グランドキャニオン雄大さを少しでも体で感じるべく恐れ多くもその大峡谷のそこを流れるコロラド川を目指してBright Angel trailを出発したのは6:40。
快晴。ウィンドブレーカーを着るほど冷たく、乾燥した空気。
朝日を受けたキャニオンは雄大でありながら、来る者を暖かく迎えてくれそうな気配を漂わせていた。
多少の山登りの経験を持つ我々にしてみれば、当たり前だが行きは上りで帰りは下る。
つらい思いで山頂を目指しそれを征服又は克服した者だけが手に入れることの出来る風景。その達成感を胸に抱き、その神聖な場所で過ごした短い時間に後ろ髪を引かれながら下山する。
しかしここは違う。
この雄大な風景を上から眺めるにはこのリム(崖淵)まで車でくればいいのである。というより、いきなり現れる。それをわざわざ降りていくのである。なぜか?
切り立った断崖には数億年という途方もない年月をかけて作られた地層が美しいグラデーションを見せてくれている。コロラド川の姿は峡谷の最深部にわずかに見ることしか出来ない。まるで上から見下ろす者を誘っているかのように、時には「私に会いたければここまで来てみるがいい」とばかりに挑発している様にも見える。
全長(片道)17.2km 標高差933m その工程の3分の2以上を断崖に作られたトレイルを下っていく。しかし決して急な道ではない。健常者であればコースチャートにもあるように往復で6時間から9時間で帰って来れるトレイルである。反面、年間250人以上の人がなんらかの形でレスキュー隊のお世話になっている。出だしが下りであるということからくる精神的な油断。そこから派生する準備不足。私達が行った日でさえ最低気温6度、最高気温30度という寒暖差。乾燥した空気。強烈な日差し。
それでも準備だけは万端にして(したつもり)その誘いに乗った。
このトレイルには設備がきちんとあって、途中3箇所に休憩小屋、給水、トイレ、緊急電話まである。
母上のペースに合わせて夢夢も私も順調に降りていく。第一休憩所までの2.4km地点まで1時間。
第二休憩所(4.8km)までさらに1時間。
ほぼトレイルの最深部のインディアン・ガーデン(最終給水地点)まで1時間と9:40には到着した。残すはここから2.4km先のPlateau point。
しかし母上は体調が芳しくなくここから戻ることを決断。だがここまできただけでも立派なものである。
欲を言えばこの先の風景を見せてあげたかった。せっかくここまで頑張ってきたのだから・・・・
けれども、引き返すのもまた勇気がいることだ。
一人で帰す母上は心配だが来た道を戻るだけだし、人もたくさんいるので私と夢夢はその先を急いだ。
ペースをあげ30分でPlateau pointに到着。
そこには山頂に行くのと同様にここに来た者だけが見ることの出来る絶景が広がっていた。
コロラド川はまだ更に下だが、その雄姿をはっきりみせてくれる。キャニオンの中にいるということは5億年以上もの太古の大地に立っているのと同じことだ。それだけで見上げる絶壁の印象は変わる。
この神聖な場所に30分。はやり後ろ髪を引かれる思いでそこを後にした。
To be continue・・・・・・・・・
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