阿弥陀南稜本編1<・・・・ここをクリックでご覧ください。
阿弥陀南稜 本編2
核心部「樋」(とよ)、岩溝直登のルンゼに入るには山肌を右にトラバース気味に下り回り込む。靴幅強ほどの狭い登山路になる。
そこを塞ぐおふたりさん。青ナギでのんびりおやつタイムをしていた私を抜いていった二人だ。(往路での唯一会った人たち) 私は写真を撮りながらゆっくり来たのでこのお二人はとっくに山頂についている時間だ。
あの~、まだトヨの手前なんですが・・・・。ちょっと、ちょっと何してるんですか?
ヘルメット、ザイル、ハーネス、カラビナ、オーバーグローブ・・・・。
この装備にビックリ。 でもまた何でこんな中途半端なところでクライミングなの?
お二人曰く;トヨは凍っていて、登りはじめたが危険なのでやめた。少し草付きのある右壁面を今10mばかり登ったが、やはり凍っていて滑る。今日はこれで帰ることにする。
えー、微妙な感じはしますがだめですかね?
↓ここを見てみろよ。 これは小さなサンプルだけど。
岩の上が氷で覆われていてツルン、ツルンだ。こんなのがルート全部を覆っている。
雪も見えるが、その下は全てこのようにツルン、ツルンに凍っている。
えーぇ~!ほんとに・・・。!
そそくさとザイルを片付けています。
ほんとに帰っちゃいました。
本日のカモシカはアイゼンすら持っていません。(この状況ではあっても意味はないが) 安全登山が信条の私です。引きづられるようにUターンしかかりました。
でも、もう少しは進めそうだ。せめてトヨの鞍部まで下って様子を見てみよう。ダメなら潔く撤退だ。
雪に覆われた幅が狭くなった登山路を歩き出すが、北斜面だ。雪の下は凍っていて危うくスリップだ。山肌に登山路に沿って細いワイヤーが付いていたので、補助に利用した。普段はめったに、鎖やロープには触らないで登下降するが今回は素直に利用した。
ツララだ。 嫌な予感がする。
トヨ基部。 凍っております。
上部に目を移すが、凍っております。
おや、ロビンさんの撤退レポには確か4本の残置ロープが・・・・。
ピカリさんのレポでは長~いロープを頼りにスイスイ登る姿が・・・。
こんなに長いしっかりした固定ロープがあったはずでしたが・・・・。
<写真はピカリさんのご好意でお借りしました>
無い! ロープがない。<いざとなれば、ここにはロープがのはずでしたが・・・>
ルート右に、短い黄色のロープがあるだけ ちょっと距離がある。
仮にそこまで行くにしても
氷河状態じゃん! 滑って無理じゃ!
右を見ても、左を見てもこんな状態である。
アイスクライミングは、やったことがない! やはり、撤退か。
帰って行ったヘルメットの二人の後姿が残像として浮かぶ。
周囲を見回しながら、しばし葛藤が続く。
氷結してないところを探す。 あった!写真中央の出べそと左上隅の出べそ。
ぎりぎり足が置けそうだ。(微妙?)
ルートファインディング。
行けそうじゃん。
真っ直ぐは氷で登れないので、一度右側の草付きの壁を斜上。この出べそを利用して岩溝を跨ぎ、左垂直壁へ。
氷のついてない左の垂直壁をザイル無しのフリークライミングで直登<写真では高さが表しきれないがそれなりの高さはある。>して、樋上部の結氷してない部分を探して右へトラバースして本ルートに戻り、稜線に上がる・・・・・。
イメージはできた。ジャンダルム直登の経験から登れる。氷結さえなければ行ける、と判断。
取り付きの氷と露石に足を置いた時のスリップのリスクはあるが、心の中ではGOサインが出た。
流石にこの場面ではカメラを収納し、足場が確保できる地点までは緊張して登った。
スリリングな場面のショットがないのは残念ですが、安全第一なので。
上部に登りきった所から右にトラバースして本ルートに近づく。
下を見下ろすとこんな感じ。V字の詰まったところがトヨの取り付き地点。
視線を上げれば、稜線も見える。
稜線に近づき再度見下ろして、這い上がってきたルートを確認する。
完全に雪や氷で覆われたら天然の真っ白なウォータースライダーだ!
八ヶ岳の谷底へ高速まっしぐら! それは御免被りたい。
注意:
今回は状況判断の上のぎりぎりの決断で、決して万人にお奨めできる登り方ではありません。ましてや、南稜は根本的にバリエーションルートなのでチャレンジの際には慎重に、自己責任で臨んで下さい。少しでも不安や危険を感じたら撤退することが、最良の安全策です。<その点では今回は×がつくかもしれません>
稜線に出た。
赤岳だ。 展望を楽しむ余裕再び!
トレースをつけて気持ちよく歩く。
標高を上げてきたので、中岳、赤岳の左に三叉峰も見え始める。
やはり主峰赤岳だ、貫禄がある。
あとひと登りで、阿弥陀岳山頂だ。 -A
ーB
-C
-D
D+C+B+A連続写真です。
登山路を進む。
崖っぷちに雪だるまを作ってみました。
雪だるま君の見ている風景は以下のよう。
-1
-2
ー3
↑歩いてきたルートを見下ろしながら進む。 青ナギも見えている。↓
足元の雪にはコケモモが愛らしい。
天に向かって登れ!
この岩の向うが阿弥陀岳山頂だ。
何とか無事にトヨを登りきり、快調に展望を楽しみながら阿弥陀岳に向かう
カモシカなのでありました。
さて、お次はどんな展開が待っていることやら・・・・。
☆阿弥陀南稜 本編3☆ につづく。
>無事でよかったです(^-^)v
ありゃ、たんべぇさんまでご心配おかけしました。
気象条件によってかなり難度に差が出るコースかと思いますが、完全無雪期ならゆっくり攻めればたんべぇさんも行けますって。(ちょっと前、大キレットやてましたよね!)
そうか、ぜいぜいさんの6月、私のツクモの裏番組の時既に無かったんですね。(ラスト1本、もしかして氷の下か?)
取っ付きまでは結氷で怖かったですけど、後は無我夢中の岩登り。<今回反省>
雪氷の無い時でしたら、私より経験者のぜいぜいさんなら朝飯前ですよ!
阿弥陀南陵、私には夏でも近づけないのに…
すごいです、怖いです。
やっぱり技術と経験あってのGOサイン、無事でよかったです(^-^)v
リベンジを目論んでいると気になりますものね!
>だめだめそんな無理しちゃー
良い子はしちゃだめ。
はい、ロビン先生。ご心配おかけしました。
よい子でいたいので、2度としません。
やはり、トヨがネックですね。この部分を安全にクリアするには、無雪期を狙うことですね。当然、天気も。 その時はお供したいなり~
うわさでは聞いていましたが、ついにロープなくなったのですね。
今年の春もロープが随分頼りなくて、1本はなくなっていましたが、寿命でしたね。
はあ、ますます恐くなっちゃったんだあ。
そんな無理しちゃー
良い子はしちゃだめ。(おっと 違ったかぁ)
今回は良かったけど、次は・・・だよね。
いかったなり、何もなくて。
私もまたリベンジに行ってたら、
途中で撤退だったよん