FMラジオのことを書いてて思い出したけど、僕は子供の頃から目が悪くなって、特に左目は弱視の気があって、岡山医大や川崎病院で診てもらうことが多くなっていた。
両親は、テレビを見るより音楽でも聴いて、悪い目よりいい耳で楽しむ時間を増やしてやろうと、当時としてはかなり高価なビクターのステレオを買ってくれた。
まっ、僕だけのものじゃないから買ってくれたというわけじゃないけどね。でも、そこから、松山千春、中島みゆき、アリス、NSPなど普段テレビでは見ないニューミュージックとの出会いが始まった。
松山千春の「君のために作った歌」は、小学生のときもいい歌だと感じたけど、中学生になっても、高校生になっても、大学に行っても、就職しても色あせない名曲で、僕もあの歌のように自分の秘めた想いを歌に乗せて、詩に乗せて、誰かに届けたいと憧れていた。だから若い僕はフォークギターを買ったんだね。
そんな繊細な心を歌う松山千春って人はすごく優しい人なんだろうなと思っていたら(最初は親戚の人がとってくれたカセットを聴いていたから顔を知らなかった)、すごくワイルドで鋭い目をした人だった。
次にFMラジオでコンサートの放送があるのを知り、ラジオチューナーからカセットに録音してたら、客をおまえら扱いする態度の悪さ。そしてすごい自信家。
しばらくするとはげてきて、やがてはスキンヘッド。
恐ろしい人だけど、コンサートは笑えて泣ける。だから今日、予約しました。取れるかどうかわからないけど。
松山千春が言ってたんだよね。夢は何かって聞かれるって。北海道の貧乏な家に生まれ、三度の飯にもありつけないような生活をしていたのが、みんなの前で自分の歌を歌って全国をかけめぐっている。これを夢と言わずになんというんだ。俺は生まれた時から夢の中にいるって。
自分自身を振り返ってみると、なんと幸せな愛情に包まれた幼少時代だったか、そして今は3人の子供たちと優しいかどうかは別としてかわいい奥さんもいる。毎日楽しく冗談を言いながら暮らしている。やがて巣立つ彼らにもそのうち子供ができ、僕はおじいちゃんになる。やっぱり僕も夢の中に暮らしている。