風と光と大地の詩

気まぐれ日記と日々のつぶやき

詩(バラの苑のコンサート)

2019年06月14日 | 
         バラの苑のコンサート

   赤いバラはヴァイオリン
   白はヴィオラ ピンクはチェロで
  黄色はフルート  クラリネットは青いバラ

   第一楽章はアレグロ
  快活にそして軽やかに
  バラのアーチをくぐりぬければ
  はじらうように花の笑みがこぼれ落ちる

  第二楽章はアダージョ
  愛らしく夢見るように
  花壇のすみで固いつぼみをふくらませ
  まだ見ぬかがやきを育んでいる

  第三楽章はメヌエット
  豊かにときに翳りを帯びて
  輝きの絶頂にきざす凋落の予感

  噴水のしぶきに崩れていく花の影

  終楽章はアンダンテ
  ゆったりと歌うように
  重なり響き合う大輪のバラの交響楽
  芳醇な香りと色のハーモニーに心酔う

  アンコールは典雅で古風な舞曲
  野バラがまがきに這う小径を
  少女たちが物思いがちに歩いていく

  夕暮れの空へ消えていく余韻