「同性愛は精神障害で依存症」「LGBTの自殺率が高いのは、社会の差別が原因ではなく、LGBTの人自身の悩みが自殺につながる」
と主張するのは自民党議員の大多数が参加する議員連盟「神道政治連盟」だ。(*神道政治連盟とは、全国8万社の神社が参加する宗教法人「神社本庁」を母体としている)
自民党は、主要政党のなかで、唯一、同性婚に反対している。そういった背景にあるのは、こういった考え方にある。
今回こういった主張が表だってでてきたのは、この議員連盟の会合でくばられた冊子からだった。
この冊子のなかでは「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症」「しかし個人の強い意志によって依存症から抜け出すことは可能なので、同性愛からの回復治療の効果が期待できる」との主張も見受けられる。
しかしWHOは、1990年に「同性愛」を精神疾患から除外し「性同一性障害」についても精神障害というカテゴリから外している。アメリカ精神医学会は2007年に「同性愛者への転向治療は効果がなく、むしろ転向療法によってうつ病、自殺などが増加する」と指摘している。
「同性愛は矯正すべき」という神道連盟の主張。これって、すごいコワイことだとボクは思う。
この冊子では「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」ともしている。
あまりにも非論理的な発想で、コワすぎる。
こういった考え方は少数派は「おかしい」「変だ」「間違っている」といった偏見・差別そのものだ。実はこのことは様々な分野につながっている。
ボクは同性愛者ではない。でも男性が男性を好きになっても、女性が女性を好きになってもなんらおかしいことではないと思う。正直なことを言えば、子どもの頃、ボクは同性愛者の人たちに偏見の目をもっていた。でも様々な社会経験をするなかで、同性を好きになることがあっても何ら不思議なことではないし、異性を好きになるのも同性を好きになるのも自然なことなのだと感じた。
むしろこういった偏見・差別により苦しんでいる人たちがいるという社会がおかしい。
神道政治連盟は「家父長制度」を日本の「伝統」とし、これを推している。父親が絶対的な力をもち家族を支配する。戦前の考え方であり、権力側が国民を支配するのにもっとも都合のよい方法だ。
子育てや介護は女性がやるもの。そういった考えが神道政治連盟にあり、その影響は自民党に染みわたっている。
参議院選挙で自民党に投票しようと考えている方は、ぜひ考えてほしい。自民党という政党が何を目指しているのか。
最後に
2013年に同性婚を認める法律を成立させたニュージーランドで、賛成討論にたった議員のスピーチをご紹介したいと思います。youtubeなどでも見れるので、すべて御覧になりたい方はぜひ!
「(様々な反対意見に答えた後)この法案で我々がやろうとしていることは、愛し合う二人に結婚という手段を認める。それだけです。これが全てです。(中略)ただ愛し合う二人に結婚の手段を認めるだけです。何が問題でしょうか。お金もかからないのに。なぜこの法案に反対されるのかがわからない。異質なものを遠ざけたいのはわかります。いいんです。我々みんなそんなもんですよ。でも、反対なさる方にお約束しておきます。決して反故にしない約束です。この法案が成立しても明日から太陽が昇ります。明日からも生意気な娘さんに口ごたえされます。ローンの金利は上がりません。皮膚病やら湿疹、布団からカエルが飛び出すこともありません。明日からもただ毎日が続くんです。だから大ごとにするのはやめましょう。この法案は当事者からすれば素晴らしいもの。残りの我々からすれば昨日と同じ日々が続くだけです。(中略)それでも法案を懸念される方々へ。聖書からの引用を。慴るるなかれ」