述調書と捜査報告書は、平成22年9月、検察審査会が起訴議決をして、私の強制起訴を決めた最大の証拠とされました。
 それは、検察審査会の議決文が石川元秘書の調書を信用できるとした理由について、虚偽の捜査報告書の内容を踏まえて「再捜査で、石川自身が供述を維持した理由を合理的に説明している」と明記していることで明らかであります。
 ところが、東京地検特捜部による強力な検察審査会誘導はそれだけにとどまりません。
 先に裁判長が田代検事による石川元秘書の違法不当な取り調べについて「個人的なものではなく、組織的なものであったとも疑われる」と指摘され、花崎検事による池田元秘書の取り調べについても、「利益誘導があった」「取り調べメモを廃棄した」と認定されたとおり、当時の佐久間部長、齋藤副部長、吉田副部長、木村主任検事ら特捜部あげての審査への誘導工作だったと考えられます。
実際、東京地検が検察審査会の再審査に提供した、ほかの捜査報告書を見ると「小沢は3回にわたる取り調べでも合理的な説明ができず、不自然な弁解に終始した」「政治資金収支報告書に関する小沢の供述は虚偽である」「小沢の共謀を推認する積極的証拠となり得る」「小沢には本件不記載・虚偽記載の動機があった」等々「小沢有罪ありき」の推認の記述ばかりで、明らかに起訴議決をしないほうがおかしい、強制起訴すれば裁判でも勝てる、と誘導しています。
仮に、それら捜査報告書と供述調書が、ほかの政治家に関するものであり、かつ私がそれを審査する検察審査会の一員だったとしたら、私も「起訴議決」と誤った判断をしていただろうと思うほど、強烈で執拗な工作であります。
加えて、前田元検事が「東京地検では証拠隠しが行われた。検察審査会では全ての証拠を見ていない」と証言したように、検察の「小沢有罪ありき」の見立てに合わない取り調べ結果は供述調書にせず、そのメモさえ審査会に提供しませんでした。
 そのような検察の手法には、司法の支配者然とした傲慢ささえうかがわれます。
事実、東京地検は、本公判開始の9か月も前の昨年1月に、田代検事並びに特捜部副部長による捜査報告書の虚偽記載の事実を把握しておきながら放置、黙認し、指定弁護士にも、裁判所にも私の弁護団にも一切伝えなかったと報道されています。
 特に指定弁護士が強制起訴手続きを行う前にその事実を把握していたのに、指定弁護士に知らせなかったのは、言語道断であると思います。
 本件は、ただ単に検察が私個人に対して捜査権・公訴権という国家権力を濫用したということではありません。
 野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代後は与党幹部である私を強制捜査ー強制起訴することで新政権を挫折させようとした、その政治性に本質があります。
 検察は、2年間もの長きにわたって、不当・違法な捜査を行い、あまつさえ検察審査会の審査・議決を誘導して、強力に政治への介入を続けました。
 それは正に、議会制民主主義を破壊し、国民の主権を冒とく、侵害した暴挙と言うしかありません。
 その実態が15回の公判を通じて、具体的事実によって、いよいよ鮮明になったことが、本裁判の一番の意義であると私は思います。
 以上のように、検察審査会の起訴議決は、私を強制起訴させるために東京地検がねつ造した違法不当な供述調書と捜査報告書に基づく誤った判断であり、その正当性が失われたことが明白である以上、私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。
 私は無罪であります。
 もちろん本来は、本件控訴(ママ?「公訴」では?来栖)は棄却されるべきものであります。
 もし、何らかの理由で公訴が棄却されない場合でも、私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。
 政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実はなく、ましてや私が虚偽記載について元秘書と共謀したことは絶対にありません。
 東日本大震災からの復興は、丸1年経っても本格化するに至らず、福島第一原子力発電所の事故は依然として収束の目途すら立たず、一方では歴史的円高によって国内産業の基盤が崩れ始め、欧州の金融危機に端を発する世界恐慌の恐れが迫って来ている今、日本の経済・社会の立て直しは一刻の猶予も許されない事態になっています。
 そのためには、検察・法務官僚による政治のろう断に即刻、終止符を打ち、速やかに政党政治に対する国民の信頼を取り戻して、議会制民主主義を機能させなければなりません。
 裁判長はじめ裁判官の皆様におかれましては、見識ある公正なご判断を下されるようお願い申し上げ、私の意見陳述を終えます。
 ありがとうございました。


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