随思録

日々思うことを記す。

7/4 フィレンツェ

2011-08-16 15:02:46 | italia
粗忽者の迂闊な旅。

ジョットの鐘楼から見たドゥオモ(大聖堂)のクーポラ(丸屋根)

フィレンツェを去ることを決め、サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会(ドゥオモ・カテドラーレ)内部とアカデミア美術館、もし時間が余ればメディチ礼拝堂を今日見学して、最後にすることにしていた。
ところがガイドブックによるとアカデミア美術館とメディチ礼拝堂は、月曜が休館日だという。
今日は月曜日です……

午前中はサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会に行くとして、午後はどうするか。
半日空いてしまった。
昨夜別れるとき、今日まではタケムラさんとミンちゃんは一緒に行動し、ジョットの鐘楼に上ると話していた。
鐘楼につきあおうか。

朝食のとき、タケムラさんを探したら、食べ終わったころ彼女がやってきた。
こちらの事情を話し、今日同行したい旨を伝えると、快諾してくれた。
ミンちゃんとはSMN駅前のマクドナルドで10時に待ち合わせ。
9時にロビーで落ち合うことにする。

身支度をすませ、シーツと枕カバーを廊下のかごに放り込み、ビル達と別れの挨拶。
チェックアウトののち(なんと、このYHはTCでの清算が可能だった!)、ついでにTCの両替もしてもらう(手数料なし!)。

それから昨日のうちに、例の田舎のYH(2人が泊まっていたというYH)の情報を入手していたので、そのメモ書きを見せながら、レセプションに「同じ州のYHに予約をとってほしいんだけど」と聞いてみる。
Tavarnelle(タヴァルネッレ)というところにある“Ostello Del Chianti”というYHらしい。
当初はヴェネツィアに行く予定だったが、観光を忘れ、すこし田舎でのんびりしてみるのもいいかもしれないと考えたからだ。

レセプションの男性が、ネットで検索して、電話をしてくれた。
すると、まだ受付時間ではないらしく、返答がないとのこと。
9時にならないと、開かないらしい。
YHの受付時間にもいろいろあって、24時間OKというところもあるが、たいていは朝の数時間+夕方から深夜、というパターンが多い。

30分ほど待つうちにタケムラさんがロビーに。
結局9時になっても電話はつながらず。
ミンちゃんとの待ち合わせがあるので、タケムラさんは先にタクシーで出発(タヴァルネッレでワインを6本買ってしまったそうです。ちなみに自分用。)

タケムラさんとは……間に合うようなら10時にマクドナルドへ行く。
間に合わなければ、ランチを一緒にとるという約束に変更。
12時~12時半の間にサンタ・マリア・ノヴェッラ広場へ行き、もし現れなければお互いなにか事情ができたと察することに。

明日の宿を決めてから行動したいので、9時半ごろ、レセプションに再度電話してほしいと頼む。
するとレセプションの男性が「あそこは部屋余っているから、予約しないで行っても平気だよ」と言い出すので、思い切り不審げな顔をしてやると、「わかった。あんたは信じてないようだ」ともう一度電話してくれた。
ようやくつながって「明日、ジャポネーゼが行くから。うん」みたいな感じで軽く言って切る。
本当に予約とれているんだろうな。

ザックを背負いバス停に行くと、いまから出かけるのか、ビルの姿が。
バスの中で話しながらすごす。
実はアカデミア美術館を見ていない、でも明日は次の街に宿を取っているんだ、と話すと、「明日の朝、早起きして見に行けば?」と言われる。
なるほど。
ガイドブックには8時15分開場とある。
タヴァルネッレでは観光をするわけではないし、明るいうちにYHに着けばいいのだ。
「You are a genius!」とほめたら、ちょっとうれしそうだった(ビル50歳独身/でも結婚間近の恋人がいるそうだ)。

駅でビルとお別れ。
ホテルに荷物を置いて(階段は荷物アリだと結構きつかったかも)、10時半。
まだ待ち合わせまでは2時間あるので、サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会に行く。
長い列はあったが、どうやら後ろ半分はクーポラに上る人の列で、つながって見えるだけのようだ。
30分ほど並んで入場。


フィレンツェで最も楽しみにしていた瞬間だったが、広いなあという印象くらいで、感動はない。
サン・ピエトロがすごすぎたのか。
典型的なゴシック様式(だと思う)で、ルネサンス建築の嚆矢という意義は理解していても、それだけで地味な内装が化けるわけでもない。

12時まで時間があったので、教会を出てから、ホテルの位置を再確認。
フィレンツェは斜めに走る道が多くて、行く道と帰る道では景色がまったく違って見える。

12時にSMN広場へ。
12時半ごろ、タケムラさんとミンちゃんがやってきた。
タケムラさんおすすめのトラットリア「13Gobb」へ。

「13Gobb」ではコース料理などを無視して、3人ともポルチーニ茸のパスタのみを注文。
ここで水かワインかと聞かれ、水と答えたら、ミンちゃんに「お金かかるけどいいんですか?」と確認される。
ヨーロッパではどこもそうなのだとか。
なんと2人は手持ちのペットボトルで済ませるようだ。

パスタはタリアテッレで、ポルチーニ茸とトマトソースであえたものだった。
やっぱりポルチーニ茸はうまい。
日本ではポルチーニ茸をこういう味付けで食べたことがなかったので、興味深かった。

