芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

これが「毎時30μ㏜計測」を想定した防災訓練?

2014-10-19 21:56:16 | 原発
 昨日は、島根原発における事故発生に対応するための原子力防災訓練が行われ、チェックに行ってきました。
訓練は、「2号機運転中、送電線事故の影響で外部電源喪失。原子炉は自動停止したが、原子炉給水ポンプ全台停止し、警戒事態に該当する事象発生。その後、残留熱除去系ポンプや非常用ディ―ゼル発電機故障(交流電源)。原子炉隔離時冷却系制御電源枯渇(直流電源)などの警戒事態。施設敷地緊急事態(10条)、全面緊急事態(15条)該当事象発生。これらによって圧力容器内水位低下、炉心露出、崩壊熱により炉心溶融、格納容器内圧力が最高圧力を超え、破損。原子炉内部の放射性物質が外部へ漏洩。」という事故を想定したものでした。
 今回、見学に行ったのは、避難先の江津までバス移動する城西地区の現地災害対策本部会議と、その移動中に行われるスクリーニング会場である出雲市大社町の宍道湖西部浄化槽センターの2か所です。
 8時30分から開催された現地災害対策本部会議の会場である城西地区公民館に行くと、防護服に身を包んだ市職員や地域の消防団の人が玄関先で談笑していました。開催された会議を傍聴すると、市職員から現状について説明があり、広報などの指示が行われていました。その現状は「城西地区で1週間以内に移動の必要があるとされている20μ㏜を超え、毎時30μシーベルトを計測」と説明が行われ、避難誘導の指示が出されていました。ところで、会場入り口は開けっ放しだったのですが!消防団の皆さん、外で談笑!でしたし。そもそも、会議自体がとってものんびりしてました。(いつものことですが)
 次に、城西地区の住民の皆さんの一時集結所に行ってみることにしました。一中、内中原小学校の2か所ですが、いずれも地域の方は普通の格好で歩いてこられ、受付をする側も普通の格好の人もいれば、防護服を着ている人もいるという、本当に奇妙な風景でした。おまけに外で受付です。繰り返しますが、想定は毎時30μ㏜です。誰も意識していないようです。(全員、被曝ですけど)
 
 そして、大社町で行われるスクリーニング会場に出かけてみました。このスクリーニングに関しては、規制委は車両検査について「OIL4超の汚染があった場合に乗員の代表者に対して汚染検査を行い、その乗員にOIL4超の汚染が検出されない場合は、ほかの乗員も同じとみなす。」としており、OIL4を超過した場合に除染を行うとしています。この基準値は、表面の汚染密度で120Bq/㎠で、小児の甲状腺等価線量300mSvに相当し、IAEAの安定ヨウ素剤服用基準の6倍という高い値です。はたして島根県はどうするつもりなのか気になりますが、聞くと、大社町で行うスクリーニングは代表車両の検査を行い、大山町(鳥取)では全車両検査を行うとのことでした。規制委がこんなことを言うには理由があり、実際の事故時には、大量の車両が避難のために押し寄せることになり、丁寧なスクリーニングを行えば大渋滞を引き起こすことが目に見えています。それを避けようと、高い基準を設定し、代表車両のみを検査しようとしているのですが、これは汚染された住民の健康に大きな影響を及ぼすことになります。特に子どもたちにとって、除染されないということはとても大きな問題だと思います。また、放射性物質をくっつけたまま避難先に向かうのですから、汚染の拡大になります。こんな実態を知った避難先の自治体は、はたして住民を受け入れてくれるでしょうか?
 実際にスクリーニング会場に行くと、ゲート式のスクリーニングが行われていました。基準値を超えるとブザーが鳴り、汚染箇所を再度特定するパフォーマンスが行われていました。このゲートも、けっこうゆっくりと通過する必要があるようです。やはり大渋滞は免れようがないようでした。
 
 ここで、とても目についたことがありました。ちょうど出雲市民が到着しているところでしたが、マスクに手袋着用やさらにその上にビニールカッパを羽織っている方など地区ごとに工夫をしているようでした。松江市民と大違いです。これは、完全に行政が市民にきちんと説明したかどうかによって違いが生じているようでした。ちょうど市長が到着しましたので、そのことを言い、よく見るように!と言いました。市長は、反論したくなるのか、「こんなことをしなくてもいいのかもしれない」などと
良くわからないことを言い始めたので、「いえ、毎時30μ㏜を計測したことを想定するなら、それに対応した訓練をしなければならないのです」といったのですが、やはり理解していないようでした。そばにいた部長は理解していたようですが、「マスクなどのことは言ったんですが…」と言い訳をしていました。

 本当に、こんなことでいいのか?やはりセレモニーの域を出ない訓練でした。