大雨が降ると思い出す。
あの日の出来事。
川の中洲でキャンパーたちが取り残されたことがニュースになった日のこと。
東京のはずれ、狛江でも同じように雨が降っていた。
「ちょっと買い物に行ってくる」
それだけ言って、夫は傘を片手に外に出て行った。
少しするとガチャンといって自転車で出かけたことが分かった。
「全くもう、せっかちなんだから」
夫の「ちょっと買い物」は決まって二箱の煙草だった。
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もしも、あの時あなたからのメールがなかったら、遠い異国の地スロベニアで医師をしていたあなたと出会うことはなかった。看護師をしていた私は、なんでわざわざメールで医師と出会わなきゃいけないのかと思ったが、偶然なんて一つもないと今は思う。
あなたと出会って間もなく、私はガンを告知された。診察室の前まで看護師だった私にとって、それはまさに青天の霹靂だった。白衣を着ていたせいか、私は不自然な冷静さで、 . . . 本文を読む