こんにちは。
今日は,葉室頼昭(春日大社 前宮司)先生の著書「神道 いきいきと生きる」の中からご紹介させて頂きます。
こちらの「神道 いきいきと生きる」は,昨日の「神道 感謝のこころ」に続いて読まれると良い本です。
以下,神道 いきいきと生きる「実を求めて木を枯らす」より。
もともと,日本人は素晴らしい精神文化を持っています。
第一に生真面目です。不真面目なことを嫌がって,国のため社会のためにやってきた民族です。
企業が製品をつくるにしても,昔は立派なものを作って,それで日本の国が発展したらよいとやっていました。
しかし現在は,利己的で,自分のことばかりです。
自分さえ儲かり,楽しければいいといって,他人や国のことなど考えない人が増えてきました。
感謝するこころ,質素,勤勉,努力,神様や祖先を尊ぶというのが日本人の精神文化ですが,それらはどこにいったのでしょうか。
「木を育つれば,実を得られるものを,実を求めて木を枯らす。取ろう取ろうは取られるもと」という言葉があります。
親御さんたちは,子供をよい学校に入れようと,よい会社に就職させようと,その場にある実を取ることばかりやっているけれど,それでは結局,子供がだめになる,ということです。我々はエネルギーだけで生きているわけではありません。
車でも人間が乗ってハンドルを握って安全運転をしなければ,ガソリンを燃やしても,暴走してどこかにぶつかって壊れてしまいます。同じことです。ご飯を食べてエネルギーを作っているだけでは,生きることができません。
人間としてどうしたらいいかというと知恵がなければ,人間として健康に生きていけないのです。
今,いい大学を卒業したのに,自分が何をしたらいいのか分からないという人や,エリートコースを進んで来たのに,汚職事件を起こして道を外す人が,たくさんいます。
それは,先に実を取ることばかりの生き方をしてきたために,木が充分に成長していないから,生きるための知恵が身についていないのです。人間として立派な子供を育てれば,よい学校に入れるし,よい会社にも入れるのに,それをやっていない。
まず立派な木を育てなさい。そうしたら黙っていたってよい実はなるのです。
逆をやっているから,精神文化などどこかへいってしまって,今のような情けない日本のすがたになったのではないでしょうか。
以 上
宮柱太如き立て 高天原に千木高しりて 祈り行じて省みる。 感謝・反省・謙虚・奉仕・素直の五つの心柱を伝えています。 一隅を照らす人であれ。その命ある限り。花咲 あさひ 拝 ブログ開設283日目 記事数第218記 奉仕の心柱 編