うっすらと紅を引く
頬に色ともし
口元から溢れ出る
面影に涙こらえ
旅立つ この手から
引き裂かれ 急ぐように
弥生の空に 舞う花びらは
君の涙 儚いともし火
縁側に咲いている
君の好きな花
愛でる瞳 失くしても
微笑み絶やさずに
先立つ この手から
残された 胸の痛み
弥生の空に 散る花びらは
君を想う 炎のともし火
忘れないよ
君がくれた温もり 優しさ
ひとつ残さず 永遠に
弥生の空に 咲く花びらは
君の笑顔 煌めくともし火
うっすらと紅を引く
装う亡骸に
頬は桜色
命の宿り
天に昇っても
幸せであれと
君に春化粧
私の生まれた弥生の月は
何故か悲しみ満ち溢れ
命の重さ 尊さの
気づきが積もる
桜の季節
離れ行くもの
残されるもの
同じ痛みのその魂が
安らかな光に
包まれますように。
あなたの悲しみが
いつか 癒えますように。
風香
(ひとみ)