水は3ユーロで、大きな瓶(たぶん1L)。
半分以上残ったので、会計後、「Posso portare?(持ってっていい?)」と聞いたら、店員さんがポケットから抜いた栓を取り出して瓶に乗せ、「アチョ~!」といいながら空手チョップ。
栓をしてくれた。
この店員さん、ちょっとジャン・レノ風の風貌の男性で、とてもいい対応をしてくれたが、気さくというか、気さくすぎて……注文などで訪れるたびタケムラさんの手を握ったり、肩に撫でたりと、少々困った人でもあった。

食事後、2人につきあってジョットの鐘楼に上ろうとすると、ミンちゃんに「そんなに気を遣わなくていいですよ」と言われる。
お言葉に甘え、2人とは別れ、クーポラへ。


クーポラくらい階段が急で長いと、上りきったあとにスポーツ後みたいな爽快感を感じる。
風の気持ちよさは、フィレンツェ1だろう。
瓶が重く、かさばり、水もたれてかなり邪魔だったので、ここで一気に飲み干す。


途中、クーポラ(丸屋根)の内側にある通路を通るのだが、祭壇はもちろん、内部の全体を上から眺めることができて、巨大さを体感できおもしろかった。

降りてきたら、教会内部を見学する人の列の中に2人を発見。
再度挨拶して別れ、クーポラの待ち時間にガイドブックを読み見つけた、月曜でも開館しているサン・マルコ美術館へ向かう。


が、閉まっていた。
改めてガイドブックを確認すると、13:50までしかやっていない。
現在14:40。
また迂闊なことをやってしまった。
外観だけ写真に収める。


仕方ないので、これも月曜に開いているサン・ロレンツォ教会へ。
展示はいろいろあったが、いい加減飽きてきて、疲れもあり、長椅子でうたたねしてしまった。
タヴァルネッレでは教会と宗教画は見ないことにしよう。


まだまだ明るいので、散策ついでに買い物をすることに。
イタリアも夏のセール(saldy)の時期。
今後、YHで必要となるであろうビーチサンダルを探す。
携帯スリッパは持ってきているが、水に弱いのが難点。
きたないシャワールームが出てきた場合、対応できない。

一応、ブランドショップらしき店で、気に入ったビーチサンダルを購入。
(19ユーロ→13ユーロ。ちょっと高い。)
ホテルでビーサンに履き替え、ついでにジーンズから七分丈のカーゴに着替え、いきなり軽装化。
その勢いで、近所のトラットリア「Marione」へ行ってみることにした。

ガイドブックには「お財布の心配がいらない一軒」とある。
いつも満席らしいが、19時という開店直後のため、あっさりと席に通される。
とりあえずbirra alla spinaを注文し、メニューとにらめっこ。
家庭風(casalinga)という響きが気になり、そのパスタを注文。
量がわからないので、まずはそこまで。

ここの生ビールはジョッキで、ジョッキを傾けつつ待っていると、ラザニアが出てきた。
ラザニアはローマで食べてひどかったな……と口に入れたらうまいんだこれが。
おそらくコース料理の一品として供されるので、量が少なめ。
もう一品くらい入るなあとメニューを要求し、野菜のスープ(zuppa di verdere)を注文。
注文の品とか順番とかおかしいのはわかっているが、野菜を摂りたかった。
卓上の粉チーズをたっぷりかけて……うまい。

ビール1杯、パスタ、スープで21.5ユーロ。
この質ならまた来たい。
ローマではケチったから、こういう普通にうまい店に入れなかったんだね。

気持ちよくホテルに戻り、食休みを兼ねてこの手記をつける。
今夜は一人だし、冷房もあるし、熟睡できるだろう。
そうだ、洗面台があるんだから、洗濯しようかな、なんてリュックから薄手のワイシャツを取り出そうとしたら――ない。
忘れた。
あんなにチェックしたのに?
そうだ、ロッカーだ。
初日、ロッカーを試しに開けたとき、ハンガーが掛かっていたので、着ていたワイシャツをそれに掛けたのだ。
ビルが言っていた“Someone use, someone no use”。
こういう意味か?

ともかくフィレンツェYHに電話だ。
公衆電話用のテレホンカードを買わなくては。
ホテルを出てすぐのタバッキへ。
ここにはない。
駅方面に歩き、途中のタバッキで聞くと、あったので購入。
そのままSMN駅へ行き、電話をかける。

イタリア語と英語を織り交ぜ、電子辞書を駆使し、112号室のロッカーに忘れ物をしたことを伝える。
確認しておくので、明朝電話してくれとの返答。
どちらにせよ、もう一度訪ねる必要があるだろう。

駅からホテルに戻る途中、歩道で立ち話しているタケムラさんとまたしても遭遇。
(ミンちゃんは17時の列車でローマに向かったはず。)
白人のカップルと英語で話していたので、軽く言葉を交わして別れる。
フィレンツェが狭いのか、すごい奇遇なのか。

それから手記の続きに取り掛かる。

本日の教訓は「ロッカーは使うな」です。

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おすすめの店「マリオーネ」

旅の醍醐味の一つに、何気なく店に入って地の物を食べたときに、驚くほどうまい、という体験があると思います。
私にとってフィレンツェの「マリオーネ」がそういう店でした。
イタリアのラザニアうまいよ。

“家庭料理の店で、雰囲気もアットホーム”とガイドブックにありましたが、ビーサンで入ってきた謎の東洋人にも、親切に対応してくれました。
私が一品目を待っている間には、ほぼ満席になったので、人気のほどもうかがえます。

Torattoria Marione
Via della Spada 27/r
055-214756
http://www.casatrattoria.com/ristoranti.asp?id=5