「認知症施策の推進を求める意見書」の提案理由を本会議で説明しました。他に採択された2本の意見書と合わせて、以下に掲載します。どうぞお読み下さい。
認知症施策の推進を求める意見書
世界に類例を見ないスピードで高齢化が進む我が国において、認知症の人は年々増え続けている。平成27年に推計で約525万人であったものが、平成37年には推計で700万人を突破すると見込まれている。
認知症は、今や誰でも発症する可能性があり、誰もが介護者となり得るため、認知症施策の推進は極めて重要である。
また、認知症施策の推進に当たっては、認知症と診断されても、尊厳をもって生きることができる社会の実現をめざし、当事者の意思を大切にし、家族等も寄り添っていく姿勢で臨むことが重要であるとともに、「若年性認知症」など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込んで行く必要がある。さらに、認知症施策に関する課題は、今や医療・介護だけでなく、地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっている。
よって、板橋区議会は、国会および政府に対し、認知症施策のさらなる充実、加速を目指し、基本法の制定も視野に入れた、下記の事項について、取り組むことを強く求める。
記
1 国や自治体をはじめ企業や地域が力を合わせ、認知症の人や
その家族を支える社会を構築するため、認知症施策を総合的かつ
計画的に推進する基本法を制定すること。
2 認知症診断直後は、相談できる人がいないといった人が多く存在しており、診断直後の空白期間が生じている。この空白期間については、本人が必要とする支援や情報につながることができるよう、認知症サポーターの活用やガイドブックを作成することによる支援体制の構築を図ること。
3 若年性認知症の支援については、若年性認知症支援コーディネ
ーターの効果的・効率的な活動を推進するため、コーディネータ
ーに対する研修など支援体制を整備するとともに、本人の状態に
応じた就労継続や社会参加ができる環境の整備を進めること。
4 認知症の全国規模の疫学調査と疾患登録に基づくビックデー
タの活用を通し、有効な予防法や行動・心理症状に対する適切な対応など認知症施策の推進に取り組むこと。また、次世代認知症治療薬の開発・早期実用化や最先端の技術を活用した早期診断法の研究開発を進めるとともに、認知症の人の心身の特性に応じたリハビリや介護方法に関する研究を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
白タク行為への更なる対策強化に関する意見書
タクシー市場特有の供給過剰への対応をより効果的に進めながら、タクシーの安全性やサービス水準を一層向上させることを目的として、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律(以下「改正タクシー特措法」という。)」が、与野党共同提案の議員立法により賛成多数で可決・成立し、平成26年1月に施行された。
一方、政府においては、シェアリングエコノミー検討会議を設置し、自家用自動車を用いて有償で運送を行うサービスである「ライドシェア」を含めた検討を行っており、さらに、規制改革推進会議においても、ライドシェアを含めた議論がなされている。
このライドシェアについては、道路運送法に抵触するタクシー類似行為である「白タク行為」に該当するとの指摘があり、また、運行管理や車両整備等の責任を負う主体を置かずに自家用自動車のドライバーのみが運送責任を負う形態であるため、安全確保や利用者保護等の観点から大きな問題が生じる懸念が指摘されており、改正タクシー特措法の意義を損なうことが危惧される。
また、近年、白タク行為が横行しており、これについては明白な道路運送法違反であることから、国土交通省、警察庁、法務省、業界団体等の連携により対策を行っているが、いまだ解決には至っていない。
よって、板橋区議会は、国会及び政府に対し、下記の事項について所要の措置を講ずるよう強く要請する。
記
1 白タク行為に該当するようなライドシェアは、利用者の安心・
安全に極めて大きな懸念があり、さらに、改正タクシー特措法の
意義を損なうことが危惧されるため、十分慎重に検討すること。
2 道路運送法違反である白タク行為に対し、更なる対策強化を行
うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間の延長を求める意見書
平成29年、民間有識者などでつくる「所有者不明土地問題研究会」は、平成28年度の時点で所有者を特定できない土地が全国で九州本島並みの約410万ヘクタールに及び、このまま推移すると2040年には北海道本島並みの約720万ヘクタールに達するとの試算を公表した。
今後、相続登記がなされずに実際の所有者が把握できない土地はさらに増えると見込まれており、このような所有者不明土地による経済損失額は2040年までに約6兆円規模に上ると試算されている。
政府は、平成30年の第196回通常国会において、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」を成立させ、土地の所有者探索を合理化する仕組みと、所有者不明土地を適切に管理する仕組みを創設した。また、平成30年6月に策定された「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」や「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2018」では、住民票の除票等の保存期間延長について検討すべきとされている。
不動産登記簿では所有者の特定は住所と氏名のみでなされるため、住民票の情報が最も重要である。しかしながら、住民票の除票及び戸籍の附票の除票については、5年を超えた保存は法的に義務付けられておらず、核家族化や単身独居化が進んでいる現在、5年の保存では転居履歴を十分に追えず、土地等の所有者が不明になってしまう。
よって、板橋区議会は、国会及び政府に対し、住民票の除票等の保存期間を延長することで、所有者不明土地だけでなく、空き家問題における所有者の特定が一層容易となるよう、下記の事項の実現を強く求める。
記
1 住民基本台帳法施行令第34条第1項に定める住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間を、現行の5年から延長すること。
2 住民基本台帳法施行令改正までの期間、各自治体において除票等の廃棄が進行しないよう、廃棄作業を当面凍結するよう各自治体に通達すること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
