Flash mob とは?
2月の終わり頃――。捨てようとしていた free paper の記事の片隅に、「フラッシュモブ(Flash mob)」なる〈文字〉を見つけた。……flash……。「閃光」を意味する、あの「フラッシュ」だろうか……。筆者は、wikipedia によって「フラッシュモブ」を検索する前に、まず英和辞典で「mob」を引いた。flash mob なるものに対する自らの「ボキャブラ力」と、「想像力」とを試す意味合いもあった。電子辞書の「ジーニアス英和辞典」曰く――。
mob /【暴徒、やじ馬、(破壊的活動をしかねない)群衆。《◆単なる群衆はcrowd》…(以下略)】
ん?……〈破壊的活動をしかねない群衆?〉……穏やかではない。……閃光のような暴徒⁈ というのか。何かにつけ、閃光のようにパッと光り……あるいはパッと跳ね上がるように現われては、あっという間に立ち去る無責任な群衆 ⁈……。何やら雲行きが怪しくなってきたぞ。はてさて、具体的にはどのような連中なのだろうか……
70歳と9か月3日の脳裏に、「暴走族」のドうるさいバイクや車の爆音、そして無意味に繰り返されるハイビーム・パッシング、さらには危険極まりない幅寄せ……といった不埒な〈煽り運転〉の数々が瞬時に広がった。
と、次の瞬間! 普段は温厚篤実かつ冷静沈着な我が熱き……いや厚き唇から、次の word がまさしく big bang のように、激烈な勢いと語調をもって飛び散った ‼ ‼ ‼
馬鹿たれ!
だが、その言葉を発した5秒後、自らの〈反省〉の念とともに、もう一つの〈想像映像〉が閃いた。……そうだ! この言葉はきっと《何に対しても野次馬精神旺盛に、所かまわずカメラの「フラッシュ(flash)」を切る日本人の「野次馬」=「モブ(mob)」》……を指しているに違いない……。
……そう確信した筆者は、普段の知性と感性と品性を取り戻し、再び電子辞書の「ジーニアス英和辞典」を手に、念のために「フラッシュ(flash)」を確認することにした。すると――、
flash/【 原義:(水)を飛び散らす 】【 ①(光・炎の一瞬の)きらめき、閃光。 ②(考え・感情などの)ひらめき、突発。 ③瞬間。 ⑤ちらっと見せること。】
……まだあるのか……動詞に関する長い語釈も出て来た……
【 ①ぴかっと光る。 ②ぱっと浮かぶ。 ③ぱっと現れる…… 】
……延々と続いている……。キリがない。よ~し、このあたりで……。
ということで、あとはもう wikipedia に頼むことにした――。
【 フラッシュモブ( 英: flash mob )とは、インターネット上や口コミで呼びかけた不特定多数の人々が申し合わせ、雑踏の中の歩行者を装って通りすがり、公共の場に集まり前触れなく突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行って、周囲の関心を引いたのち解散する行為】
……とあった。そこでさっそく、一つの《 flash mob 》とやらを見ていただこう。
please click 👇 フルスクリーンにしてごらんください。
◆《 ラヴェルのボレロ(コペンハーゲン中央駅)》(4:52)
※注:2011年5月2日。デンマークコペンハーゲン中央駅にて。「原題」は、《Flash mob at Copenhagen Central Station. Copenhagen Phil playing Ravel's Bolero》
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……………いかがでしたか? wikipedia の説明にあるように、《雑踏の歩行者を装った普段着の楽団員》が、一人また一人と現れて無造作に楽器をセットしたり……《前触れもなく、突如として》演奏を始めたり……。
楽器と演奏者が増えるにつれて、シンフォニー本来の迫力と感興をいっそう整えつつ……その豊饒な音楽性を膨らませながら……。いつしか聴衆・観衆も、老若男女を問わず増えており、個性豊かなその自然の反応がたまらなく “人間味” を醸し出し……。演奏者とそれを見守る人々との、心と心が通い合った感じが何ともいえない。
筆者の〈能書き〉など、これ以上は不要と思われる。――何といっても、久しぶりの長文の今回の記事。70歳と9か月3日の老躯は、ちと休みたいと囁いておりまする。で、その願いを聞いてやりたく。……次回、お会いする日まで。
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――まあ。なんてステキ! このボレロって、とっても有名ね。あたくし、もう5回は視聴したのよ。いいわねえ。……それだから、あなたに〈ひとこと〉申し上げなければいけないって思ったの。いえ、こういう素晴らしい情景と音楽だからこそ、どうしても申し上げたいの。……誰かさんもおっしゃってるでしょ? 知性、感性、品性って……。いつも、美しい日本語や正しい言葉遣いを心掛けていただきたいの。
……だから、馬鹿たれ! ……て言葉…… ああ! ヤダ、ヤダ! 耳にするのも……。それに〈馬鹿たれ!〉って文字を目にするのも……ああ! また言っちゃったわ。ヤダヤダ!……。
だから、今すぐにでも〈清めなければ〉。そうでないと、みなさまがおっしゃっる〈この麗しいあたくしの唇〉が穢されたままよ。ねえ。なんとかしてくださらない? ……でもどうすればいいのかしら……。
そうそう! お清めの方法を思いついたわ。これよ。これしかないわ。ほら、今度新しくできたケーキ屋さん。あそこの超おススメの《マロンと抹茶のムースを、まるでピュアな愛を包み込むかのように巻き込んだ》という《甘さと柔らかさと、舌先に触れたのか触れないのかわからないほど完成度の高いロールケーキ》……がいいのかも……。そう。たった一口で、私の唇はすっかり清められるんですって。……間違いなく。……ねえ。聞いてる?……ね~え?……ねえ ⁈ ……………あれっ? 寝ちゃったの?