夏休み。ここ数年は何もしていない。若いころは体が良く動いたせいもあり、休みのたびに旅行に行き思い出作りをしていた。今しかできないからと焦って何かしないといけないという強迫観念に取りつかれた様に懸命に思い出作りをしていた。しかし、年を取るたびに思い出作りをしなくなった。する気もなくなった。その原因は、若いころに一生懸命思い出作りと思ってやっていたことが思い出せなくなってしまい、思い出作りに対する意識が遠のいたからだ。行ったことがあるって記憶はあるが、体に染みついていないから思い出として感慨深いものとして残っていない。そうなると思い出作りに対する執着もなくなった。むしろ家にいてのんびり過ごす方が良くなった。近場に出かけることも面倒だし、人の喧騒の中にいるより静かなところでのんびり過ごしていた方が楽である。極めて省エネ的になった。若いころは好奇心も旺盛だからだったのだろう。老いてゆくということは荷物を一つ一つ捨ててゆくようなものというのを聞いたことがあるが、このような心境なのかなと理解できる気がする。最期に脳裏に焼き付いた思い出が死ぬ間際にわっと溢れ出て来るのだろうか。思い出の数々が走馬灯のように駆け巡るのだろうか。特に予定はない。蝉の鳴き声を聞きながらのんびり過ごす。
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