認知症施策の推進を求める意見書
世界に類例を見ないスピードで高齢化が進む我が国において、認知症の人は年々増え続けている。平成27年に推計で約525万人であったものが、平成37年には推計で700万人を突破すると見込まれている。
認知症は、今や誰でも発症する可能性があり、誰もが介護者となり得るため、認知症施策の推進は極めて重要である。
また、認知症施策の推進に当たっては、認知症と診断されても、尊厳をもって生きることができる社会の実現をめざし、当事者の意思を大切にし、家族等も寄り添っていく姿勢で臨むことが重要であるとともに、「若年性認知症」など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込んで行く必要がある。さらに、認知症施策に関する課題は、今や医療・介護だけでなく、地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっている。
よって、板橋区議会は、国会および政府に対し、認知症施策のさらなる充実、加速を目指し、基本法の制定も視野に入れた、下記の事項について、取り組むことを強く求める。
記
1 国や自治体をはじめ企業や地域が力を合わせ、認知症の人や
その家族を支える社会を構築するため、認知症施策を総合的かつ
計画的に推進する基本法を制定すること。
2 認知症診断直後は、相談できる人がいないといった人が多く存在しており、診断直後の空白期間が生じている。この空白期間については、本人が必要とする支援や情報につながることができるよう、認知症サポーターの活用やガイドブックを作成することによる支援体制の構築を図ること。
3 若年性認知症の支援については、若年性認知症支援コーディネ
ーターの効果的・効率的な活動を推進するため、コーディネータ
ーに対する研修など支援体制を整備するとともに、本人の状態に
応じた就労継続や社会参加ができる環境の整備を進めること。
4 認知症の全国規模の疫学調査と疾患登録に基づくビックデー
タの活用を通し、有効な予防法や行動・心理症状に対する適切な対応など認知症施策の推進に取り組むこと。また、次世代認知症治療薬の開発・早期実用化や最先端の技術を活用した早期診断法の研究開発を進めるとともに、認知症の人の心身の特性に応じたリハビリや介護方法に関する研究を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
白タク行為への更なる対策強化に関する意見書
タクシー市場特有の供給過剰への対応をより効果的に進めながら、タクシーの安全性やサービス水準を一層向上させることを目的として、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律(以下「改正タクシー特措法」という。)」が、与野党共同提案の議員立法により賛成多数で可決・成立し、平成26年1月に施行された。
一方、政府においては、シェアリングエコノミー検討会議を設置し、自家用自動車を用いて有償で運送を行うサービスである「ライドシェア」を含めた検討を行っており、さらに、規制改革推進会議においても、ライドシェアを含めた議論がなされている。
このライドシェアについては、道路運送法に抵触するタクシー類似行為である「白タク行為」に該当するとの指摘があり、また、運行管理や車両整備等の責任を負う主体を置かずに自家用自動車のドライバーのみが運送責任を負う形態であるため、安全確保や利用者保護等の観点から大きな問題が生じる懸念が指摘されており、改正タクシー特措法の意義を損なうことが危惧される。
また、近年、白タク行為が横行しており、これについては明白な道路運送法違反であることから、国土交通省、警察庁、法務省、業界団体等の連携により対策を行っているが、いまだ解決には至っていない。
よって、板橋区議会は、国会及び政府に対し、下記の事項について所要の措置を講ずるよう強く要請する。
記
1 白タク行為に該当するようなライドシェアは、利用者の安心・
安全に極めて大きな懸念があり、さらに、改正タクシー特措法の
意義を損なうことが危惧されるため、十分慎重に検討すること。
2 道路運送法違反である白タク行為に対し、更なる対策強化を行
うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間の延長を求める意見書
平成29年、民間有識者などでつくる「所有者不明土地問題研究会」は、平成28年度の時点で所有者を特定できない土地が全国で九州本島並みの約410万ヘクタールに及び、このまま推移すると2040年には北海道本島並みの約720万ヘクタールに達するとの試算を公表した。
今後、相続登記がなされずに実際の所有者が把握できない土地はさらに増えると見込まれており、このような所有者不明土地による経済損失額は2040年までに約6兆円規模に上ると試算されている。
政府は、平成30年の第196回通常国会において、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」を成立させ、土地の所有者探索を合理化する仕組みと、所有者不明土地を適切に管理する仕組みを創設した。また、平成30年6月に策定された「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」や「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2018」では、住民票の除票等の保存期間延長について検討すべきとされている。
不動産登記簿では所有者の特定は住所と氏名のみでなされるため、住民票の情報が最も重要である。しかしながら、住民票の除票及び戸籍の附票の除票については、5年を超えた保存は法的に義務付けられておらず、核家族化や単身独居化が進んでいる現在、5年の保存では転居履歴を十分に追えず、土地等の所有者が不明になってしまう。
よって、板橋区議会は、国会及び政府に対し、住民票の除票等の保存期間を延長することで、所有者不明土地だけでなく、空き家問題における所有者の特定が一層容易となるよう、下記の事項の実現を強く求める。
記
1 住民基本台帳法施行令第34条第1項に定める住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間を、現行の5年から延長すること。
2 住民基本台帳法施行令改正までの期間、各自治体において除票等の廃棄が進行しないよう、廃棄作業を当面凍結するよう各自治体に通達すること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。