夕方、風が出て涼しくなった頃、我が家の裏隣の犬が鳴きだした。これはその隣の家の子供達が、夕風に誘われて外遊びを始めた事を告げる鳴き声だ。暫くすると「キィー、キィー」と甲高い女の子の声が聞こえてくる。兄達の悪戯をかわすためだ。ババはこれが小鳥の声に似ているので、この子を「小鳥娘」と勝手に名付けて、彼らの大騒ぎする様を楽しみにしている。ところが、ここ２・３日その声がパタリと聞こえなくなっていた。ジジババの所へでも行ったのだろうかと、ババは寂しがっていた。と、先程の犬の鳴き声が聞こえ、小鳥娘の声も聞こえて来たのだった。ババは「あっ、帰って来た」と、ほっとしたような顔をした。